映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』感想  ゴジラ VS. 増殖都市!!その都市の名は、

 

 

 

ゴジラの圧倒的火力の前に散り散りになったハルオ達。彼達は、2万年経った地球でも生き残った人型種族、フツア族に拾われる。そのフツア族が使う武器は「ナノメタル」。かつて、対ゴジラ決戦兵器として開発されたメカゴジラ由来のものだった、、、

 

 

 

 

監督は静野孔文瀬下寛之

静野孔文はアニメ『シドニアの騎士』の監督、
そして劇場版『名探偵コナン』シリーズ作品、2011~2017まで手掛けている。

瀬下寛之はアニメ『シドニアの騎士 第九惑星戦役』『亜人』の監督、
劇場版として『BLAME!』を手掛けている。

脚本は虚淵玄

 

声の出演は、
ハルオ:宮野真守
メトフィエス:櫻井孝宏
ユウコ:花澤香菜
マーティン:杉田智和
ガルグ:諏訪部順一 他

 

 

前作『GODZILLA 怪獣惑星』で圧倒的絶望に晒されたハルオ達。

第二部である本作『GODZILLA 決戦機動増殖都市』では、その続きが描かれます。

 

フツア族の神も、
かつてゴジラに挑み、そして破れ、
現在は卵となり休眠中だと言います。

一見、文明レベルが低い彼等を、ビルサルドは軽蔑、
しかし、博士のマーティンはフツア族には独自の文化があり、高い知性を持っていると主張します。

そのフツア族が使う武器が、メカゴジラ由来のナノメタルだと発見したビルサルド。

もしかして、との事でメカゴジラの反応を追うと、
それはまだアクティブだった、、、

 

そう、今回はゴジラシリーズのお約束、

ゴジラ VS. メカゴジラ

 

しかし、

そのメカゴジラの形態が、完全に予想外

 

へぇ~、こう来たか、と驚かされます。

 

そして、物語の基本方針は前作である第一部を踏襲。

しかし、第二部は第一部の写し絵でありながら、
全く違った景色を見せてくれます。

前作『怪獣惑星』と
今回の『決戦機動増殖都市』との違いに注目です。

 

ただ、今回は、ぶっちゃけ、

ちょっとストーリーに突っ込みを入れる部分が多くあります。

 

ですが、そういう部分も受け入れて、
モヤモヤを楽しむのも面白いのかもしれませんね。

 

一方、アクション部分を担う

新兵器「ヴァルチャー」の格好良さは必見です。

 

スピード感、エフェクトなど、
3DCGアニメーションならではの面白さを見せてくれます。

 

そして、今回もこれでは終わらず、次回に続きます。

事前情報では3部作となっているアニメーションの『GODZILLA』。

評価を下すのはまだ、早い。
次回、完結?まで待つべし、であります。

 

 

  • 『GODZILLA 決戦機動増殖都市』のポイント

前作との共通点と相違点

ヴァルチャーの格好良さ

続き物前提の構成

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 


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  • 予想と期待

前回のラストから、メカゴジラの活躍が期待された『GODZILLA 決戦機動増殖都市』。

しかし、本作のメカゴジラは意外や意外、
プラントそのもの、都市全体を構成するナノメタルがメカゴジラという発想

これが秀逸。

 

しかし、である。

都市全体がメカゴジラという発想に行き着きながら、
何故、クライマックスでメカゴジラ自体を起動しなかったのか!?

これには、正直ガッカリです。

決戦兵器たる、メカゴジラ自体の活躍を見たかったのは私だけでは無いと想います。

飛び交うレーザーや実弾、
ゴジラの熱線をどう防ぐのか?
接近戦でのガチバトルはどう展開して行くのか?

妄想だけでも遙か彼方まで飛んでいく美味しい展開を意識して切り捨てる。

 

予想を裏切り、期待に応える、これが展開の理想像です。

しかし、本作は、
予想を裏切る事に終始して、期待に応えなかった

 

前作も、副題に『怪獣惑星』とありながら、
主たる怪獣は既に絶滅、
ゴジラ由来の生物しか居ないという、
若干タイトル詐欺を臭わせるものでした。

そして、今回も、メカゴジラと言いながら、
メカゴジラが現われなかった。

期待を煽っておいて、それをスカす
それが、残念なんです。

 

  • 対ゴジラ作戦が前作と一緒

そして、このメカゴジラシティを使ってやる作戦が、
前作と同じ。

 

前回、効果があった作戦を再び展開する。

それは確かに有効です。

しかし、それをシリーズものの映画でやりますか?

お金を払って同じものを、劇場で再び観せられる方の気持ちにはなったのでしょうか。

正直、ちょっと残念ですね。

 

しかも、作戦の確度が前作より低下している。

何故かメカゴジラシティは、都市の迷彩化を放棄、
それによりゴジラに見つかり、準備が完了しないままに戦闘に突入する。

いやいやいや、それは無いだろうと、誰もがツッコんだ事だと思います。

 

では、何故メカゴジラシティはこんな事をしたのでしょうか?

それは、本作のテーマにストーリーが引きずられたからなのです。

 

  • シリーズもの故の蹉跌

クライマックスの対ゴジラ作戦が前作と一緒。

何故この様な暴挙を行ったのか?

それは、前作と今作を対比する事で、
主人公のハルオの心境の変化、
そして、内ゲバによって組織が崩壊する様子を描写する為に、
都合良くストーリーが使われてしまったからだと言えます。

 

前作の『怪獣惑星』では、
ハルオ始め、地球人もビルサルドもエクシフも一致団結してゴジラ殲滅を目指しました。

しかし、本作『決戦機動増殖都市』では、
信条の違いがクローズアップされ、
感情により意思統一出来ないままに、作戦が実行出来ずに勝てる勝負を落してしまう様子が描かれます。

それを象徴的に表すのは、ハルオの心情の変化です。

 

ハルオは、ゴジラ殲滅に執念を燃やし、
感情と信条がシンクロし、それが一枚岩となり多くの人間を動かしたのが『怪獣惑星』でした。

しかし、『決戦機動増殖都市』では、
この感情面と信条が分離します。

感情を廃し、自分を捨てて手に入れる勝利に意味があるのかとメトフィエスに唆され、
ゴジラを殺す千載一遇の機会を逃します。

 

自分を好いてくれたユウコを見捨てられるのか?
しかし、ゴジラを倒すのは今しか無い。

この二律背反を演出する為に、
メカゴジラシティは迷彩を解いて、準備が完了する前に、みすみすゴジラに見つかったとも言えます

 

作品のテーマは確かに面白いです。

地球人とビルサルドの立場の違いを浮き彫りにし、
ゴジラを倒す事が至上命題だったハルオの心情の変化、
ゴジラを殺す事よりも、自分の感情を優先してしまった彼の変化を描く

しかし、これを描く為に、
前作と同じ作戦で対比を強調し、
あまつさえ、メカゴジラシティは準備を完了しなかった。

 

これは、シリーズものとして、
続篇が約束されているからこそ、起きた緩い対応だとも言えるのではないでしょうか。

普通、シリーズものの第二部には、傑作が多いです。

映画で言うと、
『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』
『マッドマックス2』
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 2』
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
『ダークナイト』
いずれも傑作です。

導入部の1作目、
完結篇の3作目と比べると、
制約が少なく、物語もど派手に展開出来るからです。

 

ですが、本作『決戦機動増殖都市』は、出し惜しみしている。

明らかにモスラの存在を臭わしながら、
それを出さない。

 

前作がテンポ良くアクションに突っ走って駆け抜けただけあって、
「次回作があるから、キャラクターの出し惜しみをしよう」
みたいな事をされると、
「ああ、前の方が面白かったな」と思われても無理ない事なのです。

 

  • ヴァルチャーの格好良さ

ちょっとディスり気味になりましたが、面白い部分もありました。

それが、ヴァルチャーの圧倒的な格好良さです。

効果音、エフェクト、スピード感、
そのどれもが素晴らしい

ですが、だからこそ、
このヴァルチャーの感じで、
メカゴジラが暴れる様を見たかったなぁと返す返すも思います。

 

 

 

前作『GODZILLA 怪獣惑星』が割合に面白く、
期待して観に行った『GODZILLA 決戦機動増殖都市』。

しかし、内容は前回のコピー、
更には期待したメカゴジラを出さず、
また、モスラの存在を臭わすだけでお預けを食らわす。

こんな事で良いのか?

映画って、もっと楽しいモノだろう?
と、ちょっと思ってしまいます。

 

こんな事をしたからには、
次回作でははっちゃけてくれないと困ります。

副題は『星を喰う者』。

勿論、スケールは宇宙レベルになって、
地球そのものと同化したゴジラが宇宙怪獣のギドラと対決する、
位のトンデモ展開を観せてくれますよね!?

ちゃんと次回作も観に行きますから!

頼みますよ!!

 

前作の感想はコチラのページ

映画『GODZILLA 怪獣惑星』感想  特撮ゴジラに非ず!!これは厨二SFゴジラだ!!

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前日譚の第二弾です

 


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