孤独のグルメ Season1 第一話
江東区門前仲町のやきとりと焼きめし
監督:溝口憲司
脚本:田口佐宏
出演:
井之頭五郎:松重豊
カフェの店長:山村美智
庄助の店長:ふくまつみ
常連客:柏木厚志 等
ふらっとQUSUMI:久住昌之
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*タイムラインはBDソフト準拠となっております。
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ドラマパートあらすじ
個人で輸入雑貨店を営む、井之頭五郎。
商品を見てみたいというお客さんの要望に応え、数年ぶりに門前仲町を訪れる。
商品掲載のホームページを見て、興味が湧いたというカフェの店長のマダム。(02:13~)
五郎さんがフランス製ティーカップの現物を見せると大変お気に入りのご様子。
そのままの興奮した勢いでトークを開始するマダム。
五郎さんは何とか難を逃れて脱出する。
ついでに、前々から興味があったと言うアンティークショップをチェックする五郎さん。(06:08~)
アーリーアメリカンテイストの輸入雑貨店で、雰囲気は良し。
五郎さんは、自分が店を持つならどうするか?
そういう事をイメージしながら店を見て回る。
しかし、五郎さんは思う。
「俺には店の主人は似合わない」
「結婚同様、店なんか下手に持つと、守るものが増えそうで、人生が重たくなる」
「男は基本的に体一つでいたい」と。
富岡八幡宮でお参りをする五郎さん。
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「それにしても、腹が減った」(09:27)
ポン、ポン、ポン。
「俺の経験によれば、昔ながらの美味い店を探すなら、川の側を攻めろ」
こう呟き、店を探す五郎さん。
「やっぱりこっちでアタリだったな」
昼は鯖の味噌煮だったので、魚以外を探す方針。
「何処も彼処も美味そうに思える」
「でも、ここで焦りは禁物だ」(10:47)
「俺の腹は今、何腹なんだ?」(10:58)
ついに発見、やきとりの店「庄助」
「焼鳥、そうだ焼鳥だ」
「ご飯ものも、きっとあるだろう」
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庄助(11:26)
まずは、ウーロン茶を注文する五郎さん。
女将さんはウーロンハイと聞き間違える。
焼鳥(13:25)
先ずは、焼鳥を注文。
ねぎま、なん骨、皮、砂肝、手羽先、レバー、つくね、の7種類、全部塩です。
そう言われ、全て一本ずつ注文する五郎さん。
「うん、美味い。これでご飯が食べたくなるなぁ」
「美味い、本当に美味い。焼鳥って、こんなに美味いもんだっけ?」
「オイオイ、あっと言う間に6本食べてしまったぞ」
「美味い、何だろうこの美味さは、なんだか笑えてくるな」
ここで、勢いに任せもう一皿注文しようとする五郎さん、
しかし、思い直し、別品を頼む。
ホッケスティック(15:52)
魚は昼食べたと言いつつも、何となく注文した五郎さん。
「和風なのか洋風なのか分からんが美味いぞ」
「八幡様に美味い飯が食えますようにって、ついでにお願いしたのが効いたようだ」
信玄袋(16:35)
きんちゃく状の油揚げ。
「ホタテとオクラが入っている、コレが福袋なら大当たりだな」
「うん、コレだよコレ、今日はツイてるなぁ」
ここで、常連客が入って来て、つくねとピーマンを注文。
常連客は生のピーマンにつくねをのっけてウマそうに食べ出す。
スパッと手を挙げる五郎さん。(18:05)
同じ物を注文する。
つくねと生ピーマン(18:09)
ぼりぼり…
「苦い、苦いぞ、でも何なんだ、新しいピーマンの肉詰めだなぁ」
「苦い!でも美味い!にが美味い!」(18:18)
ここですかさずご飯があるか尋ねる五郎さん。
焼きめしで良いですか?と女将さん。
和風焼きめし(18:38)
「焼きめしなんだ、チャーハンじゃなくて」
「う、酸っぱい、梅干しかぁ」
「焼きめしに梅干し、発想が無かった、コレいいぞ」
「はぁ~」
満腹になった五郎さん。
ちょっと食べ過ぎたと言いつつも、今度はタレで食いたいなと感想を漏らす。
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ふらっとQUSUMI(20:13)
舞台となった庄助に訪れた久住さん。
*2012年当時のデータなので、現在も営業中なのかは要確認
先ずは駆け付けビールを一杯。
しりとりの様に並んでいるメニューを見てご満悦。
つくねとピーマン、
にごり酒、
和風焼きめしと次々に堪能。
つくねとピーマンは何とお客さん発案。
一人がやり始めた事を、皆が真似したとの事。
「屋久島の猿みたいな、イモ洗って食べたらみんなが真似したみたいな」
と、名ツッコミ。
ドラマの女将さんが、お店の本当の女将さんとソックリだった事をツッコむ。
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声に出して言いたい!五郎さんの名台詞
今回の「声に出して言いたい名台詞」は、
「苦い!でも美味い!にが美味い!」(18:18)
つくねの生ピーマンのせを食べた五郎さんの独白。
肉の美味さと生ピーマンのボリボリ感と苦みを存分に表したセリフ。
苦くて美味しいモノを食べた時に、ここぞとばかりに口にしたい。
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感想と解説
2012年1月5日より、TV東京系列で放映が開始されたドラマ『孤独のグルメ』。
名作として名高い漫画『孤独のグルメ』のドラマ化という事で、放映前から注目度は(一部ネット上では)高かった覚えがあります。
まずは、第一報時、
「え?まさか?」という印象。
いぶし銀な、知る人ぞ知る、しかし、満足度の高い漫画をわざわざ選ぶチョイス。
この感性に喝采を挙げました。
そして、キャスト発表。
と言っても、予想通り、井之頭五郎役のみ。
主演は、松重豊。
正直「え?どなた?」と思ったのが本音でした。
顔を見ると、「あぁ、二時間サスペンスでよく見る人だ」と分かりましたが、
実際、このドラマが始まるまで、名前と顔が一致していない人物だったのです。
この時点での私の所見は、
「役者さんとして文句は無いけれど、井之頭五郎のイメージとは違うな」という印象でした。
ネットも概ね、そんな感じでした。
スポーツマンみたいにガッシリした体格で、
年齢も、もっと若いイメージを抱いていました。
ちょっとイメージと違うけれど、どうかな~、
こう思いつつ、
期待半分、不安半分で見た初回。
この感動は今でも覚えています。
ドラマと漫画は完全に別物。
と言うか、原作を再現する形のドラマでは無く、
「男が一人、孤独に食事を楽しむ作品」という括りのみ継承した別作品と言えるものでした。
普通、原作付き作品で原作を全く再現しないのなら、批判が出る事間違い有りません。
しかし、ドラマ『孤独のグルメ』には、そんな批判は皆無でした。
何故なら、ドラマ版自体がオリジナル作品として、べらぼうに面白かったからです。
漫画の「井之頭五郎」の再現では無い、
しかし、ドラマ「井之頭五郎=松重豊」は、コレはコレで有り、という説得力があったのです。
雰囲気、空気感、テンポ、リズム、ちょっと緩い感じのBGM、などなど。
これらが上手い具合にハマって面白さを増していましたが、中でも出色だったのはやはり、
松重豊演じる井之頭五郎の食べっぷりでしょう。
ゆっくり、噛みしめるように、
そして、時に激しくかき込み、
また、食べる時の顔の表情、
そして、何より、心から溢れ出る饒舌な独白、
これらの「松重豊節」が視聴者の心を鷲づかみにしたのは間違い有りません。
特に私が共感したシーンは、
つくねと生ピーマンを頬張る常連客を見た五郎さんが、すかさず堪らず同じ物を注文する場面です。(18:25)
あまりにも美味そうに、目の前で奇妙なものを食べている、
コレは俺も食べねばならぬと観ている皆が思った事を一瞬にして代弁したその様子。
その挙措、表情は、正に今、ドラマを観ている私のもの、そのものでした。
そして、それをまた美味そうに頬張る五郎さん、
至福の一時です。
そう、この作品は、他人の食事のシーンを観ているだけなのに、
美味いのです。
この松重豊の食事シーンの説得力が、このドラマの全てと言って過言では無く、唯一無二の面白さなのです。
それが、初回から存分に表われていた、
観ていた皆がそれが分かった、
だから、批判が出なかったのです。
いやぁ、凄い。
おそらく、意図して漫画とは違う、
映像に説得力を持たせる作りにしたのでしょう。
それは原作者の久住昌之が深く関わっている事からして間違いありません。
ですが、本作がこれほどヒットするとは、、、
お釈迦様でも驚き桃の木でしょう。
また、初回ながらも、
後のシリーズである意味パターン化されているものが、
第一話の時点で既に殆ど確立されている所も凄いです。
最初にドラマの小芝居が入り、後半は食事のシーンに移るという展開。
「それにしても、腹が減った」と言い、
「俺の腹は今、何腹なんだ?」と店を探し出す展開。
食事シーンにおいては、
五郎さんがスッと手を挙げて注文する、その所作、
焦るんじゃ無い、と自分に言い聞かせる独白、
コレだよ、コレ、とお気に入りを褒める様子 etc…
これらの「水戸黄門の印籠」みたいなワンパターンは、連続ドラマにおいては、お約束として安心感と期待感をいや増します。
この安定感も、本作の魅力であると言えます。
いやぁ満腹と、お店をでた五郎さん、
その時、それを観た視聴者の心をも満たしていたのです。
さらに、本作に味を付け加えているのが「ふらっとQUSUMI」のコーナーです。
ドラマパートが終わった後に、原作者が舞台となった店を実際に訪れるという何ともメタ的なオマケですが、
この原作者・久住昌之氏の飾らない感じ、
無邪気に食事とお酒を楽しみ、
独特の言語表現でお店を盛り立てる様子は、
松重豊氏の井之頭五郎とはまた違った面の食事の楽しみを提供しています。
ただ、食事シーンを流すだけ、
一見したなら、地味に思える作品。
しかし、その食事シーンに、どれほどの表現が込められているのか、
これに気付いた時に、人はドラマ『孤独のグルメ』の虜となるのです。
一人飯でも寂しくない、
いや、むしろ食事を真っ当に楽しむベストの状況である。
この見識を広めた功績も大きい作品、ドラマ『孤独のグルメ』。
第二話以降も、感想を綴って行きたいと思います。
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