両親が事故死し、伯父の家に引き取られる事になったルイス。迎えに来た伯父のジョナサンに連れられ、着いたお屋敷は大きく、そして、時計が至る所にあった。そんな伯父は一人暮らしだが、隣人のツィマーマン婦人と仲良く喧嘩している。その夜、目が醒めたルイスは伯父が徘徊しているのを目撃する、、、
監督はイーライ・ロス。
マニアックな感じの映画を撮って来たイメージの監督。
監督作に
『キャビン・フィーバー』(2003)
『ホステル』(2005)
『ホステル2』(2007)
『グリーン・インフェルノ』(2013)
『ノック・ノック』(2015)
『デス・ウィッシュ』(2018)がある。
原作はジョン・ベレアーズ(著)、
『ルイスと不思議の時計』。
(元々は『壁の中の時計』という題名で翻訳されていましたが、映画公開に併せて改題しています)
本作を始めとした「ルイスと魔法使い協会」シリーズで、
ベストセラーを果たしたとの事。
出演は
ルイス:オーウェン・ヴァローカ
ジョナサン:ジャック・ブラック
ツィマーマン夫人:ケイト・ブランシェット
アイザック:カイル・マクラクラン 他
規制の激しい現代において、
ゴア表現を追求した作品を多く手掛けているマニアック監督、
イーライ・ロス。
そのイーライ・ロスがファミリー向けの映画を作った。
一癖も二癖もある映画を撮り続けた彼の作品、
勿論、本作も、何か仕込んでいるハズだ、、、
と、思いきや、
本作は、
真っ当なファミリー映画です。
監督は、あのイーライ・ロス!
きっと、残酷表現があるハズだ、、、
と、思っていましたが、
然に非ず。
完っ全にファミリー映画なので、
お子様と一緒に家族で観るのにうってつけの作品となっております。
とは言え、
魔法やお化けが躍動する本作は、
ハロウィンの時期にピッタリな感じの映画と言えるでしょう。
そして、
ルイスの伯父ジョナサンを演じるジャック・ブラックと、
隣人のツィマーマン夫人役のケイト・ブランシェットの演技がまた、良いのです。
ちょっとコミカルよりの演技を、
真面目に楽しんでる感じが出ています。
少年の冒険がメインの、
ちょっとホラー風味のファミリー映画、
『ルイスと不思議の時計』は、そんな映画です。
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『ルイスと不思議の時計』のポイント
少年と学校生活
アイザック役の俳優に注目!?
意外と豪華!?日本語吹替え声優陣!!
以下、内容に触れた感想となっております
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大人と少年
本作『ルイスと不思議の時計』は、
少年ルイスが、今までと違った日常に出会う物語です。
中でも印象的なのは、
学校の同級生のタービーの気を引こうと、
伯父のジョナサンから禁止(タブー)とされていた棚の封印を解いてしまう事です。
気軽に自分に近付いて来た人間と、一時的に仲良くなっても、
それは、本当の友達とは言えない事が多いです。
しかし、転校生の身分としては、
何となく自分でも利用されていると気付いていても、
それでも孤立するよりは、
偽りでも友情を求めてしまいがちです。
少年が、というより子供が、
大人から見ると、明らかに悪い友達と付き合うのは、
そういう理由も確かにあるのです。
まぁ、大人はそれを割り切って、
一線を引いて人と付き合う事になりますが、
そういう距離感を徐々に学んで行くのが、
学校生活なんですよね。
本作では、
その過程を描いていたのが印象的でした。
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豪華過ぎる!!日本語声優陣!!
さて、主役はルイスですが、
その脇を固めるベテランのコミカルさが、
本作を印象付けています。
コミカルな演技と言えば、この人、
ジャック・ブラック。
そして、
その彼と比肩するザーマス演技をしてくれるのが、
ケイト・ブランシェット。
飄々としたユーモアのあるジョナサンと、
美人なのに、ちょっと一癖あるツィマーマン夫人が仲良く喧嘩する様子が、
非常に微笑ましいというか、
子供にも観せられるレベルで
イチャイチャしているのが良いですね。
*お二人の愛情表現(!?)の様子はコチラ
さて、その二人を始め、
本作は日本語吹替えの声優陣が豪華です。
「あ~、ジョナサンの声、聞いた事ある!」
そう思いながら観ていたら、
やはり、
あの抑揚、リズム、声、
そう、佐藤二朗でした!!
佐藤二朗も、コメディ演技には定評がある俳優。
声ではそのまま佐藤二朗の演技なのに、
ジャック・ブラックの演技を邪魔していない。
このフュージョンっぷりが何とも不思議な感覚を産み出していました。
「全然、怖いわ…」
の台詞がお気に入りです。
さて、役名:役者名(声優)をまとめると、
ルイス:オーウェン・ヴァローカ(高山みなみ)
ジョナサン:ジャック・ブラック(佐藤二朗)
ツィマーマン夫人:ケイト・ブランシェット(宮沢りえ)
タービー(ルイスの学校の友達):サニー・スリッチ(松本梨香)
ローズ(ルイスの学校の女友達):ヴァネッサ・アン・ウィリアムズ(矢島晶子)
となっております。
ツィマーマン夫人を演じたのは、何と宮沢りえ。
全然気付きませんでしたが、
ケイト・ブランシェット自身の声に寄せた感じの演技をしていた印象を受けました。
そして、子供を演じた三人、
ルイスが高山みなみ、
タービーが松本梨香、
ローズが矢島晶子。
いずれも主役級の有名声優、
名探偵コナンと、
ポケモンのサトシと、
クレヨンしんちゃんが豪華共演です。
いやぁ~、吹替えも良いものですねぇ。
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出演者解説
悪の魔法使いアイザックを演じたのは、カイル・マクラクラン。
ご存知TVシリーズの『ツイン・ピークス』や
映画『ブルーベルベット』などで活躍した俳優です。
映画で見るのは久しぶりの印象。
もっと出演しても、良いのよ。
通りの向かいのオバサン、
ハンチェット夫人を演じたのはコリーン・キャンプ。
イーライ・ロス監督の作品、
『ノック・ノック』でも、近所のオバチャン役を演じていました。
ルイスの母親を演じたのは、ロレンツァ・イッツォ。
イーライ・ロス監督作品では、
『グリーン・インフェルノ』で主役、
『ノック・ノック』でもメインキャラでした。
そして、監督の奥さんでもあります。
そして、監督のイーライ・ロスもチョイ役で出演していました。
ルイスが好きなTV番組で、
金庫破りをしていた悪役を演じていました。
見た目が濃いので、直ぐ分かります。
健全なファミリー映画である『ルイスと不思議の時計』。
とは言え、
本作にはちょっとした不気味な部分も散見されます。
斧を振りかぶるジョナサンは、
その風貌も相俟って、『シャイニング』を思い出させます。
また、
ツィマーマン夫人の過去は詳しく語られませんが、
時代設定的に(1955年)、
「10年前に世話になった」という台詞を鑑みても、
おそらくは、
ナチスの収容所にて夫と子供を亡くしたのだと思われます。
(腕にそれらしき入れ墨がありました)
また、
ジョナサンとツィマーマン夫人がコソコソ言い合いしているのも、
子供目線で見ると、不気味な印象があります。
しかし、この、ちょいとしたホラーテイストを独特のユーモア感覚で中和する事で、
幅広い層が支持出来る作品を作ったのだと言えるのです。
独特な映画を撮り続けてきたイーライ・ロスが撮った、
至極真っ当な作品。
この作品を経て、
彼が今後どんな作品を作って行くのか?
そういう意味でも注目度の高い作品が、
本作『ルイスと不思議の時計』なのです。
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