映画『シルクロード.COM ー史上最大の闇サイトー』感想  成すべき事を誤った者達の物語!!

暗号通信とビットコインを用い、追跡不可能で「安全」な闇サイトを構築。そこで扱うのは、麻薬などの違法薬物。サイト名は「シルクロード」。それを立ち上げたのは、ロス・ウルブリフトという若者だった。
一方、捜査でミスを犯し、麻薬取締局に所属からサイバー犯罪課へと異動となったリック・ボーデンは、その「シルクロード」の捜査に目を付けるのだが、、、

 

 

 

 

監督は、ティラー・ラッセル。
犯罪系の映画やドキュメンタリー作品に多く携わる。

 

出演は、
リック・ボーデン:ジェイソン・クラーク
ロス・ウルブリフト:ニック・ロビンソン
レイフォード:ダレル・ブリット=ギブソン
ジュリア:アレクサンドラ・シップ
マックス:ダニエル・デヴィッド・スチュアート
カーティス:ポール・ウォルター・ハウザー 他

 

 

実話ベースの映画は多数ありますが、
本作『シルクロード.COM ー史上最大の闇サイトー』も、その手の作品。

しかし、
実質的には、
「リアルな実話」というよりも、

実話をベースにし、
大胆な脚色を施した、オリジナル作品的な内容になっている、

それが本作の立ち位置です。

 

それでも、
まぁ、実話ベースという事で、

クライマックスにて、大きなカタルシスは無いです。

が、教訓はある。

 

そんなテイストの作品となっております。

 

また、
本作は実質、
刑事:リック・ボーデンと、
サイト運営者:ロス・ウルブリフトの二人の視点で描かれる、
いわば、ダブル主人公といった内容。

時代遅れで、
ミスしてハブられた荒くれのアナログ刑事が、

時代の最先端のサイバー犯罪者を追うという構図、

物語としては定番なイメージですが、
王道であるが故に、
想像通りの、安心感のある面白さがあります。

 

出演している役者も、
超有名という訳ではありませんが、
キャラが立っている人達が揃っています。

決して、派手で、
最高に面白い!!というタイプではありませんが、

まぁ、想像通り、予想通りの面白さがあります。

 

こういう事があったんだな、
そして、
他人の人生を映画として眺める事で、

自分の人生にも、教訓として活かす。

そういう作品、それが
『シルクロード.COM ー史上最大の闇サイトー』と言えます。

 

 

 

  • 『シルクロード.COM ー史上最大の闇サイトー』のポイント

ロートル刑事と最先端サイバー犯罪者という、定番物語構造

手段が目的化した者の末路

人生、物事の優先順位

 

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

 

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  • 物事の優先順位

本作『シルクロード.COM ー史上最大の闇サイトー』は、
刑事のリック・ボーデンと、
「シルクロード」のサイトを立ち上げたロス・ウルブリフトの
ダブル主人公の作品です。

追う刑事と、
捕まりたくない犯罪者の、
二つの視点で描かれる本作。

しかし、
物語の最終的な結果だけなら、
二人とも刑務所行きという同じ穴の狢になっているのが、
面白いオチとなっております。

 

とは言え、です。

結果は同じでも、
そこに至る過程、
そして、信念、目的の達成という観点からすると、
対象的に描かれております。

 

「シルクロード」を立ち上げた、ロス・ウルブリフト。

当初は、
「世界を変える、革新的な事を起こす」という理想の下、
政府の規制、制限を超えるコミュニティとしての、
「シルクロード」を立ち上げました。

しかし、
巨額の富と生み、
多数の信奉者を抱えた後となっては、

その理想を忘れ、
サイト運営に躍起となってしまいます。

犯罪を誘発するドラッグの取り扱いや、
当初は適応外だったハズの、銃器まで購入出来る様になり、
私生活でも、友人との交流が疎かになります。

これは、
「世界を変える」ハズの画期的なイノベーションが、
しかし、
それを継続する事が目的化し、
理想の追求を見失っているのです。

つまり、
手段が目的化してしまったと言えます。

 

作中では、
父親から、
飽きっぽい性格から、
何一つ究める事ない性格を批判されています。

「勝負する前に、そこから逃げている」と。

その言葉がプレッシャーになったのか、
自分が成した成功の体験に酔い痴れ

その成功が、
本来の目的からそれてしまったとしても、
それに固執してしまった末路が、

本作のロス・ウルブリフトの結末となっております。

 

一方、
問題を起こし、
実質、定年退職までの左遷扱いで、

麻薬取締局からサイバー犯罪課へと異動となった、
リック・ボーデン。

麻薬取締という観点から、
「シルクロード」というサイトに、いち早く目を付けますが、

サイバー犯罪課の上司、シードルからは、

戦力外のお荷物として扱われています。

 

そのサイバー犯罪課が「シルクロード」に目を付けると、
彼も単騎で独自捜査を突き詰め、
ロートルと馬鹿にされた方法で、

同課の職員や、
FBIを差し置いて、
ロス・ウルブリフトに最接近しました。

 

しかし、
娘の進学に大金が必要となったと知った途端、

彼は覚悟を決め、

捜査資料を破棄、
ロス・ウルブリフトを脅してビットコインをせしめ、
換金し、
それを、学費に充てるという暴走振りを発揮します。

 

職業倫理という観点からすると、
リック・ボーデンの行動は問題だっただけでは無く、
紛いも無い犯罪であり、

また、
そのまま捜査を続けていたなら、
一番乗りでロス・ウルブリフトを挙げられたハズです。

 

しかし、リック・ボーデンは、
名誉や倫理よりも、

娘の将来の為に、
大金をゲットする事を選ぶのです。

目的の為に、
手段を選ばなかった

その結果、
刑務所行きですが、

しかし、
信念を持った行動として、
いわば、勝利とも言えるのではないでしょうか。

 

 

気付けば終わってしまう様な短い人生の中で、

人は、何を成すべきなのか。

手段と目的について、
その優先順位の重要性を描いた、

『シルクロード.COM ー史上最大の闇サイトー』とは、

そういう作品だったと言えると思います。

 

 

 

 

 

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