ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』第一章 第9話

『ゲーム・オブ・スローンズ』第一章第9話について解説したい。
第8話はこちら。

切っ掛けはどうあれ、回り始めたものは、一度はぶつからないと止められない。
そして、恐ろしい事態が起こってしまう。

 

監督:アラン・テイラー
脚本:デビッド・ベニオフ&D・B・ワイス

 


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  • エダート・スターク

キングズランディング
地下牢に再びヴァリスがやって来る。
ヴァリスはエダートに、サーセイに従い、息子ロブを止め戦を回避する様に促す。
サンサが助命を嘆願した事にも触れるが、エダートは名誉を捨ててまで生き長らえるつもりは無いと言う。
ヴァリスは娘の命は大事ではないのですか?と尋ねる。

ベイラー大聖堂に引っ立てられて行くエダート。
大群衆の中、ベイラー像によじ登っているアリアを見つける。
そして、群衆の中に紛れていたヨーレンを見つけ、「ベイラー」と伝える。
ジョフリー、サーセイ、パイセルベイリッシュ、ヴァリス、そしてサンサ等が聖堂の階段上に立ち並んでいる。
エダートは自分が玉座を狙った謀反人である事、ジョフリーこそが正統な王位継承者であると宣言する。
だが、ジョフリーはエダートの処刑を命ずる
サーセイの思惑、ヴァリスの計画、サンサの嘆願の全ては覆され、執行される。

 

  • アリア・スターク

キングズランディング
路上で浮浪児生活
をしているアリア。
群衆がベイラー大聖堂に集まっていると聞き、自分も向かう。
群衆を避け、ベイラー像によじ登ると、引き立てられて行く父エダートが見える。
エダートは罪を認め、ジョフリーが王と宣言する。
上級学匠パイセルが、ベイラー神の慈悲心についてふれ、謀反人の処遇を王に尋ねる。
だが、ジョフリーは処刑を命じ、群衆が沸き返る中、「ニードル」片手に突っ込んで行く所にヨーレンに捕まる。
「口を閉じて、俺を見ていろ」と抱きすくめられている間に、執行される。

 

  • キャトリン・スターク

スターク軍の野営地、双子城近く
河を渡るには、双子城の関門橋(クロッシング)を渡らねばならない。
城主ウォルダー・フレイ公の説得に、キャトリンが名乗りをあげる。

双子城、ウォルダーの御前、親族が沢山いるので人払いしてもらう。
ウォルダー・フレイは、タリー公に婚姻関係を申し込んだが断られた過去があり、キャトリンにもよそよそしい。
そして、自分の家族が関わっていない今回の戦は静観するつもりだと言う。

川縁の野営地で軍議中、キャトリンが帰還してくる。
渡河の許可が出て、軍勢も出す模様。
条件1、息子のオリヴァーをロブの従者にする事。
条件2、アリアが成人したら息子のウォルドンと結婚する事。
条件3、ロブはウォルダー・フレイ公の娘の一人と結婚する事。
ロブはその条件を呑み、軍勢は三叉鉾河(トライデント)を渡る。

合戦に向かったロブを野営地で待つキャトリン。
ロブの軍勢はラニスター軍のリヴァーラン包囲網を砕き、ジェイミー・ラニスターをも捕虜にする大勝利を収めていた。

 

  • ティリオン・ラニスター

ラニスター軍の野営地
スターク軍が双子城を南下、フレイ公の軍も加わったとの情報を得ている。
タイウィン・ラニスターはティリオンに、蛮族を率いて先陣を切れと命ずる。

自分のテントに帰ると、ブロンが娼婦シェイを用意していた。
彼等と身上当てゲームに興じる。
ティリオンには娼婦と結婚した過去があった。
そして、その相手をタイウィンの命令で何人もの部下に銀貨の報酬でもって買われたという経験があった。
翌朝、スターク軍の急襲を迎え撃つ為、ティリオンも出陣する。
アリンの蛮族達にハッパをかけ出陣するが、早々に気を失う。
その間に戦は終了。
相手の兵は2000あまりだったという。
残りの1万8000は何処?

 

  • ジョン・スノウ


モーモント総帥から剣を渡されるジョン。
モーモント家先祖伝来の業物、銘を「長い鉤爪(ロング・クロウ)」という。
貰えないとジョンは言うが、取っておけ、大人の剣に恥じぬ働きをしろ、お前と狼に命を救われたからな、と言われる。
サー・アリザー・ソーンに謝ると言うが、モーモント総帥は彼を王都に送ったという。

仲間に剣を見せるジョン、しかしサムは浮かない顔をしている。
サムは、ロブが挙兵し、南へ軍を連れて向かったと言う。
ジョンは俺も行かなければ、と言う。

学匠エイモンに呼ばれたジョン。
エイモンは「冥夜の守人」が独身を貫く理由を説く。
それは、愛が義務を殺すからだ、代償が無ければ義務を果たすのは容易だ、と言う。
そして、自らの出自がターガリエン家であると告白し、ジョンに選択を促す。
「留まれとも、行けとも言わない、自分で決めて、一生背負って生きろ」と。

 

  • デナーリス・ターガリエン

エッソス
騎行中のカール・ドロゴが落馬する。
馬に乗れない者は王では無いと言われるが、デナーリスはここで野営すると宣言する。

サー・ジョラー・モーモントがドロゴの傷を確認する。
傷が膿んで今夜死ぬ、アッシャイに逃げようとジョラーは言うが、デナーリスは拒否し、ミリ・マズ・ドゥールを呼ぶ。
魔術を使ってでも治せと命じるが、ミリ・マズ・ドゥールはそれには「死」の代償が必要だと言う。
それに反発したドロゴの騎手に突き飛ばされ、デナーリスは産気づく。
ミリ・マズ・ドゥールが産婆だというイリの言葉を聞き、ジョラーはドロゴに魔術を使っているテントの中にデナーリスを運んで行く。

 

  • 新キャラ紹介

双子城

ウォルダー・フレイ
双子城に住み、関門橋(クロッシング)の開閉を意のままにしている。
あだ名は「遅参公」。
多くの妻、子供、私生児がいる。

 

  • 新用語解説

キングズランディング

ベイラー大聖堂
ターガリエン王朝の時代、七神正教を篤く信仰していたのがベイラー。
聖徒王と呼ばれていた。

 

長い鉤爪(ロング・クロウ)
モーモント家に5世紀に亘って受け継がれてきたヴァリリア鋼の剣。
柄頭は熊だったが、ジョン・スノウ用に狼に変えられている。

 

 

『ゲーム・オブ・スローンズ』中で最も衝撃のシーンと言えば、このベイラー大聖堂のシーンだろう。

サーセイの思惑やヴァリスの計画、サンサの嘆願。
全て一瞬で無に帰したジョフリーの狂気が国に戦乱を呼び起こす。

捕虜交換という妥協点は失われ、血で血を洗う時代に突入する瞬間であるのだ。

興味深いのがベイリッシュ公の表情。
彼は満足そうだ。
ある時点まではエダートを推して、上手く操縦しようとしていた彼も、それが叶わぬと見る(第一章第8話)や、即手を切り、積年の恨みを晴らす方向に向かったのだろう。

方やヴァリスは平和のためと言ってエダートを必死に説得する。
イマイチ信用できないが、デナーリスが攻めてきた時に、エダートが有用と思ったのか?
それとも、死んだ狼より、従順な狼の方がいいと考えたのか、今となっては分からない。

このエピソードは、話の流れも上手い。
冒頭のエダートとヴァリスのシーン。
名誉の為に死を選ぶというエダートに、
娘の命はどうなる?とヴァリスは問いかける。

中盤、「壁」の学匠エイモンはジョン・スノウに義務と愛の天秤が、いかに辛いかを説くシーンがある。
ジョン自身、「冥夜の守人」の誓約と兄弟愛の天秤に悩まされている。

このシーンもいい。
人生を経た老人から見た世界と、前途ある若者が見る世界は違う。
相手がわざわざ助言してくれるという事は、その人もそういう思いを経て今を生きているという事だ。
しかし、若者にはそれが分からない。
お節介のように映ってしまうのだ。

そして、エイモンに父の事を聴かれたジョンは、父は天秤の「正しい方を選ぶ」と答える。
エダートが選択した正しい事とは?
名誉か、家族愛か?

エダートは家族愛を選択する。
エダート程の高貴な男でも、家族への愛の前では、正義を貫く事が出来なかった。

だが、家族を殺してでも貫く正義は「正しい事」なのか?
一体どうすれば良いと?
エダートは悩んだに違いない。

しかし、その想いをジョフリーは踏みにじるのだ。
斯くして、作中、最も邪悪な憎まれ役が誕生する。

作中で最も高貴だったエダートが死んだ。
嘘と裏切りに会い、義務と名誉に悩まされ、
しかし、最後は部下も名誉も失った彼は、潔く処刑される。

彼の最期、脳裏に浮かんだものは何か、怒れる群衆か、家族の未来か、自分が処してきた罪人達の事か?

ともあれ、エダートの死が逆に、王位争奪戦の火蓋を本格的に切る事になる。
その顛末は次回以降。

 

 

分厚いので安定して直立する原作本

 


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次回は『ゲーム・オブ・スローンズ』第一章第10話について解説したい。