サトシは10歳になったばかりの少年。マサラタウンでは10歳になると相棒のポケモンをもらえます。しかし、寝坊してしまったサトシには余り物のポケモンしか残っていません。そいつの名前はピカチュウ。サトシは一目見るなり気に入りますが、、、
監督は湯山邦彦。
『ポケットモンスター』のアニメシリーズの総監督を務めている。
主演サトシの声優は松本梨香。
ポケモンアニメの主題歌も彼女が歌っている。
相棒のピカチュウは大谷育江。
「ピカチュウ!!」と喋るだけで何を言っているのか分かるのがスゴい。他出演作に
『ONE PIECE』のチョッパー
『名探偵コナン』の円谷光彦 等。
他、いつものレギュラー陣、林原めぐみ、三木眞一郎、犬山イヌコ、石塚雲昇。
他ゲストキャラに本郷奏太、佐藤栞里、中川翔子、古田新太 等。
本作『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』の初報が出たときは(ポケモン界隈で)話題騒然だった。
次回の映画は一話リメイクか?
初代の作り直しか?と様々な憶測が流れ期待が膨らんだ。
しかし、予告編の第2弾が流れるなり評価は一変。
タケシやカスミの登場が期待されたが、その位置には別のオリジナル新キャラが座っており、初代リメイクを望む向きからは失望の声が聞かれた。
結局、第1話ネタを使って、ファンを釣っただけなのか?
しかし、作品の評価は観るまでは確定出来ない。
実際どうだったのか?
面白かった。そして、懐かしかった。
序盤はアニメ第1話のリメイクをメインに進め、そこから新しいサトシの旅立ちの物語を描いている。
1話リメイクの後は映画独自の話になってゆくのだが、その
映画オリジナル部分も過去のポケモン映像作品のオマージュとなっている。
アニメ20周年と言う事で、今までポケモンを見続けた人へ向けた総集編的な意味合いがあると感じた。
もちろん、私の様にポケモンアニメはちょくちょく観ていた位のうろ覚えファンにも、それどころか1度も観たことがない人にも友情とバトルで楽しい映画となっている。
観もせずに「懐古ファンに媚びろ」と喚いていた輩を完全に黙らせる。
20年という歴史があるからこそ、
観る人の思い出と懐かしさに訴えてくる。
この『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』は
長年のファンも、ちびっ子も、昔ポケモンが好きだったかつてのファンである親たちも、等しく楽しめる映画となっている。
迷っている位なら、必ず観にいくべきである。
以下ネタバレあり
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初代リメイクにしなかった理由は?
出演が期待されていたタケシやカスミ。
アニメ初代の人気キャラだが本作『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』には出てこない。
第1話をリメイクしておいて、初代キャラを出演させなかったのは何故か?
それは、本作がポケモンアニメ全体のオマージュを目指したからであろう。
タケシ&カスミを出してしまうと、初代のみに焦点があたる。
しかし、新キャラを上手く使う事でオマージュの範囲を拡げる事に成功している。
ソウジが持つルカリオは過去の映画作品『ミュウと波動の勇者ルカリオ』を思い出させる。
マコトはシンオウ地方のトレーナーで、ポッチャマもアニメ版と同じ声優(小桜エツ子)であった。
ライバルキャラのクロスとヒトカゲの関係は、アニメの『ダイアモンド&パール』篇のシンジとヒコザルを思い起こさせるものだった。
初代を基本に起きつつ、他の過去作品にも手を伸ばす、贅沢な作りとなっているのだ。
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過去作オマージュ
本作『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』では過去作のオマージュが多く見られる。
オリジナルキャラのソウジ、マコト、クロスは3人とも『ダイアモンド&パール』篇を思い起こさせる。
エンテイ、スイクン、ライコウはジョウト地方を思い出させる。
もちろん映画の『結晶塔の帝王 エンテイ』も想起させる。
ヒトカゲはその鳴き声(三木眞一郎)だけで初代の記憶が蘇ってくるし、唐突な波乗りラプラスなんかも出てくる。
極め付きで「バイバイバタフリー」の再現まであるのだ。
そして、冒頭はアニメ第1話そのものだ。
だが映画のサトシは、その後アニメのサトシとは違う道をとる。
違う道を辿りながら、しかし過去作のアニメを彷彿とさせる展開が待っているので、観ていて新鮮ながらも懐かしい思いが出来るのだ。
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マーシャドーって結局何?
マーシャドーの役割は何だったのか?
それは、ホウオウのカウンターパートだったと考えればしっくりくる。
「虹色の羽根」を持つ者がテンセイ山へと辿り着いた時、それが清き心を持っていた場合はホウオウと、悪しき心を持っていた場合はマーシャドーと戦う事になる。
命を与えるホウオウに対し、悪夢を見せたり他のポケモンを操るマーシャドーは攻撃的な存在だ。
恐らく、ホウオウに会う資格なし、と判断した相手を排除する役割を持っていたのがマーシャドーなのだろう。
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サトシが復活出来たのは何故?
これは私の推測なので読み流してもらいたい。
中盤、サトシはマーシャドーに見せられた夢で「ポケモンがいない」世界に迷い込む。
そこは色が薄い世界。
オーキド博士は先生で、サトシは担任のキクコ(?)の授業をつまらなそうに聞いている。
しかし、そんな世界でもサトシの冒険心は抑えられず、いないはずのポケモンの存在を思い出す。
(それは、恐らくピカチュウの呼びかけがあったからだろう)
そして、終盤、サトシが光の粒子になった時、ピカチュウはその中に飛び込む。
そこは再び色の薄い世界で、そこでサトシはピカチュウと再会し現世に戻ってくる。
これはどういう事か?
恐らくポケモンのいない世界のサトシとポケモン世界のサトシは一度マーシャドーによって繋がっていた。
ピカチュウは光の粒子からサトシの夢の世界(記憶の世界)へと赴き、そこでポケモンのいない世界のサトシを見つける。
そこで、ポケモンのいない世界のサトシはポケモン世界の自分の記憶を思い出し(繋がって)、ポケモン世界への帰還(召喚)を果たす。
つまり、復活したサトシは消えた元のサトシの記憶を持つ、夢の中のサトシなのだと考えられる。
このサトシは、マーシャドーが夢で作った存在なのか、パラレルワールドの存在なのかは分からない。
しかし、夢の中でもまだ見ぬ世界を望んでいたサトシが、ピカチュウに導かれ(思い出して)ポケモン世界へとやって来たように見える。
夢の中の存在が、命を得て生まれ変われるのか?と疑問に思われるかもしれない。
しかし場所は、かつてエンテイ、スイクン、ライコウに生命を与えたホウオウのお膝元であるテンセイ山。
(名前も「転生」を想起させる)
サトシのエネルギーが残っている間に、ポケモンとトレーナーの絆が奇跡を生んだのかもしれない。
今までずっとファンだっ人も、かつてポケモンが好きだった人も、その懐かしさに心震える『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』。
しかし、一番の衝撃シーンはクライマックスでのピカチュウの鳴き声である。
それが一体どんな鳴き声なのかは、全ポケモンファンが観て、聴いて欲しい。
きっと心に残るだろう。
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次回は『ツイン・ピークス』第26章について解説したい。