映画『ライフ』感想  ピンチの時ほどルールが大事!!

 

 

 

無人探査機「ピルグリム」からのサンプルを回収したISS(国際宇宙ステーション)の6人。そのサンプルから初の地中外生命体が発見された。休眠状態だったその生命体に「カルビン」と名をつけ、活性化させ栄養を与えていたのだが、、、

 

 

 

監督はダニエル・エスピノーサ。他の監督作品に
『イージーマネー』(2010)
『デンジャラス・ラン』(2012)
『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2015)等。

出演者は基本的にこの6人。
ジェイク・ギレルホーン(デビッド:医者)
レベッカ・ファーガソン(ミランダ:検疫官)
ライアン・レイノルズ(ローリー:航空エンジニア)
真田広之(ショウ:システムエンジニア)
アリヨン・バガレ(ヒュー:生物学者)
オルガ・ディホヴィチナヤ(キャット:司令官)

この6人が

宇宙ステーションという極限のソリッドスチュエーションにて宇宙生命体相手にサバイバルに挑む。

 

『エイリアン』『プレデター』『アビス』等、かつて80年代周辺で流行った異生物相手に一人ずつ死んでゆくサバイバル劇。
これらの雰囲気を継承しているのがこの『ライフ』である。

そして、『ライフ』には状況をパワーで打開するスーパーヒーローがいない。

等身大のキャラクターが予想外の事態に直面し、恐怖する。

 

このパニック感が面白い。

かつての懐かしいサバイバル映画達のにおい。
あの雰囲気を今、もう一度味わってみるのもいいだろう。

 

 

以下ネタバレあり

 

 


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  • 驚異の無重力感

この映画『ライフ』を観てまず凄いと思ったのは無重力感である。

もちろん映画である以上、『ライフ』が地上で撮影されているのは間違い無い。
それなのに、まるで宇宙でロケしたかの様な無重力感を表現しているのだ。

どうやらワイヤーを使っているようだが、徹底して無重力に拘った3次元的動きはダイナミックで面白い。
アイディアと役者の技術で可能にした表現だ。
地味ながら必見の価値がある。

  • サバイバル映画?パニック映画?

『ライフ』はサバイバル映画であるのだが、パニック映画的雰囲気も多分に持っている。

かつてのサバイバル映画においては、まずメンバーの数人が相手に殺され、その状況の打開を知力で試み失敗し、最後はパワーで何としてしまう、という熱い展開が繰り広げられる。

しかし、この『ライフ』は違う。

窮地に陥る度に、各人が個人の感情で動き状況を悪化させてゆく

感情で動き隔離を解くローリー。
司令官でありながら一線に立ってしまったキャット。
カルビンを殺す状況を自身の考えで台無しにするヒュー。
脱出したさに状況を確認しないショウ。

ルールさえ遵守し、皆で一致して事に当たれば打破出来たハズのシチュエーションをことごとく悪化させてゆく。

極限状況において感情を優先することの愚かさと危険をまざまざと見せつけてくる。
そして、そこにヒーローはおらず、等身大の人間が右往左往するパニックだけが膨れ上がってゆくのだ。

ルールの設定や危機回避マニュアルというものは、状況に直面した場合において、マニュアルに則る事でまず感情を沈め、パニックによる誤った自己判断による危険の増大を防ぐ効果がある。
マニュアルが通用しない、その時にアイディアの出番になるのだが、『ライフ』ではその状況には終わり際になるまで到達しない。

ルールを守り、危機には冷静に対処する。
それがまず第一歩で、それに失敗すると大変なことになる。
『ライフ』はそれを教えてくれるのだ。

 

 

懐かしきサバイバル映画でありながら、パニック映画でもある『ライフ』。
しかし、この右往左往を一方的に笑う事は出来ない。
極限状況において人間はミスをしてしまうものだからだ。

その事を心に留め置いておけば、いざ自分の番になった時に上手く対処出来るのかもしれない。


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さて、次回は『ツイン・ピークス』第19章について解説したい。