映画『ブレードランナー2049』感想  雰囲気映画の極地!?

 

 

 

Kはロサンゼルス市警の「ブレードランナー」。旧型レプリカント「ネクサク8型」を「解任」する為にとあるプラントにやって来た。処置の後、死んだ古木の根元に埋めてあった、あるトランクを発見する、、、

 

 

 

監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ
近年はSFチックな作品を多く手がけている。
他の監督作に、
『複製された男』(2013)
『プリズナーズ』(2013)
『ボーダーライン』(2015)
メッセージ』(2016)等がある。

前作の監督リドリー・スコットは制作総指揮にて参加。

 

主演のK役はライアン・ゴズリング
現在最も人気のある俳優の一人だろう。
他の出演作に、
『きみに読む物語』(2004)
『ブルーバレンタイン』(2010)
『ドライヴ』(2011)
『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』(2012)
『オンリー・ゴッド』(2013)
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)
『ラ・ラ・ランド』(2016)等がある。

前作『ブレードランナー』の主演、ハリソン・フォードも前作同様のデッカード役で登場する。

他、共演にアナ・デ・アルマス、シルヴィア・フークス、ジャレッド・レト、ロビン・ライト、デイヴ・バウティスタ等。

 

映画史に残る名作と言われる『ブレードランナー』。
私は正直ほとんど覚えていません。

また、SF小説は好きですが、いつか読もうと思いつつ、未だに読んでいない原作小説の『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』。

果たして『ブレードランナー2049』は前作の内容を忘れ、原作を読んでいない人間でも楽しめるのか?

とりあえず、さほどファンでは無い私の意見では、

この映画は『ブレードランナー』の続篇と言うより、
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のSF作品として観た方が良い。

 

前作はごちゃごちゃして猥雑な世界だった感じだが、今作は絵作りがスッキリしている。

街並みで言うなら、前作は用途によって色々、多国籍に過ぎ足していったごった煮感があったが、
今作ではある程度使った新品マンションみたいな感じを受ける。

ぱっと見の雰囲気からして前作とは違った印象である。

 

また上映時間も長く、描写がじっくりしているので

途中から眠気との戦いが始まる。

 

正直、ストーリーやテーマに真新しいもの、凝った物は無い様に感じたので、上映時間は半分でもいい感じだ。

なので、

過度にあの『ブレードランナー』の続篇!!
と期待せずに、独立した未来SF映画の一本と割り切った方が良いかもしれない。

 

その上で、『ブレードランナー2049』で観るべき点はその絵作りである。

場面毎の空間の拡がり、荒涼とした乾いた世界は寂しくもあり、美しい。

 

この「見た目」を楽しむ映画である様に感じた。

前作が大好きで、原作もちゃんと読んでいる人はまた違った感じを受けるのかも知れない。

前作との繋がりがほとんど分からない、あくまであまり思い入れの無い私の印象である。

 

 

以下内容に触れつつ私の印象を語る


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  • 続篇か、リブートか、新篇か

過去に流行った映画を再生産する。
その場合、大きく分けて3つの方法がある。

まずは、続篇。
これは前作の世界観、時間軸を引き継ぎ、直接の繋がりがある作品の事である。
例えるなら、映画『ターミネーター3』や漫画で言うと『キン肉マン』の38巻~60巻などがある。

次にリブート(新生)。
これは主人公や世界観の設定をほとんど変えず、しかし、シリーズとしての繋がりを断絶させ、新しく話を作り直すタイプの物である。
例えば
映画『スパイダーマン』シリーズ、
『アメイジングスパイダーマン』シリーズ、
スパイダーマン:ホームカミング』の関係、
また、『バットマン』シリーズ、
ダークナイト』シリーズ、
「DCエクステンデッド・ユニバース」の関係を考えてもらうと分かり易いと思う。

また、新篇という方法もある。
これは世界観を概ね同じとしながら、新たな主人公なり、大まかな設定を継承しつつ、新しい物語を作るタイプのものである。
これは『スター・ウォーズ』の4~6、1~3の関係、
また、『マッド・マックス』シリーズ、
『ゴジラ』シリーズ、
漫画で言うと『キン肉マンⅡ世』の様なタイプである。

 

さて、『ブレードランナー2049』はどのタイプか?
本作は「続篇」タイプである。

 

  • 新たな世界観の続篇

とは言え、監督も主人公も違い、本作は前作と全く違った印象の続篇となっている。

主人公のレプリカントKは、自身のアイデンティティを模索する。

作品のテーマ的な物は前作から継承しているが、絵作りが全く違うので続篇であるという印象が薄くなっている

本作『ブレードランナー2049』においては、見た目のスタイリッシュさが洗練されている。

空間を広くとり、場面毎に色彩を統一させ、空漠たる乾いた荒涼感を感じさせ、スクリーンに映し出される画面が一枚絵として美しく映える様に作られていた。

音についても、前作はいかがわしい、胡散臭いガヤであったのに対し、
本作では重低音が常に響いている「ドゥーン」といった感じである。

作品としては『ブレードランナー』の続篇である。

しかし、物語として前作の雰囲気継承したり、ストーリーを拡げようというよりも、
新たな監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴが自分の世界観で『ブレードランナー』を表現して見せた作品といった方印象を受けた。

雰囲気は前作『ブレードランナー』よりも、
監督の過去作の方に共通点がある。

続篇でありながら、まるで別作品というのは、
映画『エイリアン』の1~4に観られた。
本作もその感じである。

 

 

本作『ブレードランナー2049』では、多くの設定を盛り込みつつ、敢えてそれを解明せずに終わる。

これは、観た人間がそれぞれに自分で解釈をしつつ、各々の答えなり哲学を見出す為にそういう作りにしたものだろう。

それを意図した故に、映画自体もゆっくりじっくりした作り、場面毎にどっしりとした物になっている。

普通の映画ならば、テンポ良く、小気味良く、カタルシスのある作りを目指す。
しかし『ブレードランナー2049』で目指したものは場面毎のじっくりとした思索である。

スピードに慣れてしまった現代において、
本作の様に、立ち止まりつつ内省する様な映画を観るのもまたオツなものである。

 

前作はいろいろヴァージョンがあるが、「ファイナル・カット」とある分を観れば良いだろう


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さて次回は、盛り上がるストーリーがなんたるかを見せつける『ゲーム・オブ・スローンズ』第一章第9話について語りたい。