ラジオ番組のパーソナリティを務める、GENERATIONSの小森隼。ラジオ局の倉庫で、昔届いたリスナーからのカセットテープを見つけ、その後の番組の収録時、「テープ、届きましたか?」と不気味な声を聞く。
その後、ライブの練習時、挙動不審だった小森。そして解散後、姿を消す。
謎の鼻歌を残して、、、
監督は清水崇。
監督作に、
『呪怨』(2003)
『犬鳴村』(2020)
『樹海村』(2021)
『牛首村』(2022)
『忌怪島/きかいじま』(2023) 等がある。
出演は、
GENERATIONS/白濱亜嵐:本人
GENERATIONS/片寄涼太:本人
GENERATIONS/小森隼:本人
GENERATIONS/佐野玲於:本人
GENERATIONS/関口メンディー:本人
GENERATIONS/中務裕太:本人
GENERATIONS/数原龍友:本人(カメオ出演)
角田凜/マネージャー:早見あかり
権田継俊/探偵:マキタスポーツ
高谷さな:穂紫朋子
高谷詩織:山川真里果 他
清水崇監督は、ここ数年
ホラー映画を定期的にリリースしています。
「~村」シリーズを3作出した所で、
新しいフランチャイズとして、
「~島」シリーズを始めたのでしょうか?
『忌怪島/きかいじま』を今年、
公開しました。
が、
この『忌怪島/きかいじま』が、
まぁ、微妙な出来でした。
ぶっちゃけ、
『牛首村』もイマイチだったので、
「コレ段々、雑になってるパターンなんじゃない?」と、
感じました。
現在、ツーアウト状態、
そして今回公開される作品
『ミンナのウタ』は、
アイドルグループ「GENERATIONS」が出演している、
いわば、
タイアップ作品。
…三振目前です!!
で、実際鑑賞して、どうだったかと言いますと、
え?悪くないジャン、
寧ろ、面白い寄り!?
いや、
GENERATIONSのメンバーが出演します!!
アイドルが観たいでしょ?以上!!
みたいな作品だと思うじゃないですか。
確かに、出演者はGENERATIONSです。
しかし本作、
ホラー映画としての文法に則った作品なのです。
ちゃんと、
普通に、ホラー映画。
その出演者が、
アイドルだった、
それだけであり、
変な色眼鏡を持っていた自分が恥ずかしいですね。
ホラー映画としてのネタの面白さ、
展開の奇妙さ、不気味さ、
そして、ビックリネタ
ちゃんと揃っています。
良いじゃん、
こういうストレートなホラー映画、
夏に観るのにうってつけ。
そう、
意外と本作、
王道的なホラー映画と言えるのです。
ホラー映画ファンも楽しい、
GENERATIONSのファンも嬉しい、
ある意味、二度美味しい、のか?
期待してなかった分、
意外な面白さの作品『ミンナノウタ』です。
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『ミンナのウタ』のポイント
GENERATIONSが割とガッツリ出演(一名除く)
ビックリネタ多数
怪談と呪いの拡散
以下、内容に触れた感想となっております
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怪談の拡散と呪い
本作『ミンナのウタ』は、
GENERATIONSのメンバー6人がメインキャラという事で、
企画ありきの作品です。
しかし、
ホラー映画という観点からすれば、
基本に則った、王道的な作りであり、
普通に、面白い作品と言える出来でした。
本作におけるホラー部分は、
ラジオ局に埋もれていたカセットテープが、
実は「呪いのテープ」であり、
それに録音された「自作の歌」の「メロディ、リズム」に触れる
=感染する事で、呪われてしまい、
様々な怪奇現象に見舞われて、失踪してしまう
というものです。
怪談というものは、
人口に膾炙する事で拡散し、
その伝播の過程で、
元になった「ネタ」を基本として、
様々なバリエーションが発生します。
この「怪談の拡散」それ自体を「呪い」として描いたのが、
傑作ホラー小説『リング』です。
(その映画化作品は1998年)
本作はその「リング」形式を踏襲し、
「メロディ、リズムの認識」が、
呪いの感染、拡散、伝播の原因となっています。
しかも、
GENERATIONS(本人)は音楽を提供するアイドルグループである為、
その親和性は絶大、
スピーカー状態というか、
台風にてタンポポの綿毛を飛ばす位の勢いがあります。
観ている方は、
「オイオイ、下手すりゃライブ会場に来ている人間全滅じゃね?」と思うのですが、
まぁ、それはラストシーンにてほのめかす程度で
そこまでは語らないのは、ご愛敬。
要は、
鑑賞中に、「ヤベェ」と思わせれば、
成功なのです。
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ホラー映画における「省略」の強味
本作『ミンナのウタ』が割と面白かったのは、
構成の妙による部分が大きいです。
メイン出演者が「GENERATIONS」という事で、
全員を、
ある程度活躍させる必要があります。
で、ぶっちゃけ、
ホラー映画で活躍するというのは、
事件を解決するより、
派手に死ぬ事だと思うのですが、どうでしょう。
本作は「死ぬ」のでは無く、「失踪」なのですが、
GENERATIONSのメンバーが、
次々と犠牲になって行くのが、
ちゃんと、面白い所です。
で、
サバイバル系のホラー映画においては、
登場人物のロール(役割分担)がある程度決まっており、
例えば、
メインヒロイン(サバイバー)、
道化師、
ヒーロー(死に役)
ヤリマンビッチ
みたいなのを基本構成としていますが、
本作においては、
全員が男性アイドルという事で、
そういう型に嵌らなかったのが、
逆に、面白かったという面もあります。
又、
犠牲者はGENERATIONSに任せて、
事件の真相を追う探偵役として、
権田とマネージャーの角田を設置。
そして、犠牲者と探偵を横断する役として、
白濱亜嵐を置いています。
本作は、そういう部分にて
役割分担がスッキリしていて、観やすかったです。
また、
本作はホラー映画なので、
ある程度の省略は、
問題ありません。
例えば、
リズムやメロディに触れる事が、
何故、呪いになるのか?
そういう根本的な疑問も、
「ホラー映画だから」の一言で解決出来ます。
要は、
説得力のある「因縁」や、
呪いやお化けの恐怖描写が優れていれば、
その凄まじさでゴリ押しが効くのです。
『忌怪島/きかいじま』では、
その省略が上手くなかった。
恐怖現象が突拍子もなさ過ぎて、
「どうしてそんな事が起こるのか?」という疑問が先立ち、
ホラー映画では無視すべき「理屈」が気になったのです。
その比較として考えるならば、
本作は、
恐怖描写が優れている分、
省略も気にならなかったという部分もあったのかもしれません。
総じて本作は構成、演出が上手いですが、
私が唯一気になったのは、
物語の序盤部分です。
探偵の権田が家に帰り、
そこから物語が遡り、
「三日前」という後語りの形式なのですが、
これは、
権田が必ず生き残るという行動保証が確保されており、
サバイバル系のホラー映画においては、
よっぽど上手くやらないと、
単なるネタバレで終わります。
その危惧通り、
『ミンナのウタ』に於いては意図が読み取れない演出で、
本作で、その回想形式は採用すべきではなかったと思います。
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ビックリドッキリ演出
本作『ミンナのウタ』は
ビックリドッキリ演出があります。
結構ホラー映画好きの私でも、
「ビクッ」としたシーンが2つ程あって、
良かったですね。
因みに、
ビックリドッキリ演出とは、
YouTube番組の「BLACKHOLL」にて高橋ヨシキが言っていた
「ジャンピングスケア(jumping scare)」と同じ意味で、
要は、
椅子から飛び上がる位、観たらビクッとなる恐怖演出の事です。
一つは、
ホテルの廊下で、子供が駆けて来て、
関口メンディーに飛びつくシーン。
これは、
実は予告篇で観て、
予告篇なのに、ビクッとなりました。
いやぁ~、
こういう素晴らしいシーンは、
ネタバレ無しで本篇で観たかったですね。
もう一つは、
中務裕太が「高谷家」にて体験した恐怖のシーン。
延々とループする高谷(母)の独白が、
急にパターンを変えて、
「私の赤ちゃんドコ~」と言って迫り来る場面。
パターンを変えた時点で、
ヤバイのが来る!!と思わせた瞬間、
間髪入れずヤバくなるのが素晴らしいです。
このシーン、
実はテンプレコピペでは無く、
実際に、
高谷(母)の役者の山川真里果が、
何度も同じ演技を繰り返しているらしいですよ。
それ故の迫真なのかもしれませんね。
鑑賞前の印象では、
どうせ企画モノでしょ?
と、あまり、期待していなかった『ミンナのウタ』。
しかし、
ホラー映画の基本を抑えた王道の作りと、
ビックリドッキリ演出で、
充分楽しめる作品と言えます。
中々難しいでしょうが、
清水崇監督には、
日本ホラー映画界で、
これからも頑張って欲しいですね!!
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