映画『ハクソー・リッジ』感想  ワガママも押し通せば正義になる!!

 

 

 

良心的兵役拒否者でありながら陸軍に志願したデズモンド・ドス。彼は武器の所持、使用を拒否し、しかしながら衛生兵として戦争に参加する事を選ぶ。だが、その道は並大抵のものではなかった、、、

 

 

 

監督はメル・ギブソン。
俳優として『マッド・マックス』シリーズや『リーサル・ウェポン』シリーズが有名だが、監督としても
『ブレイブハート』(1995)
『パッション』(2004)
『アポカリプト』(2006)等の有名作がある。
そして本作は約10年ぶりの監督作となる。

主役のデズモンド・ドス役にアンドリュー・ガーフィールド。他の出演作に
『ソーシャル・ネットワーク』(2010)
『アメイジング・スパイダーマン』(2012)
『沈黙 ―サイレンス―』(2016)等がある。
『沈黙』では思想的に日本を侵略しようと試みたが、今作の『ハクソー・リッジ』では武力で以て侵略してきた。

共演に、サム・ワーシントン、テリーサ・パーマー、ヒューゴ・ウィービング等。

本作『ハクソー・リッジ』(地名:日本名は「前田高地」)は沖縄上陸戦を描いており、その戦場で

自らの信念を貫いた男の話である。

 

自分の信条、行動を批判する相手にどう立ち向かってゆくか?
まるで、監督・メル・ギブソンが自らを重ね合わせたかのようなキャラクターがデズモンド・ドスである。

そして、若かりし頃からアクションで馴らしただけあって、『ハクソー・リッジ』においても

戦場のシーンはド迫力である。

 

何も考えずにドンパチ見せろ!というタイプにもオススメだ。

もっとも、

ドンパチで戦う相手は日本人なんだが、、、

 

 

以下ネタバレあり

 


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  • 意地と狂気は紙一重

デズモンド・ドスは幼少期に弟を殴った体験と、DVを繰り返す父に拳銃をつきつけた体験から、武器をとる事に拒否反応を示す。

劇中でデズモンド・ドスの信じる宗派は明言されていないが、幼い頃から信奉していた様だ。

しかし、デズモンド・ドスは衝動的な暴力で弟や父に接してしまう。
彼は、自分のこの行動・性格を恥じ、意識して自分の暴力を封印する事を選ぶ。

それならば、良心的兵役拒否者として代替業務に就けばよい。
だが、彼は陸軍に所属する事を選んだ。それが、周囲との摩擦を生む。

軍隊における新人訓練は戦争という非日常を正当化する為の通過儀礼である。
平時には忌避される殺人の肯定と、死の恐怖を麻痺化させる為の洗脳教育の側面がある。

しかし、デズモンド・ドスはそれをぶち壊す。
非暴力を主張し、上官の命令を拒絶する彼は軍隊にとって完全に異端である。

周りの人間はデズモンド自身や彼の信条に文句を言っている訳ではない。
軍隊の規律が乱れるのを防ぎたいだけなのだ。
デスモンドの影響で洗脳が不完全になり、隊の士気が低下しかねないのである。

なので、
「皆と同じく銃の訓練をするか」
「軍を辞めるか」
このどちらかを迫るのは至極当然の事なのだ。

しかし、デズモンド・ドスが選択するのは「銃の訓練はしないが、軍も辞めない」という事である。

こうなったら、周りももう訳がわからない。完全に変人を見る目である。

結局は意地を張り通して衛生兵として出兵するが、まさに狂気の沙汰である。

だが、デズモンド・ドスは当のその戦場で獅子奮迅の活躍をする。
他人の批判を並外れた行動によって黙らせるのだ。

言うは易し、行うは難しである。
デズモンド・ドスの場合はさらに、その行動を示す機会自体が与えられないハズだった。

しかし、そこに無理矢理自分の道を作ってしまった事に、狂気と紙一重の並外れた意地があったのだ。(本人は信仰と思っているが)

  • 本作の日本観

戦後70年が経過し、つい忘れがちになるが日本はアメリカと戦争をしていた。

そして、沖縄が侵略され、今以て米軍によって占領されているのだ。
この事実を失念してしまったら、米軍基地問題における心情的忌避感を理解しづらくなる。
難しい問題である。

本作の日本軍はちゃんと日本語を喋る。吹き替えかもしれないが、片言ではない、普通に聞き取れる日本語が聞ける。
また、敵役の恐ろしい存在として描かれているが、他の作品程に極悪非道な存在という訳でもない。
日本人が観てもギリギリ許容できる範囲であろう。

もっとも、沖縄が侵略される様子を見るのは心苦しいものがあるが。

また、この映画はオーストラリア人の監督がオーストラリアの俳優を使いオーストラリアの資本で作った作品である。

他の映画の事も考えるに、日本人を敵役としてぶち殺す事が好きなのかもしれない。

 

 

他人にいくら引かれても、圧倒的な行動力をもってすれば相手を黙らせ認められる事もある。
しかし、それには狂気と紙一重の信念が必要なのかもしれない。


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U-NEXT
さて次回は、のどかさと狂気が紙一重に存在する町『ツイン・ピークス』第3章について語りたい。