映画『ワンダーウーマン』感想  世界を救うは信念と正義感!!

 

 

 

外の世界から隔絶した聖域「セミッシラ」。美しい自然に囲まれた楽園たるその島には女性だけのアマゾン族が住まい、日々、武の鍛錬にいそしんでいた。そんなある日、結界を破って飛行機が不時着する。最強の戦士たる王女ダイアナはそれを目撃し、乗組員を助けるが、それは初めて見る男性であった、、、

 

 

 

監督はパティ・ジェンキンス
他の監督作に『モンスター』(2003)がある。
本作のヒットで続篇のパート2の監督も決定。
TVシリーズの
『キリング/26日間』等も監督している。

主演のダイアナ役にガル・ガドット
『ワイルド・スピードMAX』(2009)で映画デビュー。他出演に、
『ナイト&デイ』(2010)
『ワイルド・スピードMEGA MAX』(2011)
『ワイルド・スピードEURO MISSION』(2013)
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)
そして『ジャスティス・リーグ』(2017)の公開が控えている。

共演にクイス・パイン。
他、コニー・ニールセン、ロビン・ライト、ダニー・ヒューストン、デヴィッド・シューリス等。

 

本作『ワンダーウーマン』はDCコミックスの実写映画化作品群である「DCエクステンデッド・ユニバース」の第4作目である。

興行的には成功だが、イマイチ評価が良くない「DCエクステンデッド・ユニバース」だが、その中でもこの『ワンダーウーマン』は公開前から期待感が大きかった。

何故なら『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』において、主役の2人を差し置いて

一番盛り上がったのがワンダーウーマンの登場シーンだったからだ。

 

ハンス・ジマーのテーマ曲に乗ってピンチに駆けつけたワンダーウーマンに観客は熱狂し、その期待感で(制作側も観客側も)『ワンダーウーマン』の単品スピンオフを心待ちにしていた。

 

さて、では実際に本作『ワンダーウーマン』はどうだったのか?

非常に平均点の高い映画だった。

 

アクションあり、
ロマンスあり、
冒険あり、
そして、ワンダーウーマンことダイアナが正統派の正義キャラで美人。

どんな人が観ても、なにがしか満足のいく点がある。

 

それを狙って作って、尚且つ面白いのが凄い。

特筆して面白いという点は無い。
しかし、不満点も無い。
観ている間は現実を忘れてダイアナの活躍に見蕩れる。

正しい映画体験が得られる作品だ。

 

因みに、エンドロールの後におまけ映像は無いよ。
最近のアメコミ映画にしては珍しい。

 

 

以下ネタバレあり


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  • 勘違いしがち!?

舞台は1918年、第一次世界大戦時のヨーロッパ

ドイツ軍が悪役なので、ついナチスと勘違いして第二次世界大戦時かと思ってしまう。

「皇帝」のご意向を窺っているので、あれ?第二次世界大戦ではない?というのは何となく分かる。

軍服を見て第一次世界大戦時だと一目で分かるのは一部のマニアだけだろう!?

 

  • 無垢なる正義

幼少期から戦闘に憧れていたダイアナ。
好奇心が強く、神話の昔話に目を輝かせていた。

そんな彼女が、遭難者のスティーブ・トレバー(クリス・パイン)に付いて楽園を出奔するのは必然であった。

ダイアナは人間の善性を信じ、戦えない人の代わりに自分が善を為す、つまり悪の軍神アレスを倒す事こそが正義の行いだとの信念を持つ。

だが、我々は知っている。
劇中でスティーブが言っていた様に、人間には「善」の面と「悪」の面の両方がある。
立場が違うだけで、誰が正義で悪かなど明確に区別が出来ない

ダイアナはあまりに若く、純粋だった。
だからこそ、戦場を正面突破という無茶を成し遂げる勢いがある。
いつの世も、道を切り拓くのは若い無鉄砲さだ。

 

  • 真の正義の目覚め

しかし、ダイアナもアレスの囁きによって、世の善悪の混沌さを知る。

人は誰でも、自分の信じていた正義がいつか打ち砕かれる音を聞く

その後、人は自分の利益の追求を求めたり、自分の世界に閉じこもったり、ある種、他人に冷淡になってしまう。

だがダイアナはそれでも、自分の信念、「善を為し、世界を救う」事を諦めない
自分が振るう力は善の剣、誰もやらない困難なら自分がやってみせるという決断を下す。

ダイアナは、その行動でもって自分の信じる正義を体現してみせる、これこそヒーローたる所以である。

これが『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』において、ワンダーウーマンが支持された理由だ。

見捨てようと思えばそう出来たのに、敢えて困難に身を投じ、ドゥームズデイに立ち向かう。

あの時の感動を正しく抽出・拡大し、若く無垢だったダイアナが「Dawn of Justice(正義の目覚め)」するまでを描いたのが、今作『ワンダーウーマン』であるのだ。

 

  • バトルシーン

バトルシーンは、接近戦、中距離戦をメインに描かれている。

特に接近戦はスローモーションを効果的に多用し、制作のザック・スナイダーの『300』を思わせるアクションだった。

アレス戦は、「DCエクステンデッド・ユニバース」のいつもの「雑だが力強い殴り合い」であった。

これはもっと工夫して欲しかった。
今はまだ、迫力で誤魔化せるが、いつか観客に飽きられる時がきてしまう。

これを見ると、いかにアニメ『ドラゴンボールZ』の戦闘シーンが優れていたかを実感出来る。

頑張って欲しい。

 

  • スタッフ、キャスト補足

監督のパティ・ジェンキンスは女性である。

どうやら本作『ワンダーウーマン』で、女性監督として最高の興行成績を記録したそうだ。

元々、「ワンダーウーマン」を映画化したくて昔から交渉していたらしい。
しかし、念願叶ってオファーが来た時には妊娠しており、泣く泣く諦めたそうだ。

だが、代わりに監督するはずだったジョス・ウェドン(映画『アヴェンジャーズ』の監督)は降板、映画化も頓挫した。

そこから、巡り巡って再びパティ・ジェンキンスにチャンスが回ってきたそうだ。

そのチャンスを最高の形で掴んだ、素晴らしい監督だ。

主演のガル・ガドットは黒髪の美人。
ナタリー・ポートマンと同じイスラエル出身で、何処となく似ていると思ったのは私だけであろうか?

 

 

本作『ワンダーウーマン』は狙って打ったヒット作。

人がこうありたいと望む正義を体現するダイアナに、観客は胸を打たれる。

本作にて「DCエクステンデッド・ユニバース」も「質」の伴う作品を手に入れた。

嫌が応にも『ジャスティス・リーグ』への期待が高まるではないか!

 

「バットマンvsスーパーマン」といいつつ、センターに居座るワンダーウーマン

 

 

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さて、次回は「ツイン・ピークス」という楽園を語った本『ツイン・ピークス読本』について語りたい。