ファンタジー小説『風の名前(3巻)』パトリック・ロスファス(著)感想 青春の大学時代

 

 

 

さて、『風の名前』の3巻だ。本巻は丸々大学の話である。ストーリーの進展というより、クォートが如何にして大学内で存在感を増していったのか、その課程が描かれている。そしてメインは、クォートの思う美しいもの。音楽と、彼の思い人の話だ。

受難続きだった人生に光があたる

 

なかなか気持ちいいシーンがあるが、それがいつまで続くのか、ちょっと不安もはらんでいる。

 

以下ネタバレあり

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ファンタジー小説『風の名前(2巻)』パトリック・ロスファス(著)感想 少年よスラムより這い上がれ!

 

 

 

パトリック・ロスファス著、『風の名前』の2巻である。

今巻では少年クォートの受難時代が描かれる。その設定は、これまたファンタジーでは定番の「家なき子」物語だ。

どうやら『風の名前』は、ファンタジーの定型文を意識してなぞっている様だ。
王道を行くのは簡単な様でいて難しい。
道なき道を切り拓く場合は、たどたどしくとも、その道行きだけで十分目立つ。しかし、整備された道路を行こうとするなら、他より堂々とした力強い道行きでないと目立たず埋もれてしまう。この

王道スタイルを追求してゆく姿勢

 

に期待して注目しつつ読んでいきたい。

 

以下ネタバレあり

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ファンタジー小説『風の名前(1巻)』パトリック・ロスファス(著)感想 久々!!期待のハヤカワ文庫ファンタジー!

 

 

 

 

宿屋の亭主コートは、伝説の存在・秘術師クォートの世を忍ぶ仮の姿。紀伝家のデヴァン・ロッキースに促され、彼は自らの半生を語り出す、、、

かつてはコンスタントに翻訳ファンタジーのシリーズをリリースしていたハヤカワ文庫。昨年から今年に至るまで1年ほどファンタジーの出版が空いていたが、待望の新作シリーズが開始された。5ヶ月連続刊行の予定らしいので、応援の意味も込めて1巻ずつ紹介していきたい。

作家パトリック・ロスファスは本作の原形で新人作家コンテストを優勝。デビューにあたり3部作ファンタジーの第一部として出版されたのが本作『風の名前(原題:THE NAME OF THE WIND)』だ。
そして、その翻訳の5分冊の第一巻が本書である。好評を博したら2部、3部も順調に訳されるハズである。期待したい。

さて、そういう訳で、本巻はストーリーのさわりの部分である。まだ、どうこう言う判断は付きかねるが、ファンタジーでよくある

馬車での旅のシーンがある。

 

このお約束シーンが好きな人は本巻も楽しめるだろう。
もちろん、私も好きだ。

 

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エス・エフ小説『ハイ・ライズ』J・G・バラード(著)感想 高層住宅内でサバイバル!

 

 

 

1000戸40階建ての高層住宅。口には出さねども住民の間には上層、中層、下層で階級意識があった。とある停電の夜、プールに飼い犬の死骸があがる。その事件を契機に建物内の不穏な空気が加速してゆく、、、

 

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幻想・怪奇小説『時間のないホテル』ウィル・ワイルズ(著)感想 一粒で二度おいしい!!

 

 

 

フェアやコンベンション等の見本市の参加代行業を営むニール・ダブルはホテル大好き人間。世界各地を渡り歩く自分の仕事を天職と感じていた。しかし、イベント主催者側からすると、個人情報の収集が出来なくなる参加代行業は邪魔な存在だった、、、

 

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幻想・怪奇小説『迷宮1000』ヤン・ヴァイス(著)感想 透明探偵の大冒険!

 

 

 

自らの名も素性も知らず目覚めた男。手帳により、自分の名はピーター・ブロークである事、失踪したタマーラ姫を探し、館の主オフィスファー・ミューラーを打倒するのが目的である事が分かる。1000階層にもわたる館の中でピーター・ブロークの探索が始まる、、、

 

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本『天平の三皇女』遠山美都男(著)感想 いつの時代も、どんな身分でも、権力者は絶対

 

 

 

聖武天皇は奈良時代の人物で、724年~749年の在位の間に墾田永年私財法や奈良の大仏(東大寺盧舎那仏像)の建立で有名である。
彼の娘の阿倍内親王は女性でありながら皇太子(元来は「天皇の長男」という意味あい)に立てられ、2度天皇に即位した。
一方彼女の異母姉妹、姉の井上内親王は大逆罪に処せられ、妹の不破内親王は流罪にされる、、、

 

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