WRC(世界ラリー選手権)を目指す「スピカレーシングファクトリー」の檜山直純。天才ドライバーとして名を馳せる彼は、一方、その態度の悪さでマネージャーやメカニックの兄・檜山篤洋と衝突を繰り返す日々だった。マネージャーとして新任した森川ひかるは、そんな彼等と接する内に、過去の因縁話を聞く、、、
監督は羽住英一郎。
監督作に
「海猿」シリーズ
「暗殺教室」シリーズ
『劇場版MOZU』(2015)等がある。
出演は
檜山篤洋:東出昌大
檜山直純:新田真剣佑
遠藤ひかる:森川あおい
新海彰:北村匠海
都築一星:吉田鋼太郎 他
本作『OVER DRIVE オーバードライブ』はカーレースの映画。
いわゆる
ラリー競技を題材にしています。
ラリー競技って何ぞや?
簡単に言うと、
ラリーとは、
主に公道をコースとして設定し、
タイムアタックで競う自動車競技の事です。
本作は
国内の架空のレーシングシリーズ「SCRS(SEIKO CUP RALLY SERIES)」に挑む「スピカレーシングファクトリー」所属のドライバー檜山直純と、
同じくスピカに所属するメカニック檜山篤洋、
この兄弟の因縁と
それに絡むレーシング競技の話です。
そして、ラリー競技を描くとなれば、
欠かせないのは「車」。
ちゃんと格好良く、リアリティに拘った
レースの様子が描かれます。
ドライバーの弟と、
メカニックの兄の確執、
それを観客はマネージャーの目線にて徐々に知って行きます。
そして、
レースが進むにつれて
チームとして盛り上がって行く高揚感
何かを一生懸命やる、
その事の格好良さを存分に見せつけてくれる、
『OVER DRIVE オーバードライブ』はそういう映画です。
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『OVER DRIVE オーバードライブ』のポイント
迫力あるラリー競技
兄弟の確執
チームで勝利を目指す事の格好良さ
以下、内容に触れた感想となっております
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ラリー競技の迫力
本作『OVER DRIVE オーバードライブ』の魅力はリアリティ。
実際に公道で車を走らせてそれを撮影、
「SCRS」自体は架空のレースですが、実際に「SEIKO」にスポンサーとなってもらっています。
また、劇中で「スピカ」が使用する車は、
TOYOTAが実際に欧州で販売している「ヤリス」。
(ラリー競技は、市販車をレース用に改造して行っています)
これにもスポンサーを付け、
そして実際にヤリスを運転するのは、
全日本ラリー選手権に出場している奴田原文雄と勝田範彦。
メカニックも、実際に活躍している三枝豊和がメンテナンスをしています。
劇中、このヤリスが大破するシーンがあります。
メカニック役の人間が、これを復活させんと奮闘しますが、
実際、この作業を、
撮影以外の時でも役者の方がスタッフと協力して組み上げていったと言います。
映画と言っても、
実際にレースチームが行っている事を忠実に、
ガワだけでは無く、その中身まで伴った形で再現する。
このプロ意識が作品に説得力を与えています。
また、リアリティというのは、
そのストーリーや人物設定のおいても観られます。
自分が望まない仕事をしている人もいるし、
兄弟仲も、良い人間ばかりじゃないのが現実だし、
ビックリする程性格の悪い人間だっています。
しかし、そういうデコボコな人間が集まって、
一つの事に向かって一致団結する高揚感。
そういう部分も『OVER DRIVE オーバードライブ』の魅力なのです。
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天才の傲慢さ
『OVER DRIVE オーバードライブ』のドライバー、檜山直純は驚く程性格が悪く感じます。
メカニック(というか兄の篤洋)と衝突し、
マネージャーとはコミュニケーションを取ろうとしません。
しかし、若さとはそういうもの。
他人を気遣うより、
自分の世界しか見えていない。
そういう視野の狭さと表裏一体の、一つの事に対する集中力、
その割合が高ければ高い程、
天才が天才である所以とも言えます。
この若さ故の傲慢さは、
一見すると性格の悪い奴にしか見えませんが、
しかし、不器用故の世渡りの下手さ、
それを覆い隠す為の強がりとも取れます。
本作の直純も、
口では「スピカじゃなくても何処でも良い」
と言っていますが、
勿論、彼がスピカを選んだのは、兄の篤洋がいるからです。
「どんな事があっても、自分が走れる様にしてくれる」
そういう幼少からの刷り込みとも、信頼とも言うべきものを持っているのです。
また、直純は子供の頃の初恋に拘り、
未だに死んだ相手の事を忘れられずにいます。
子供の頃の想いを、今も変わらず持っている。
自分の好みにトコトン拘る、
それが出来るのは若さであり、
それ故、ある意味大人には戻る事の出来ない、
期間限定のキラキラした想いの様にも見えるのです。
傲慢さとは若さ。
いつかは無くなってしまうものであるが故に、
直純の不器用な実直さは、
その態度とは裏腹に、真っ直ぐなものに見えるのです。
リアリティに拘り、
ラリー競技の面白さを伝えんとする『OVER DRIVE オーバードライブ』。
強烈な個性がぶつかり合っても、
最後にはわかり合い、協力し合う高揚感。
理屈では無い、
何かを成し遂げようと一つの事に向かうチームの団結力を描いた本作は、
あらゆる意味で熱い想いが込められた作品と言えるのではないでしょうか。
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