『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』 part.1 世界遺産についての解説  

『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』について語る前に、世界遺産とは何なのかをまず確認したい。

以下に簡単にまとめてみた。

 


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世界遺産は、1972年にユネスコの総会で採択された「世界遺産条約」(正式には、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)に基づき「世界遺産リスト」に登録された有形の不動産の事である。

 

分かり易く言うと、土地や建物のみに適用されるのだ。
そして「人類共通の宝として保全してゆくべき」と判断された自然や歴史的背景と価値のある場所の事である。

 

  • 世界遺産の種類

世界遺産には3つの種類がある。

文化遺産
顕著な普遍的価値を有する記念物、建造物群、遺跡、文化的景観など。
(例:インドのタージ・マハル)

自然遺産
顕著な普遍的価値を有する地形や地質、生態系、絶滅のおそれのある動植物の生息・生育地など。
(例:アメリカ合衆国のイエローストーン国立公園)

複合遺産
文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えているもの
(例:オーストラリアのウルル=カタ・ジュタ国立公園、有名なのはエアーズロック)

 

そして今回、『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』が登録されたのは文化遺産である。

つまり、自然や景勝によってではなく、その歴史・文化的背景が認められたという訳だ。
(勿論、自然や周辺環境の保全は絶対条件だ)

 

  • 世界遺産登録の流れ

基本はこうである。

:世界遺産条約を締結した国が「世界遺産候補物件リスト(暫定リスト)」を作成し、その中から条件が整ったものを世界遺産委員会に推薦。

:ユネスコ世界遺産センターが諮問機関に調査を依頼。

:文化遺産はICOMOS(国際記念物遺跡会議)、自然遺産はIUCN(国際記念物保護連合)が現地調査を踏まえて可否を勧告する。

専門機関からの報告書をもとに世界遺産リストに登録するかどうかを世界遺産委員会で決定する。

 

『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』は登録まで紆余曲折があった。

2006年、文化庁は世界遺産登録を目指す資産がある地方自治体から提案書を受け付けた。
宗像市は提案書を提出、しかし翌2007年の暫定リストには記載されなかった。
(この時は「沖ノ島と関連遺産群」という名称)
その後、課題をクリアし2008年に暫定リスト入り
(この時は「宗像・沖ノ島と関連遺産群」という名称)

2016年1月に『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』として正式推薦
その構成資産は
沖ノ島(宗像大社沖津宮)
その付帯施設として小屋島御門柱天狗岩
沖津宮遙拝所
宗像大社中津宮
宗像大社辺津宮
新原・奴山古墳群
となっている。

しかし、2017年5月5日、ICOMOS(国際記念物遺跡会議)は沖ノ島と周辺の3つの岩礁のみに普遍的価値を認め、他4つの構成資産を除外した形で登録を勧告

逆転登録の難しさが囁かれたが、地元の意向を受け、政府はあくまで8つの構成資産に拘り世界遺産委員会に臨む事になる。

そして、ロビー活動などが功を奏し、2017年7月9日、ポーランド・クラクフで開催された世界遺産委員会にて、諮問危機感の勧告を覆し、逆転で日本が主張した8件全ての構成資産が登録を認められる事になる

 

  • 世界遺産の登録基準

    世界遺産リストに登録されるには「顕著な普遍的価値」(Outstanding Universal Value、略してOUV)を証明する必要がある。
    その証明として世界遺産登録基準を満たさねばならない。

    そして、登録基準のいずれか1つ以上に合致するとともに、真実性(オーセンティシティ)や完全性(インテグリティ)の条件を満たし、締約国の国内法によって、適切な保護管理体制がとられていることが必要とされる。

    10ある世界遺産の登録基準の内、『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』が合致したのは以下の2つである。

    (ⅱ)ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。

    (ⅲ)現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。

     

     

    簡単にまとめると、

    「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群文化遺産

    その構成は

    沖ノ島(宗像大社沖津宮)
    小屋島御門柱天狗岩
    沖津宮遙拝所
    宗像大社中津宮
    宗像大社辺津宮
    新原・奴山古墳群

    である。

    この事を覚えていれば十分だ。

     

    しかし、世界遺産登録までの流れには紆余曲折があった分、その決定までドラマチックなものがあった。

    関係者の方々は、一筋縄ではいかない苦労があったはずであり、この結果に喜びはひとしおであろう。

    しかし、世界遺産登録は一つのスタートであり、その価値の保全についての取り組みがこれから始まる。
    その事は、同じ日本の当事者として自覚すべきことであろう。

     

     

    *このページを作成するにあたり
    「Wikipedia」の「世界遺産」「「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」の項、
    日本ユネスコ協会の「世界遺産とは」(https://www.unesco.or.jp/isan/about/)
    を参考にいたしました。

     

    しかし、文章中の細かいニュアンスや間違いの責任は著者にありますので、その点お気づきの方はご指摘下さい。

     

     


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    さて、次回は『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』は何処にあるのか、それを解説したい。