孤独のグルメ Season1 第十一話
文京区根津飲み屋さんの特辛カレーライス
監督:溝口憲司
脚本:田口佳宏
出演:
井之頭五郎:松重豊
織物屋・マキ:小沢真珠
すみれ女将:市川千恵子
すみれ若女将:美保純
酔っ払い客:モト冬樹
ふらっとQUSUMI:久住昌之、佐藤正宏
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*タイムラインはBDソフト準拠となっております。
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ドラマパートあらすじ
荒川区、日暮里の駅を降りた井之頭五郎。
知人に葉書をもらって訪ねて来た。
途中、かりんとう饅頭を味見(53:00)、お土産に20個も買って行く。
織物屋をやっているマキの店に到着。(53:55)
サンドイッチを食べていたので、出直そうとした所、呼び止められる。
犬のキュー太もご挨拶。
五郎さんのアドバイスで、織物教室と雑貨店を一緒にやっているマキ。
生き生きとしていて、この町に合っているなと五郎さんも一安心。
では、また、と別れた五郎さん。
あのサンドイッチ美味さそうだったなぁ…、
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「何だか、腹が減って来た」(57:00)
ポン、ポン、ポォン。
店を探そうとした五郎さん、しかし、お茶を飲み過ぎた所為か、急に尿意に襲われる。
マキの店に戻るも留守。
仕方なく、通りすがりのお店でトイレを借りる事にする五郎さん。
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すみれ
居酒屋でトイレを借りた五郎さん。
とは言え、このまま出て行くのもどうかと思った五郎さん。
「確かに、腹も減ってるし、ここは」
と、鳥煮込みを注文する。
「無理なさってませんか?」と気遣われるも、
「いや、決して」と返す。
「こんな店を雑貨気無い店って言うんだろうなぁ」と店を眺める五郎さん。
鳥の煮込み。(01:00:22)
「鳥の煮込みって、珍しいかもしれない」
「うん、美味い、いいなぁ鳥の煮込み、体も温まりそうだ」
全然物足りないぞと五郎さん、もう一杯頼むと、若女将が言う、
「何か食べたいものありますか?」
どうやら、常連さんのリクエストに合わせる内に色々作る様になったとの事。
そこで、五郎さんの無茶ぶり、サンドイッチが食べたいとのリクエスト、
しかし、良いですよ、と了承される。
「何て店だ、この町の雰囲気のままの居酒屋というと、こういう風になるのか、何だか、楽しそうだなぁ」
そして出て来たのは、何と鯖サンドイッチ。(01:03:01)
「鯖サンド、大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ、いや、大大大丈夫だぁ」(01:03:40)
「一瞬生臭そうに思ったが、全然良いじゃないか」
「何だか、胃袋に新しい歴史が刻まれた様だ」(01:04:12)
「鯖サンド事件」
「こんなに日本茶に合うサンドイッチ、始めてだ」
五郎さん、初めて来る場所なのに、すっかり馴染んでいる。
何だか、婆ちゃん家のように和んでいる五郎さん、
婆ちゃん家のライスカレーが食べたいと思い、カレーを注文してみる。
「出来ますよ」
「いや、でも、大丈夫?食べ過ぎじゃないですか?」(01:05:30)
と遂にツッコまれた五郎さん。
いえいえ、と否定する。
いい匂いがして来て、特辛カレーライスが登場。(01:05:38)
これぞ、婆ちゃん家のライスカレーとご満悦の五郎さん。
「うんうん、ちゃんと辛い、ちゃんと美味しい」
「カレーは、いつ、何時食べても嬉しい」
「いいねぇ、じゃがいもゴロゴロタイプ」
「付け合わせがらっきょちゃんなのも心憎い」
「正に、日本料理のカレーだ」
カレーを堪能している五郎さん。
そこに、酔っ払いが入店して来る。(01:07:06)
「ハッ、シケた店だぜ」
酔って態度が大きくなっている男、部下と見られる男性の制止に構わず絡んでくる。
「あぁ?カレー?シケた客がオイ、しみったれたカレー食ってんぞ」
カチャリ、とスプーンを置く五郎さん。(01:07:46)
「私の事はいいですよ」
「酔っ払って、この店とこういうカレーを悪く言うのは止めて下さい」
酔っ払い、「何か文句があるのか」と、割り箸をぶちまける。
カレーの上にも乗っかってしまった。
「表へ出ましょう」
女将さんが帰ってくる。(01:08:14)
見ると、五郎さんと酔っ払いが店の外で対峙している。
「止めましょう、あなたは酔っ払っている、静かにかえった方がいいです」
そう警告する五郎さん。
酔っ払いの部下の男性も頻りに制止するが振り払われる。
しかし酔っ払い、「デケぇ面すんじゃねぇぞ、何だその面は!」
と殴り掛かって来る。
五郎さん、そのパンチを捌き、
そのまま酔っ払いの腕に流れる様にアームロックを極める!(01:08:36)
「すみません」と謝る部下に連れられ、スゴスゴと退散する酔っ払い。
「あぁ、やってしまった、いかんなぁ」
「さ、残りを食べなきゃ」
店に戻った所で、若女将に声を掛けられる。(01:09:03)
「大丈夫ですか?お客さん」
お騒がせして申し訳ありませんでした、と謝る五郎さん。
直ぐ食べて退散しますと言うが、
若女将はカレーを温めますから、と言って互いにお皿を持って押し問答。
「いや、勿体ない、カレーはさめたままでも十分美味しいんです」
食べたら直ぐに行くと言うが、
結局「ちゃんと温かいものを」と言う若女将に押し切られて、お皿を預ける。
カレーの食べ直し。(01:09:24)
気を遣って、戻って来たカレーはやや増量されているようだ。
「美味い」
「カレーの匂いと辛さが、嫌な気分を一発で消し去ってくれる」(01:09:47)
「気のせいかもしれないが、このルーのトロリ感とか、死んだ婆ちゃんのライスカレーに似ている」
食べ終わった五郎さん。(01:10:07)
「美味しそうに召し上がるわねぇ」と女将さんも感嘆しいている。
その女将さんが、なんと手土産をくれる。
カレーだそうだ。
「お土産までもらってしまった」
「きっとまた、食べたくなるカレーだ」
「また、来ちゃうんだろうなぁ」
カレーとお店を堪能しつつ、
しかし、喧嘩はまずかったと反省しながら去って行く五郎さんでした。
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ふらっとQUSUMI(01:11:42)
今回の舞台、居酒屋「すみれ」。
お店で待ち構えていたのは、久住さんの知り合い、ワハハ本舗の佐藤正宏さん。
彼の紹介で取り上げられたそうです。
*2012年当時のデータなので、現在も営業中なのかは要確認
先ずは焼酎のお湯割りで乾杯。
そして、鳥煮込みに舌鼓。
「この汁だけで、飲めるもん」
そしてやっぱり、カレーも食べる久住さん。
「これ、お皿が人の家みたいでいいね」
色々な裏メニューがあるのも、お客さんのリクエストに応えた事で増えていったとの事。
佐藤さんなんか、弁当を作ってもらった事もあるとか。
こんな居酒屋他にあるのか!?
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声に出して言いたい!五郎さんの名台詞
今回の、「声に出して言いたい」五郎さんの名セリフは、
「何だか、胃袋に新しい歴史が刻まれた様だ」(01:04:12)
鯖サンドイッチ。
こんな思いがけないものに出会って、しかも美味しいとくれば、自然とこんなセリフが出て来るのだ。
「カレーの匂いと辛さが、嫌な気分を一発で消し去ってくれる」(01:09:47)
カレーって、匂いだけで食欲をそそる素晴らしい食べ物です。
そして、ピリリとした辛さが、舌と脳髄をくすぐる。
美味しいものを食べ、その幸せで嫌な気分を吹き飛ばしちゃいましょう。
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感想と解説
今回のエピソード、珍しい五郎さんが見られます。
まず、織物屋のマキとの会話では、フランクな感じで五郎さんが喋っています。
年下でも敬語で丁寧な対応をしているのが基本の五郎さん。
後輩なのか、仲が良いのか、素で話をしているのって、珍しいですね。
そして、「すみれ」での五郎さん。
先ず、なんとなく若女将が色っぽい感じなんですよね。
若女将を演じた美保純の雰囲気がそうなんですがね。
(実際のお店の若女将も、笑顔が可愛い感じの感じの良い人ですね)
それに触発されたか?
なんとなく、五郎さんもいつもとはちょっと違う感じです。
普段は、食に集中して独白がメインとなっています。
しかし今回は、食の合間に若女将とのコミュニケーションが挟まれます。
いつもなら、五郎さんが食べる時は正面のショットを基本に、五郎さんにフォーカスを当てた撮影になっています。
一方今回は、カレーを食べている五郎さんと、
それをなんとはなしに見ている若女将を同一の画面に映しているのです。(01:05:55)(01:10:08)
珍しく、食べる五郎さんと料理を提供するお店の方との関わりを同時に描いて居るのですね。
何となく、女っ気が無いイメージの五郎さんですが、
今回は、若女将とイチャイチャしている様子が面映ゆいです。
「食」が絡めば、五郎さんもラブシーン、いけるんですねぇ。
そして、お店の雰囲気を気に入り、
若女将とイチャイチャしていたからこそ、
この後の展開、まさかの喧嘩場面に繋がるんですね。
「食」という雰囲気、空間に独特の拘りのある五郎さん。
それを、何の思いやりもなくぶち壊してしまった酔客が、普段は温厚な五郎さんの怒りに火を付けます。
喧嘩によって勝敗を左右するのは、
先制攻撃と思い切りと、体格。
単なる酔っ払いと、
自分のしている事を弁えている五郎さんとでは勝負になりませんでした。
原作、1巻でも五郎が「アームロック」を極めるシーンがあり、
ネットなんかでもネタとして人気があった場面。
漫画とは流れが違うものの、まさかの再現である。
とは言え、漫画ほどマッチョな展開では無いというのは、五郎さんの行動に表われています。
まず「表へ出ましょう」(1:08:01)というセリフ。
これは、怒りに任せて言ったセリフでは無く、
割り箸をぶちまけた相手の態度を見て、このまま店の中で言い合いになるのは、お店自体に迷惑が掛かると冷静に判断したからなんですね。
「食」という空間、
お店と若女将を巻き込まないようにとの、五郎さんならではの心配りです。
そしてちょっとイイのが、五郎さんは喧嘩をちゃんと反省している所。
人間、已むにやまれず他人と闘争せねばならない事態に陥ることも、ままあります。
この緊急事態でも五郎さんを臆せず受けて立ち、
しかし、避けられた事態かもしれぬとちゃんと反省出来ている所が、なんとも言えず良いんですよね。
ダンディな五郎さんの魅力が全開のエピソード。
それが今回なんですよ。
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