結婚を機に、埼玉から東京住みとなる菅原愛海。愛娘の結納の為に、一家は車で東京都内へと向かっていた。その道中、ラジオから聞こえて来たのは、埼玉解放に纏わる、まことしやかな都市伝説だった、、、
監督は武内英樹。
監督作に、
『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』(2009)
『テルマエ・ロマエ』(2012)
『テルマエ・ロマエⅡ』(2014)
『今夜、ロマンス劇場で』(2018) 等がある。
原作は、
魔夜峰央の漫画『翔んで埼玉』。
出演は、
壇ノ浦百美:二階堂ふみ
麻実麗:GACKT
阿久津翔:伊勢谷友介
壇ノ浦建造:中尾彬
壇ノ浦恵子:武田久美子
菅原愛海:島崎遥香
菅原好海:ブラザートム
菅原真紀:麻生久美子 他
埼玉、
いや、
「さいたま」ご当地あるあるを駆使し、
何故か、大ヒットを記録した、
映画『翔んで埼玉』。
他県勢、地方住みが観ても楽しめるのか?
これが、
面白いんです。
結局、
都市どうしのいがみ合いというか、
長所と短所を比べ合うという行為自体が、
我々が、普段仲の良い人とじゃれあう時にやっている、
本気スレスレの冗談、
こういうノリだから、本作は親近感が湧くのですね。
本作は、
それだけではありません。
主演の壇ノ浦百美は、
設定上は、「男子」。
それを、女性である二階堂ふみが演じるという、
この
宝塚感。
衣装、舞台、
何故か、必要以上に豪華絢爛だったりします。
そして、
役者の演技の本気具合。
ギャグってのは、
演じている方が本気だからこそ、
観る方は遠慮会釈無く楽しめるものなのです。
その本気度は、
本作の裏のテーマである、
BL(ボーイズラブ)
のビックリ描写にても表されます。
兎に角、
観て楽しい、
身構えずに、鑑賞出来る作品、
それが『翔んで埼玉』なのです。
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『翔んで埼玉』のポイント
都市どうしの優劣の競い合い
BL
東京と関東圏
以下、少しだけ雑記を語ります
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関東圏こそ、至上
本作『翔んで埼玉』は、
都市どうしの優劣の競い合いを、
「さいたま」v.s 「千葉」という題材を主題に据え、
自虐をふまえ、
半ば、本気、半ばギャグテイストに、
そのいがみ合いの様子を描いた作品です。
中心には、権力が一極集中する「東京」があり、
物語は、
いがみ合いから、
体制打破を目指す、革命みたいな展開を見せ、
ギャグなのに、何処か壮大、
笑えるのに、考えさせられる、
そんな、一見、二律背反するもののアウフヘーベンが、
本作の最大の魅力と言えるでしょう。
とは言え、
本作、
勿論、ギャグとして、
そして、
物語として、
関東圏の極一部を舞台としているのは、分かります。
しかし、
実は、その状態こそ、
日本の現状を端的に表しているとも言えます。
分かり易く言うと、
日本は、関東圏の存続しか、考えていない、
のです。
つまり、
埼玉が千葉と争っているのも、
他の県が、アウトオブ眼中だからなのです。
皆さん、知っていますか?
日本の都道府県の人口推移を。
2015年10月1日 と 2018年10月1日
を比べた、
国勢調査の人口推移によれば、
人口が増えた都県は、
僅かに7つ。
1位:東京都(328,132)
2位:埼玉県(56,111)
3位:愛知県(56,057)
4位:神奈川県(53,621)
5位:千葉県(45,919)
6位:沖縄県(14,535)
7位:福岡県(9,938)
8位:滋賀県(-35)
9位:石川県(-11,043)
…
46位:新潟県(-59、207)
47位:北海道(-96,303)
内、4つが関東圏であるという事実を、
見逃してはいけません。
つまり、
埼玉が千葉と争おうが、それは、
恵まれた環境の都市どうしのじゃれあいだという事を、
念頭に置いておかねばならないのです。
本作でもラストは、
東京を制すれば、日本を制すとばかりに、
「全国さいたま化」の実現を祝い、
「世界さいたま化」を新たな目標として謳って終わります。
権力や文化の一極集中を賞揚する様子は、
正に、
地方分権、地方創生を謳いながら、
無為無策に日々が流れる政権のさえずりに通ずるものがあります。
ですが、
これが、日本という国の姿であると、
我々は理解せねばなりません。
普通に、
何不自由無く過ごせているので忘れがちですが、
権力と富は、
一部に集中している、
その一部というのは、
「関東圏」だという事、
しかもそれは、
意図的に行われていると肝に銘じておかねばならないのです。
「復興五輪」などと言って、
建前だけ、
被災地に寄り添うような事を言いつつ、
実際に儲けるのは、
関東圏のみ。
この欺瞞がまかり通るのが日本なのですね。
本当に、地方創生を謳うなら、
五輪は北海道でやるべきだった。
人口推移を見れば、
そう思わずにはいられません。
ギャグテイストの作品でありつつ、
しかし、
日本は現状、
東京に富も文化も支配されている、
この現実を観客に突き付けてくる、
そういう意図も、
本作にはあったのではないでしょうか。
とは言え、
都市どうしの優劣の競い合いというローカルネタを自虐的に語る事で、
何故か普遍的なテーマへと昇華、
それ故、観ている人は皆楽しめるという、この不思議体験。
単純に、何も考えずとも面白いからこそ、
『翔んで埼玉』は支持されたのだと思います。
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コチラが原作のコミック『翔んで埼玉』です
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