20世紀終盤から突如地球上に出現し始めた怪獣。人類はそれに抵抗したが、遂に表れた破壊王「ゴジラ」により絶滅の危機に瀕する。結果、人類は生き長らえる為に地球を捨て、植民星を目指し宇宙に脱出する事になる、、、
監督は静野孔文と瀬下寛之。
静野孔文はアニメ『シドニアの騎士』の監督、
そして劇場版『名探偵コナン』シリーズ作品、2011~2017まで手掛けている。
瀬下寛之はアニメ『シドニアの騎士 第九惑星戦役』『亜人』の監督、
劇場版として『BLAME!』を手掛けている。
脚本は虚淵玄。
声の出演に、宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、諏訪部順一、等。
ゴジラシリーズの一環として、初のアニメ映画化された本作、『GODZILLA 怪獣惑星』。
この作品は、
厨二的SFアニメ作品、
という事を意識して観た方が良いだろう。
先の『シン・ゴジラ』とは、作品の方向性が違う。
初代の様に社会性を盛り込み、実写、特撮としての面白さを追求した『シン・ゴジラ』。
一方『GODZILLA 怪獣惑星』は、
ゴジラシリーズの持つ荒唐無稽なSFマインドを、
アニメを舞台に思いっきり振りかざしている。
取りあえず、「メカゴジラ」という単語だけでニヤニヤ出来る人向けの作品と言える。
さらに、本作はSF作品なので、
作中では語られない前史という物が存在する。
公式サイトに前史、設定を説明したページがあるので、それを確認すれば分かり易い。(しかし、重いページなので開くのに時間がかかる)
また、題名が「怪獣惑星」なので、ウジャウジャ怪獣が出てくるかと思うかもしれないが、そうではない。
さらに、本作は
3部作の一作目であるので取りあえずの区切りで終わってしまう
と予め理解しておこう。
まとめてみると、
荒唐無稽なSFアニメ作品で、本作では完結しない。
この事を予め理解してさえいれば、完結まで長く楽しめる劇場アニメ作品として観る事が出来るだろう。
以下ネタバレあり
スポンサーリンク
-
制作、ポリゴン・ピクチュアズ
本作『GODZILLA 怪獣惑星』の制作はポリゴン・ピクチュアズ。
アニメの『シドニアの騎士』『BLAME!』を制作した会社であり、あの絵の感じを思い浮かべれば良いだろう。
アメリカのアニメ映画では今やフルCGが普通になったが、本邦においては(部分的、技術的導入があっても)やはりまだ手書きが主流である。
その日本においてフルCGアニメーションを作り続けているのは特筆に値する。
…とは言え、やはり人間が全員同じに見えるのはいつもの通り。
本作では、モブキャラの顔はヘルメットのバイザーで隠れているのであまり気にならないが。
-
世界観、作品前史
本作はSFである。
「ゴジラシリーズ」においては、宇宙人やビックリ設定が多く、それを楽しむのも味の一つではあるが、
本作は設定が未来であるので、更に振り切った世界観を設定している。
人類は、20世紀後半より怪獣と戦っており、「ゴジラ」の登場により窮地に陥る。
そこに、地球を狙っていた2種類の宇宙人が登場する。
縄文人みたいな髪型で背が高い色白の「エクシフ」。
独自の宗教と哲学を地球に導入する。
一定の未来予測を行う「ゲマトロン演算」の技術を持っている。
色黒でガッシリしているのが「ビルサルド」。
科学技術を導入し、「メカゴジラ」を作るが稼働しなかったらしい。
地球人類とエクシフ、ビルサルドが、宗教と哲学、科学技術によって力を併せ、「地球連合」を形成、
「ゴジラ」以外の怪獣を殲滅せしめる。
しかし、圧倒的破壊をもたらす「ゴジラ」には対抗できず、2046年、日本において「対ゴジラ最終決戦」を行うが失敗、
人類は「地球外惑星移民計画」に望みを託す事になる。
その2隻のうちの一つが、本作の「アラトラム号」であるのだ。
……ぶっちゃけ、本篇より前史の方が面白そうだと思ったのは私だけだろうか?
(一応、前史は小説『GODGILLA 怪獣黙示録』にて描写されているそうだ)
-
盛り沢山のSF設定
本作は他のSF作品で見た様な演出が多く観られる。
ワープ航法は『スター・ウォーズ』
ゴジラのレーザー光線は『シン・ゴジラ』
最終決戦に敗れ地球から移民するのは『マブラヴ:アンリミテッド』
時を経て、既に地球の支配者が人類では無いのは『猿の惑星』等々。
ああ、あれはこれ、それはあれ、と色々見つけられる。
この他作品のモザイク模様である本作を、
オリジナリティの無い娯楽作ととるか、
色々な面白さを統合したエンタメと見るか、
それは人それぞれである。
-
衝撃!ゴジラの基本設定!
本作のゴジラは衝撃の設定である。
なんと、植物が超進化した個体だと言うのだ。
ショッキング!!
確かに、植物ならば際限なく巨大化するのも頷ける。
だが、お目々があって、手足があって移動するのは流石に無理が無いか?
とは言え、作中の森もゴジラ由来か、その近縁種という事になるのだろう。
つまり、地球自体がゴジラ環境に変化しているのだ。
-
厨二ノリの固有名詞
本作『GODZILLA 怪獣惑星』は、取りあえず勢いがある。
この厨二的ノリのワクワク出来ないと、全く面白くないだろう。
だが、「ゴジラシリーズ」とは元々厨二ノリの宝庫。
中でもその名称センスが素晴らしい。
オキシジェンデストロイヤー
抗核エネルギーバクテリア
機龍メカゴジラ、等々。
本作にも「ゲマトロン演算」とかいう謎技術の名称が厨二っぽい。
だが、個人的にはもっとカッコイイ名前を色々作ってほしい。
その辺、次作で注目だ。
しかし、本作『GODZILLA 怪獣惑星』でまだまだ3部作が始まったばかり。
本作はストーリーの進行よりも世界観の説明、人物関係、性格の紹介がメインで、クライマックスは勢い重視のアクションで押し切った感がある。
しかし、どう見てもメトフィエスに腹案があり、神輿として担ぎやすい(つまり利用しやすい単細胞)ハルオを前面に出し、何やら怪しい事をしているご様子。
また「メカゴジラ」が動かなかった事自体に、陰謀を感じるのは私だけだろうか?
その辺の事を踏まえつつ、第二章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』を期待して待ちたい。
映画の前日譚、報告書形式の小説
スポンサーリンク
さて次回は、3部作ならぬ、全3巻で完結した漫画『BOX ~箱の中に何かいる~』について語りたい。