ドラマ『孤独のグルメ Season2 第三話 中野区沼袋のわさびカルビと卵かけご飯』感想 あらすじと解説

孤独のグルメ Season2 第三話
中野区沼袋のわさびカルビと卵かけご飯

 

監督:溝口憲司
脚本:田口佳宏

 

出演:
井之頭五郎:松重豊

マスター:鈴木正孝
奥さんバイト:高橋生子
女性バイト:塩谷恵子
真田香織:中山エミリ
真田良子(母):大橋蓉子 他

ふらっとQOSUMI:久住昌之

 


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*タイムラインはBDソフト準拠となっております。

 

  • ドラマパートあらすじ

中野区沼袋で駅から出て来た井之頭五郎。

商談まで時間があるので、ぶらりと歩くと銭湯が。
入り口の灰皿脇で、野良一服をする。

喫茶店で商談。
スムーズに終わり、五郎さんは自分にご褒美、チョコバナナクリームタルトを注文する。(01:13:28)

「美味ーい。チョコパウダーのチョイ苦がイイ」

「紅茶が合うなぁ」

「生クリームとチョコとバナナ、誰が考えたんだろ、このナイスな組み合わせ」

「お菓子の家を見つけたのはヘンゼルとグレーテルだっけ」

一人ヘンゼル、グレーテル気分」(01:14:47)

 

五郎さん、もう一仕事。(01:15:04)

母親がやっている洋服屋に合わせて、アンティークの家具などを入れたいとの事。
その話の途中、当の母親がかしましく乱入してくる。
微妙な作り笑いで場を誤魔化す五郎さんであった。

「新規の客は気を遣うなぁ」

 

  • 「その所為か、無性に腹が減った」(01:17:50)

ポン、ポン、ポォン

「よし、店を探そう」

今日はスタミナ系を入れたいと思う五郎さん。
色々探し回る内に、住宅街に紛れ込んでしまう。
しかし、さらに歩き回ると、その住宅街のど真ん中に焼肉屋を発見。

まるで砂漠の中のオアシスじゃないか」(01:19:22)

その看板も個性的、
「飢える、噛む!」(ウェルカム)

「コレだ、まさに俺が食いたかったのは。即決」

 

  • 平和苑(01:19:40)

店の前で炭を焼いているお母さんに尋ね、店の中に入る五郎さん。
ニオイ防止のビニール袋をもらい、中に鞄と上着を入れる。

「どう攻めようか」

メニューをもらって一人作戦会議の五郎さん。
色々あるカルビ、特上とオススメで迷う。
わさびカルビや、”丸”なんてのもある。
ホルモンも一通り、ホルモン皿は全部入りだろうか?

うーん、焼肉は順序だ。頼む段取りで勝敗が決まる」(01:21:18)

店員さんに質問する五郎さん、
「三角は?」「肩バラです」
「丸は?」「太もも辺りの肉ですかね」

それを聞いた五郎さんの注文、
丸と三角、わさびカルビ、ライス(中)、ウーロン茶。

 

「丸、三角か、こうなると四角と行きたいが、あるわけ無いよな」

「あっ、あった」

しかもそれは、「超四角」であった。

 

小皿と七輪がやって来る。
テーブル中央のくぼみに、炭を入れた七輪を置くスタイル。

オーナー、「キャベツが出てないか」と言いつつ、
ボウルに入った山盛りキャベツを持ってくる。

「肉が出来るまで、コレでお腹一杯にしていて下さい」

 

「イキナリ段取りを崩して来るなぁ」

腹一杯になったら肉が食えなくなるじゃないか」(01:22:44)

「それにこのキャベツ、実家の台所みたいだ」

そう言いつつも、タレを付けてキャベツを食べてみる五郎さん。(01:23:33)

「お、しっかりした味」

パリッ!

美味い!…というかマズイ、本当に腹一杯食っちゃいそうだ」(01:23:33)

 

そして到着、わさびカルビ。(01:23:43)
店員さんが焼き方を一枚分使って教えてくれる。
少し色が付く程度に焼いてひっくり返し、わさびを載せて食べる流れ。
早速それを食べる五郎さん。

「何じゃ、コリャ、肉なのに、お刺身?」

「ええ~、こんなもんだったよな」と2枚目。

「あっと驚く為五郎、七輪で焼く刺身、焼刺身」

コツを掴んだか、一気に4枚の肉を焼く五郎さん。
それに合わせ、必死にわさびをする。

「早くすらなきゃ、焼けちまう」

「クルッ、クルッとゴローン、良いじゃないか、良いじゃないか」

「わさびタップリなのに、鼻に来ない、すっげぇ美味い」

「わさびカルビ、恐るべし」

五郎さん、なんと肉に夢中でご飯を疎かにしていた。

「いかん、ご飯食べるのを忘れていた」

 

三角(01:27:53)
この三角も少~し焼くだけで、レモンを搾って食べるとの事。

「こんなに真剣に肉を見つめる焼肉は初めてだ」

よし、と一声、レモン汁を搾って食べる。

「なるほど、そうきたか」

「おお、汁がジュワーッ、いくらでも飯が入る」

「おっとっとっと、少しだけ焼くって、全然休んでる暇が無いなぁ」

「美味いなぁ、三角丼ってかんじだ」

 

。(01:30:39)
これはしっかり焼く。
そして、レモン汁で食べるとの事。

「よし、今度は一気に行くか」

「今度はじっくり焼きだから、少しゆっくり出来るな」

五郎さん、周りを見る余裕が生まれる。
他のお客さんが、オーナーにホルモンを焼いてもらっている。

そうこうする内、「もういいんじゃないか」

「どれどれ、ハフハフィー、うん、美味い」

「肩、太もも、しっかりした筋肉の味、丸、花丸だ」

 

そこでふと五郎さん、タレに行って無い事に気付く。
ホルモンは塩、チャンジャやナムルも良いけれど、

「今日はとことんシンプルに、米と肉で行こう」

と決断、「楽しみだなぁ、タレ」

 

オススメカルビ。(01:33:28)
カルビと共に、オーナーが「焼きましょうか?」と、やって来る。

オーナー、持論を展開、

「カルビをね、一枚一枚焼いてちゃ駄目なんですよ、直ぐ肉が固くなっちまいますからね」

「こうやって蒸す様に焼くんです」

そしてドバッとタレをかけるオーナー。
「炭が消えちまったんじゃないのか?」
と心配する五郎さん。

「そのまま召し上がって下さい」とオーナー。

 

「うん?」

「こ・れ・は、美味い!」

「今まで食ってきた数多のカルビとは別物だ」

 

五郎さん、ライス中のお替わりを頼む。
するとオーナー、「卵かけご飯にしますか?」と尋ねる。
五郎さん、お願いしますと言う。

 

卵かけご飯。(01:35:21)
塩納豆のオマケ付き。
こちらもオーナーが作ってくれる。

「ほう、ああ、美味しいです」

我が意を得たりとオーナー、

やっぱりね、卵でも醤油でも肉でも、本物を食べなきゃいけないんですよ」(01:36:09)

「私いつも言ってるんですけどね、特に若い時に本物を食べないと、味覚がね」

「どうぞ、ごゆっくり」と去って行くオーナー。

 

「死んだ婆ちゃんも、そんな事言っていた」

「塩納豆、良い働きをしている」

 

肉とご飯をかき込む五郎さん。

ニンニクのニオイと肉の煙に巻かれて食べてこその焼肉」(01:37:15)

「明日の事なんか気にしてる場合じゃない」

「焼肉のシメに卵かけご飯って、全く発想が無かった」

「鳥に繋いで、逃げ切って勝利という方程式」

「美味かった」

 

ふと気付く、結局小皿のゴマ、使わなかった、と。

 

退店。(01:37:55)
ごちそうさまでした、いい汗かかせてもらいました、と五郎さん。

行きがけに見た銭湯にでも寄っていくか、と考えながら去って行くのである。

 

  • ふらっとQUSUMI(01:38:58)

平和苑に訪れた久住さん。

今回はブックディレクター、幅允孝さんがゲストで登場。
『孤独のグルメ』のファンとの事。

*ブックディレクター:人と本が出会う様にテーマに添った本をオススメするお仕事。


*2013年当時のデータなので、現在も営業中なのかは要確認

 

早速わさびカルビを頂く二人。
片面にツヤが出たら裏返してわさびを載せて食べる。

「あんなにわさびを付けたのに、そんなに」

幅「辛さが溶けてます」「ちょっと良い風吹いてくるかんじですよね、爽やか」

と、言いつつ二人で焼いている所にオーナー現る。
ドラマ通りの世話焼らしい。

Tシャツにも「I♡2Q」との文字。

 

オススメカルビを焼いてくれるオーナー。

「こういうのはね、ちょっと一枚ずつ焼かないでね、蒸すように焼くんですよ」

こう皆さん達、こうやってね、一枚ずつ焼いて食べるでしょ、食べっと、途中から段ボール食ってる様になるんですよ」(01:40:52)

タレをブワッとかけて蒸す様に焼くと、スモーク状、炭のニオイが肉に付く。

 

そして、超四角カルビ。

中身は冷たいままでも、噛めば噛む程味が出てくる。

「大体こういう構えの店で、こういうのがあるのちょっと不思議なんですよ」と、オーナー。

 

幅さんが語る『孤独のグルメ』。

ハードボイルドな男が、食べる順番とかおかずのバランスとか気にしている。
それを語らずに、表情とか箸の迷い具合で見せてくる。
その余白の大きさが好きだと言う。

久住さん、
余白ってのは嬉しいですね、
TVも余白を活かしてくれてますよね。

幅さん、
そうなんです、僕は正直言って、実写化すると聞いて大丈夫かしら?と思った。

久住さん「私も」

幅さん、
あの余韻は語らないからいい。
でも、意外と言えば失礼だが、ちゃんとトーンが生きている、
松重さんがちゃんと五郎に見える、と興奮気味。

 

最後はオーナーの一押し、上ミノ。
全部一辺に焼く事で、その独特の食感が楽しめるとの事。

「今まで見た事のないミノですね」

「うわ美味しい、香ばしい肉の香りしかしない」

「ヤバイんじゃないの、この店、本当に美味しいよコレ」

と、マジに喜んでいる久住さんであった。

 

  • 声に出して言いたい!五郎さんの名台詞

今回の「声に出して言いたい」五郎さんの名セリフは、

 

美味い!…というかマズイ、本当に腹一杯食っちゃいそうだ」(01:23:33)

本番前の付け合わせのハズが、あら不思議、これもマジで美味い。
こっちは腹が減ってるんだから、下手にこんなに美味い物を出されたら自制が効かないじゃないか!
そんな時に心から洩れるセリフである。

 

ニンニクのニオイと肉の煙に巻かれて食べてこその焼肉」(01:37:15)

いやぁ、やっぱりね、折角焼肉を食べるのなら、美味しく行きたいじゃないですか。
ニンニクのニオイとか気にして、その幸福感を逃す手は無いんですよ。
躊躇するな!焼肉を堪能するんだ!
その宣言なのである。

 

  • 感想と解説

先ずはドラマパート。

久々に見たら、中山エミリって可愛いですね、髪サラサラで。
何となく、ポジションをベッキーに奪われた感がありますが、今なら復帰出来るかも?

そして、母親役を演じた人の声が、
昔のアニメ『ドラえもん』の「ジャイアンの母ちゃん」の声に似ているなぁと思いました。

この二人の仲良さげな感じが、演技っぽくなくて良かったですね。

 

そして、焼肉回である。

Season1の第八話とはまた違った趣があります。

ストイックに焼肉に邁進していたのがSeasom1第八話だとしたら、
今回は食のコミュニケーションの部分もフューチャーされています。

 

先ず、七輪で炭火焼、っていうのが良いですよね。

そして特徴が、肉の焼き方を事細かく教えてくれる所に、味と拘りを感じますね。

おそらく、オーナーが世話焼なんでしょうね。

その主張が、Tシャツに表われています。

表は「I♡2Q」(アイラブ肉)。
裏はまるで『エヴァンゲリオン』みたいに明朝体の文字が並んでいます。

肉をただ出すだけで無く、
一番美味しいとされる焼き方、食べ方まで教示してくれます。

ドラマのオーナーの言葉は、
実際のオーナーの哲学なんでしょうね。

特にこのセリフ。
「やっぱりね、卵でも醤油でも肉でも、本物を食べなきゃいけないんですよ」(01:36:09)

これは、「美味しいモノを食べなければいけない」という主張でありながら、
その実、「ウチで出している肉とその食べ方こそが本物なのだ」というオーナーの矜持が感じられます。

こういう哲学や自身、拘りを持っている人間っていうのは、
それこそ味がありますよね。

それが、料理にも活きているんでしょう。

 

やはり、焼肉っていうのは、ある種の特別性があるじゃないですか。

その特別感を演出するのも、美味しさに一役、買う事になるのでは無いでしょうか。

食べ方を事細かに教えてくれる。

この、作法と七輪、煙もくもくの演出が、美味しさを増幅させる精神的な高揚感をもたらしてくれるのです。

 

焼肉を食べて、いい汗かきたい。

そして、「湯冷め」しないようにね、という五郎さんの言い方が優しげで印象的でもあるエピソードですね。

 

 

 


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