江戸の佐々木道場で目録を受理し、江戸勤番を終え、故郷の豊後関前藩に戻った幼馴染みの板崎磐音、小林琴平、河出慎之輔の三人。慎之輔の妻、そして、磐音の許嫁も、それぞれ琴平の妹。名実共に、義兄弟となる三人だが、国元で、運命の歯車が狂い出す、、、
監督は本木克英。
監督作に
『鴨川ホルモー』(2009)
『超高速!参勤交代』(2014)
『空飛ぶタイヤ』(2018)等がある。
原作は佐伯泰英の『居眠り磐音 決定版』。
出演は、
坂崎磐音:松坂桃李
おこん:木村文乃
奈緒:芳根京子
小林琴平:柄本佑
河出慎之輔:杉野遥亮
宍戸文六:奥田瑛二
佐々木玲圓:佐々木蔵之介
今津屋吉右衛門:谷原章介
阿波屋有楽斎:柄本明 他
気付けば、毎年時代劇映画って、
必ずありますよね。
今年の時代劇枠を担ったのが、
本作『居眠り磐音』です。
…ですが、
元々、豊後関前藩の宍戸文六役は、ピエール瀧で撮影されていたそうです。
しかし、
ピエール瀧の不祥事の為、
急遽代役に奥田瑛二を立て、出演している全シーンを撮り直し。
何とか、公開日に間に合わせたという、
曰わく付きの作品です。
しかし、
そんな不測の事態を乗り越えた本作、
正統派のエンタメ映画です。
先ず、
観客を楽しませよう、
そういう意図がが見られる作品です。
笑いあり、涙あり、
苦悩あり、
チャンバラあり、陰謀あり、
恋あり、と、
兎に角、
エンタメ要素がてんこ盛り。
これを、時代劇として、
2時間以内に、
破綻無くまとめているというのが、凄い所。
純粋に、物語が楽しめる作品です。
しかも、
主役がイケメン。
主役の磐音の剣法は、
「まるで、猫が日向ぼっこ」しているかのような、
と、例えられています。
だから、
見た目が厳つくなくても良い。
ならば、
イケメンが強くても良いじゃない。
そういう発想なのか、
見た目は全く強そうに見えない松坂桃李が、
これまた、
何故勝っているのか解らない、
イケメン剣法で、
対面する相手をバッタバッタと斬り伏せて行きます。
見た目や殺陣の説得力が無くとも、
時代劇の主役として、
イケメンが、
イケメンのままで、強いと描写される。
本作は、
時代劇にイケメン革命をもたらしたと言っても過言では無いでしょう。
…自分でも、何を言っているのか解らなくなってきましたが、
とにかく、
本作は見るところが多いので、
観客の趣味の何処かにヒットします。
主役のイケメンぶりに歓喜するも良し、
ストーリーを楽しむも良し、
侍の無常さに悶絶するも良し、
色々な楽しみ方がある直球エンタメ時代劇、
それが、『居眠り磐音』です。
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『居眠り磐音』のポイント
見所が多い、エンタメ時代劇
イケメンでも、人生は厳しい
端役まで、あんこたっぷりの豪華出演陣
以下、内容に触れた感想となっております
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色んな所が楽しめる、正統派のエンタメ
本作『居眠り磐音』は、
色々な要素がてんこ盛りの、
総合エンタメ時代劇です。
笑いあり、涙あり、
チャンバラ、陰謀、
友情に、恋と、
およそ、
エンタメの要素を詰め込めるだけ詰め込んだ作品と言えるでしょう。
私が観て、面白かった所は、
冒頭の、
磐音というキャラクターを規定する事になる、
まるでシェークスピアの様な悲劇の部分、
そして、
為替相場で対決する、
今津屋吉右衛門と阿波屋有楽斎の絡みです。
冒頭の、
幼馴染み、全滅のエピソードは、
「侍」という存在の融通の効かなさと頑迷さを如実に表しています。
そう、
現在、
スポーツの日本代表を、
字面とイメージの格好良さだけで「侍ジャパン」と呼ばれる事に違和感を感じている私としては、
こういう理不尽さこそ、
「侍」の本懐だよなぁ、と、思うのです。
そして、
為替相場で対決する今津屋と有楽斎の対決が、
また、面白いです。
舞台は、明和九年(1772年)。
この時代に、
まるで、『賭博黙示録カイジ』の、
限定ジャンケンの「カードの買い占め」みたいな感じで、
為替操作でシバき合いをしていたという所に、
驚きと面白さがあります。
今も昔も、
「中抜き」する立場の人間が、
最も儲ける、
その事を教えてくれます。
一方、
私が、個人的に興味が無かったのが、
メロドラマのシーン。
磐音と奈緒が語らうシーンは全て、
どうも、集中出来ませんでしたねぇ…
しかし、
クライマックス、奈緒が花魁になってしまったというオチは、
衝撃度が高かったです。
自らの罪悪感に耐えきれなかった為に、
磐音は奈緒を見捨てます。
都合の悪い事は忘れて、
江戸で心機一転、再出発…
の、ハズが、
自分が捨てた奈緒が、
身を売ったという衝撃。
罪悪感の清算を後回しにした為に、
もっと大きな罪悪感に苦しむことになるのです。
人生とは、
真にままならぬもの。
正に、
クライマックスに相応しいシーン
…のハズだったのですが、
なんと、このシーン、
予告篇でネタバレしていました!!
予告篇さえ観ていなかったら、
クライマックスの衝撃が、凄かったハズ。
それが、
まさかネタバレを喰らわすとは…
本作の予告を作った人間は、
万死に値します。
こういう細かい所で
作品の印象は大分違って来ますよね。
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イケメンでも、人生は厳しい
イケメンで、
喧嘩に強くて、
女にもモテモテ。
磐音はまるで、
中学生が思い浮かべる理想の男子像そのものなのですが、
そんな彼も、
人生は、ままなりません。
本人が、実直に生きようとしても、
その真面目ぶりをやっかむ人間というのは、
実社会でも確かにいます。
これはもう、
性格と好みの問題なのですが、
目立つヤツほど、
目立てば目立つ程、
その光に誘われて、
蛾の様に、有事が次々と舞い込んで来るのです。
人は常にないものねだりをしますよね。
イケメンだったら、
お金を持っていたら、
巨乳だったら、
モテモテだったのに。
しかし、実際は、
置かれた状況で、
その状況なりの苦悩が生まれるのです。
正しく生きていれば、
真っ当な人生を送れるかというと、
そういう訳では無い。
そういう現実を、
本作は突き付けて来ると言えるでしょう。
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豪華出演陣
本作は、
その豪華出演陣を観る事もまた、
楽しみの一つ。
ちょい役に、
ベンガルや陣内孝則を使う、その豪華さが凄いです。
出演陣の中でもやはり、
特別に目立っていたのは、
やはり、
時代劇の悪役と言えば、この人的な、
奥田瑛二と柄本明でしょう。
奥田瑛二は、ピエール瀧の代役として、
急遽登板したそうです。
しかし、
作品を観た限りでは、
どう見ても、ピエール瀧より、奥田瑛二の方が適役と言えます。
『ゲティ家の身代金』(2017)という映画も、
ジャン・ポール・ゲティ役をケヴィン・スペイシーで撮っていましたが、
彼のスキャンダルの影響で、
急遽、クリストファー・プラマーが代役で登板したという作品です。
『ゲティ家の身代金』は、たった10日間で再撮影を行ったのですが、
しかし、
ケヴィン・スペイシーより、
どう見ても、クリストファー・プラマーの方が役にマッチしていたという作品です。
短期間の、鬼気迫る撮影の為、
集中力が凄いのか、
意外と、
代役の方が、役にハマる、
そういう事も、あり得るのです。
有楽斎を演じたのは、柄本明。
時代劇に限らず、
現在の日本映画において、悪のボス役を演じさせたら右に出る者は居ないと言える存在です。
本作では、
まるで、インスタ映えを狙うキャバ嬢の如く、
終始、河童みたいに口を尖らせているという役作り。
白眉なのは、その断末魔、
白目を剥きながら、
呪いの恨み言を言い放つ様は、
鬼気迫る感じが、
逆に転じて滑稽さすらもよおす、
凄いシーンでした。
1948年生まれ、
御年70歳。
まだまだ、
演技が見たい役者です。
豪華な役者陣がそろった本作、
その演技を、
安心して堪能出来るのが、
魅力でもあるのです。
エンタメの要素をてんこ盛りし、
誰が観ても楽しめる、
王道作品と言える『居眠り磐音』。
TVシリーズが終わるのを待って、
映画化したという本作。
ヒットの如何によっては、
今後、シリーズが続いて行くのかもしれませんね。
*現在公開中の新作映画作品をコチラのページで紹介しています。
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コチラが、佐伯泰英(著)の原作小説の第1巻です
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