25年と時を経て復活した『ツイン・ピークス』。
『ツイン・ピークス The Return』に合わせて発売されたこの『ツイン・ピークス読本』とは、一体どんな本なのか?
紹介していきたい。
監修は滝本誠。
編集は佐野亨。
滝本誠といえば、先に出版された雑誌『海外ドラマFan! ツイン・ピークス大特集』にも寄稿していた。
デヴィッド・リンチ(滝本誠風に言うとデイヴィッド・リンチ)関連本も多数出版しているマニアである。
そして、出来上がったこの『ツイン・ピークス読本』は
コラム集である。
え?今更?と思われるかもしれないが、事実である。
軽い解説の人物名鑑があるし、町の地図もある。
しかし、各話解説や相関図、詳細な作品解説の様なエンサイクロペディアを期待していたら肩透かしをくらう。
とは言え、
人が『ツイン・ピークス』についてどう思いどう解釈しているのか?それを読めるのは面白い。
中には私が思いつきもしなかった論考をしている人もいた。
面白い記事が多いので、そこをメインの目的として読むべき本だろう。
正直、雑誌として出しても良かったのではと思う。
コラムメインなので、一度読めば充分だと言う人もいるだろう。
しかし、敢えて単行本として出版し、しかも値段は抑え気味である。
ファングッズの一環として、買えるときに購入しておくのも悪くないだろう。
以下ネタバレあり
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どっちつかず?
本書『ツイン・ピークス読本』は、旧シリーズの『ツイン・ピークス』がメインの話だが、『ツイン・ピークス The Return』の内容にも少しだけ触れている。
しかし、そもそも『ツイン・ピークス The Return』自体が現在進行形のものなので、それに触れてしまうと、どうにも中途半端な印象になってしまう。
しかし、ライブ感を捨てきるには忍びない。
結果、微妙なコラムになっているものがあって、それは少し残念であった。
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コラム集の魅力
『ツイン・ピークス』という作品は、元々人により解釈が異なり、その多様性こそが魅力の一つである。
その為、人の考えを知る事が出来るコラム集は、正に『ツイン・ピークス』にうってつけの企画であろう。
新しい書き下ろしあり、再録あり、執筆者により熱量が違い、正に玉石混淆、このカオスぶりが面白い。
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注目記事
中には唸らせる物、貴重な記事などもある。
個人的には、人物名鑑のハリーの欄(p.49)、ネイディーンの欄(p.53)、そして第8章を解説した滝本誠の論考(特にp.96には気付きもしなかった)には唸らされた。
改めて『ツイン・ピークス』の設定の細かさを思い知らされる。
また、p.60からの記事「90年代 ツイン・ピークス旋風を振り返る」において、過去に発売されたツイン・ピークス関連の雑誌の表紙が載っており、そんなものがあったのかと、今更ながらワクワクした。
総じて面白い論考が多く、大いに楽しめる。
勿論、何を言っているのか分からない、つまらないものもあるが、それさえもバリエーションの一つとして、一冊の本としては面白いものがある。
しかし、残念なのは、量が少ない事である。
個人的には500ページくらい欲しかった。
しかし、腹八分目くらいが丁度いいのかもしれない。
自分の作品解釈を披露するのは楽しい。
それと同じく、人の作品解釈を聞くのも楽しい。
それが、『ツイン・ピークス』なら尚更である。
しかし、旧作を語り尽くすには足りず、新作を語るにはまだ早いという今現在においては、少し物足りないものを感じたのもまた事実。
『ツイン・ピークス The Return』が完結した暁には、真の「ツイン・ピークスクロニクル」が出来る事を期待したい。
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さて次回は、これぞ読みたかったクロニクル!?『北斗の拳 世紀末ザコ伝説』について語ってみたい。