映画『ラプチャー ­―破裂―』感想  極限状況で破裂する恐怖!!

 

 

 

シングルマザーのレネーは別れた夫に子供を預けた帰り道、何者かに拉致される。そして、連れ去られた先では、何やら怪しげな人体実験をしていた、、、

 

 

 

監督はスティーヴン・シャインバーグ
『セクレタリー』(2002)
『毛皮のエロス/ダイアン・アーバス魅惑のポートレート』(2006)等。

主演のレネー役にノオミ・ラパス
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009)
『プロメテウス』(2012)
『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2014)等。

ノオミ・ラパスは『ミレニアム』シリーズや『プロメテウス』でタフな女性の役を演じた。
そして、本作『ラプチャー ―破裂―』のレネーもタフガールである。

汗がうっすら浮いて輝く美しい肌を堪能してもらいたい

 

そして本作は、スプラッターこそないものの、

紛れもないホラーを描いている。

 

手に汗握りたい人は必見である。

冷静に分析するより、生理的嫌悪感に感情移入して頂くとより楽しめる。

あなたがホラー好きなら絶対オススメの作品である。

 

 

以下ネタバレあり

 


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  • 恐怖の対象

人の生理的恐怖の対象はヘビ派とクモ派に別れるらしい。
ヘビが平気な人はクモが苦手。クモが平気ならヘビが苦手だというのだ。

真偽の不確かな、何処で聞いたかも忘れてしまった豆知識だが本作でもその二つが配置されていた。
レネーはモロにクモ派だった。隣室にいたブレイクはヘビ派のようだ。

もしかしたら、2大恐怖の対象として世界的にも当てはまる事例なのかも知れない。

  • 恐怖のコード

謎の施設には「G10ー12X」遺伝子コードが変異しそうな人間が集められている。
どうやって調べたのか?なんて野暮な事を聞いてはいけない。きっと肌の感覚で何となく受信したのだ!

そして、人為的に「G10ー12X」を変異させる為、その切っ掛けとなる「恐怖」に被験者を晒しているのだ。これほど残酷な事はない。

それぞれの恐怖の対象は違えども、生かさず殺さずいたぶられ続ける。
どうやら肉体的な拷問ではなく、あくまでも心理的・生理的嫌悪感が発動の鍵の様だ。

だが、変異したモノ達はそれを臆面もなくやってのける。変異者には既に感情がなく、善悪も感じず、ただ仲間を増やすべく行動しているに過ぎない。

むしろ、親切ごかしの行為である。「覚醒させてあげている」とでも思っているのだ。

  • 恐怖に対抗

ノオミ・ラパスは『ミレニアム』でタフなリスベット役を演じ、『プロメテウス』では映画史に残る桁外れなサバイバル能力を披露した。本作のレネー役でもその能力を存分に発揮してくれる。

絶体絶命の窮地に、人はどう対処するのか?
レネーはそれを打ち破るべくサバイバルを開始する。

拘束を解いて施設を探検し、一旦戻ってチャンスを待つ。
普通なら、自由になった途端速攻で出口を探すだろうが、レネーはとりあえず探検する。そして一旦戻るという展開が、観ている方のドキドキを煽る。観客は脳汁MAXである。

そして、この探検パートのノオミ・ラパスが最高に美しいのだ。
驚愕の表情、押さえた声、忍び歩き、そしてうっすら浮いて輝く汗のきらめき。困難に立ち向かう理想のヒロインである。

しかし、そんなレネーも捉えられる。そして、自らの恐怖には勝てずに、「G10ー12X」が破裂してしまうのだ。

  • 恐怖の破裂

さて、クライマックスの破裂シーンである。このシーンが惜しい!

中盤で変異者の女性看護師ダイアンが一度「変身」を見せているのだ。
これが無かったら、クライマックスのインパクトがかなりショッキングになり得たと思う。

そして、『ラプチャー ―破裂―』という題名から、私は頭が吹っ飛んでしまうのかと思ってしまった。だが、それは本作の趣味では無いのだ。

本作はあくまで、スプラッターや肉体の損壊に依らない心理的恐怖を突き詰めているからだ。

実際、ラストの喪失感は結構あった。演出の勝利である。

  • 恐怖の消失

しかし、ラストのレネーの格好はヒドかった!勘違いセレブまんまである。
私に言わせると、オープニングのレネーの方が美人に見える。

衣装、化粧が違うのは勿論、ラストのレネーには感情の起伏が浅いのだ。表情豊かな方が断然魅力的だ。
実際の日常生活、人間関係でもそうである。ムッツリの私が言うのだから間違い無い。

最早、恐怖は感情もろとも消失してしまった。恐怖こそは、人が人である為に必要なアイデンティティーであったのだ。

 

 

本作はテーマの面白さをノオミ・ラパスの演技力が存分に引き出していた。
監督やテーマ、俳優等の個別の力が映画全体の出来に繋がっているのもホラー映画の特徴であり、また魅力なのだ。

 

多くの作品の中に、本作の様なキラ星がたまに混じっている、だからホラー映画は辞められない。

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さて次回は、人の思いのすれ違いも恐怖を生む?
映画『光をくれた人』の原作小説『海を照らす光』について語りたい。