ドラマ『ツイン・ピークス』第16章 解説  真実という名の地獄の扉が開く時!!

第16章の解説をしたい。

 

圧倒的な衝撃に見舞われる。
心して鑑賞すべし。

 

第16章
監督:ティム・ハンター
脚本:マーク・フロスト&ハーレイ・ピートン&ロバート・エンゲルス

 

 

以下ネタバレあり


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  • 本エピソードのチェックポイント

3月11日
森の小道
を行くクーパーとハリー、ホーク、アルバート。
マデリーンの左手薬指から「O」の文字を採取。
ローラ殺害犯と同一人物と思われる。
右手に北極ギツネの毛、剥製用の防腐剤が付いている。
リーランドへ連絡するというハリーをクーパーは止めて言う。
「24時間くれ。事件を解決してみせる。」
アルバート、そんなクーパーにハッパをかける。
ホーク「道にはでた、後は歩くだけだ。」
うなずくクーパー。

ジェームズ・ハーリー、ドナ・ヘイワードに指輪をプレゼントする。

ダブルアールダイナーにて、ヴィヴィアン、ノーマのオムレツを批判している。アンディのつぶやき「j’ai une âme solitaire」(フランス語で「僕の心は独りぼっち」)に反応するドナ。
ドナはトレモンド夫人を知っているのか?と尋ねるが、アンディはこれはハロルド・スミスの遺書の文句だと応える。
ドナ、違和感を覚えクーパーに会いに行く。

トレモンド夫人宅へ向かうクーパーとドナ、アンディ。
ハロルド・スミスの遺書(第14章)とトレモンド夫人の孫が口にしていた言葉(第9章)が同一であった。
何かあるとドナは考え、トレモンド夫人宅を訪ねる。
しかし、出てきたトレモンドを名乗る女性は初めて見る者であった。
トレモンド氏は老人も子供もいないと言うが、ハロルドからドナ宛ての手紙を預っているという。
それはローラの日記の1ページであった。

2月22日の記述
ゆうべ奇妙な夢を見た。
私は小さな男と老人と共に赤い部屋にいる。
私はボブの正体を老人に告げようとする。
でも声が変で上手く話せない。
私は老人に近づいて、彼に秘密を打ち明けた。
誰かがボブを止めないと。
ボブが恐れるのはただ一人の男。
その男の名はマイク。あの老人がそうなの?
夢の男の人は聞こえたかしら?彼なら信じてくれる。

2月23日の記述
今夜私は死ぬ。
それがボブから逃れる唯一の方法。
あいつを引き離せる
ボブは私を欲しがっている。
死が、私の逃げ道。

クーパーは同じ夢を見ている。(第2章)
ジェラードに会いに行くクーパー。

グレートノーザンホテル、Dr.ウィリアム・ヘイワードはジェラードの体調が危険な状態だと告げる。
クーパーはマイク(ジェラード)に助言を求める。
マイクはボブと共に人を殺した、欲望と満足の完璧な関係であったと言う。
そして、巨人は自分の様に実在しており、彼に助力を頼めと言う。
方法が分からないと言うクーパーに、マイクは既に必要な手掛かりは持っているのだと説く。
頭ではなく心で探せ、責任は重大だぞ、と言い気を失う。

廊下でおじいちゃんウェイターと出会う。
「あなたを存じております」
「ミルクは冷めるが、温まってきましたよ」と言い、親指を立てる。

保安官事務所では業者が火災報知器のセッティングをしている。
ルーシーはアンディに父親はディックの可能性も捨てきれないと言う。
アンディはディックを呼び出す。

留置場のベンジャミン・ホーンにタジムラが会いに来る。
タジムラは正体がキャサリン・マーテルである事を明かし、土地と製材所の変換を求める。
ベンはアリバイ証言欲しさにサインするが、キャサリンはベンを置いて立ち去る。

パーマー家にドナが訪ねる。
リーランド・パーマーはドナがローラのサングラスをしている事に気付く。
ドナ、リーランドにローラの秘密の日記の事を尋ねる。
リーランドは知らなかった様子、ドナはハロルド・スミスが持っていたそれを是非読みたいと言う。

そこへ、マデリーンがまだ帰っていないという連絡が入る。
鏡を見るリーランド。その鏡像はボブ

不安がるドナに、音楽を掛け、ダンスを踊って気張らししようとリーランドはさそう。
急にドナに抱きつくが、そこにハリーが訪ねて来る。
詳しくは言えないが、と言いリーランドを連れて行く。

湖畔でジェームズと会うドナ。
マデリーンが死んだと告げる。
ジェームズ「僕らは幸せでも世の中地獄だ」と言い、ドナを置いて立ち去ってしまう。

ロードハウス。外では稲光。
クーパーとアルバート、ベンがいる。エド・ハーリーがやって来る。
そしてハリーがリーランドを、ホークがレオ・ジョンソンとボビーを連れて来る。
クーパー、ローラ殺しの犯人はこの部屋にいる、魔法としか言えない方法でこの事件を解決に導くと宣言する。
しかし、何かが足りないと感じるクーパー。
PM.3:00、ガーランド・ブリッグス少佐、グレートノーザンホテルのおじいちゃんウェイターを伴ってやって来る。
ガーランドは帰宅途中に止められ、おじいちゃんを連れてロードハウスに来たらしい。
おじいちゃん、クーパーにガムを渡す。
それを見たリーランド、「あのガムかい?子供の頃よく噛んでた一番すきなヤツだ」と言う。
おじいちゃん「あなたの好きなガムがまた流行します」と応える。(第2章

クーパー、天啓に打たれる。
小人のダンス。
ローラのささやき。
My father killed me.」(父が私を殺した

巨人が現れ、クーパーに指輪を還す。
クーパーガムを噛み、指輪を拾う。

クーパー「ベン・ホーン、署に帰るとしましょう。弁護はパーマー氏に」
クーパー、親指を立てる。
おじいちゃん、敬礼で応える。

保安官事務所。クーパー、ハリー、ホーク、アルバートの面々、ベンとリーランドを連れて戻ってくる。
クーパー、尋問室にベンを入れると見せかけて、ハリーと協力しリーランドを部屋へ押し込む。
リーランドは中で唸り声を上げ暴れている。
ハリーは何故分かったのかと尋ねる。
クーパーは夢でローラに聞いた、と答える。
証拠が必要だ言うハリーに、クーパーは自白させると言う。

リーランド
彼に話を聞きたいか?
クーパー
ローラ・パーマーを殺したか?
リーランド
ホー、ホッホッホッ、殺した。
クーパー
マデリーン・ファーガソンは?
リーランド
そうだな、殺したみたいだ。
刃物が好きでね、あんたのピッツバーグ事件と同じさ!
(たじろぐクーパー)
リーランド
ああリーランド、お前はいい車だった。楽しかったよ。
だが、もう穴ぼこだらけだ。そろそろ退散しよう。
クーパー
リーランドは殺人の事を知っているのか?
リーランド
バカなヤツさ、良心にポッカリ穴を空けられて。
コイツは墜落、俺はパラシュートで脱出だ。
その時が見物だ、すぐ終わっちまうがな。
ハリー
もう十分だ。
うなずくクーパー。尋問室から立ち去る。

ルーシー、アンディとディックに生んで血液検査の結果が出るまで二人に協力して欲しいと言う。
ディック、タバコをくゆらせる。その煙が火災報知器に、、、

尋問室外の廊下にて、ハリー、ホーク、アルバートの前でクーパーの謎解きが始まる。

ベンは血液型が違った。答えは初めから私の目の前にあったんだ。
夢で小さな男は踊っていた。(第2章
ローラの死後、リーランドは執拗にダンスをしていた。
夢で見たボブは白髪だった。
リーランドもジャック・ルノーを殺害した後一夜で白髪になった。(第8章
子供の頃会った男はロバートソン。
ロバートソン(Robertson)とはボブ(Robert)の息子(son)という意味だ。
(ロバートの略称がボブ)
爪の文字は悪魔の署名だ。自分の名前を綴っていた。
ハリー「何故殺した?」
日記に書かれたからだろう。
リーランドは気付き、ページを破いた。
ローラ殺害の夜、ベンのオフィスから電話したのはリーランドだ。
彼が第3の男でローラを貨車に連れ込んだんだ。
ハリー「何故、マデリーンを殺した?」
ローラに似てて、ローラを思い出させたからか。
あるいは彼女との別れに耐えきれずそれを和らげるためか。
いずれにしろボブに知られたからだ。
ハリー「ボブが実在しないのなら、リーランドは気が触れたのか」

そこへ、リーランドの声が響く
来たるべき過去の闇を見通すのが魔術師の望み
2つの世界の間から人は声を上げる
Fire,walk with me.(火よ我とともに歩め)
死の手がお前をつかむ
気が触れていると思うか?
だが覚えておけ、俺はまた殺す。(第2章参照)

皆ドアの前から立ち去るが、突如スプリンクラーが作動する。

中でリーランドが暴れ、ドアに頭を何度も打ちつけている。
ドアを開けるが、リーランド床に倒れ伏している。
ホーク、救急車を呼びに行く。

リーランドの懺悔が始まる。
ローラを殺した。私が殺した。全て、私がやったんだ。許してくれ。
私が子供だった頃、が夢に現れて遊びたいを言ったんだ。
そして、私を開いて中に入って来た。
がいる時は意識が無い。
去った後もよく思い出せない。
私にいろいろ非道い事をやらせた。
は命を欲しがった、他の人間も。
私の様にこき使う為だ。
奴らはローラも欲しがった。
でもローラは強く、奴らと闘い中に入れなかった。
奴らは私にテレサを殺させた。
そして、ローラを渡さなければ同じ様に殺させると言った。
ローラは中に入れる位なら死ぬと言った。
だから奴らは私にローラを殺させた。
神よお慈悲を、許してくれ。
私はローラを愛していたんだ。

死に瀕したリーランドをクーパーが導く。
光を見よ、と。
リーランドは光の中にローラを見ながらこと切れる。

森の中の道、ハリー座り込む。クーパーとアルバート、そしてガーランド少佐がいる。
ハリーは打ちのめされ、こんな事件は初めてだと言う。
ガーランド、最終的には原因を究明するつもりかと聞く。
クーパーはそれこそが我々の仕事だ、と答える。

何と呼ぶにしろ、人間の邪悪な行い、それがボブだとアルバート。
ハリー「そうだな。だが、ボブが実在しているのなら、我々は罠に嵌められヤツは逃げた訳だ。今、何処へ?」

森の中、フクロウが飛ぶ、、、

 

  • 本エピソードの謎

謎:97 消えたトレモンド夫人と孫の正体は? (A
謎:98 リーランドが言っていた奴らとは? (
謎:99 ボブは今、何処へ? (A)(A.2

*(A)とは答え(Answer)の事。クリックで謎が解明されたエピソードに飛びます。

*(推)は私が独自に解釈して答えを推測したページに飛びます。

 

  • 本エピソードによって解明された謎

謎:1 ローラ・パーマーを殺したのは誰か? (序章
答え: リーランド・パーマー(ボブ)

謎:2 ローラ・パーマーを殺した動機は何か? (序章
答え: クーパーの推理では、ローラが日記にボブの事を書いた為。リーランドの言い分では、ローラがボブ達に屈しなかった為。

謎:12 テレサ・バンクス事件とは? (序章
答え: 事件の詳細は分からないが、殺害犯はリーランド・パーマー。

謎:19 ローラの言う謎の男とは? (第1章
答え: ボブ。

謎:24 リーランドがおかしくなったのは何故? (第2章
答え: ボブが前面に出てきたから。

謎:38 小人のいとこはローラ本人なのか? (第2章
答え: 22日夜、夢を見ているローラ。

謎:39 「ガムがまた流行る」とは何の事なのか? (第2章
答え: リーランドが好きなガムの事。

謎:51 丸太の証言に出てきた第3の男の正体は? (第5章
答え: リーランド・パーマー(ボブ)。

謎:61 「フクロウは見た目とは違う」とは? (第8章
答え: 見た目はリーランドだが、中身はボブだという事(第9章も参照)

謎:66 何故リーランドの髪は一夜にして白髪になったのか? (第8章
答え: ボブの影響を受けたから。

謎:70 第3の男とは? (第8章
答え: リーランド・パーマー(ボブ)。

謎:84 病室のロネットに手出ししたのは誰? (第10章
答え: リーランド・パーマー(ボブ)。

謎:89 ローラは誰に殺されると思っていたのか? (第12章
答え: ボブ。

謎:94 リーランドはいつからボブに憑かれていた? (第14章
答え: 子供の頃から。

謎:95 何故マデリーンに襲いかかったのか? (第14章
答え: ローラに似ていたからか、または別れに耐えられなかったから。

 

 

ついに、ローラ殺人犯が判明した。
多くの謎が判明し、シリーズ最高の盛り上がりを見せる。

中でもリーランド役のレイ・ワイズの怪演が極まっており、圧倒的な存在感を見せた。

ここに、ローラ・パーマー殺害事件は解決したのだ。

しかし、元凶とも言えるボブは去り、未だ明かされぬ謎や伏線も多数存在している。

 

 

 

 

 


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さて、次回はこの脱力感を癒やしてくれる?映画『メアリと魔女の花』について語りたい。