ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』第二章第7話「義なき男」 あらすじ 感想

『ゲーム・オブ・スローンズ』第二章
第7話「義なき男」について解説したい。

なんとも意味深な副題だが、果たして誰のことを言っているのか?
また、第7話は見応えのある会話劇が多い。
その点も注目である。

 

監督:デヴィッド・ナッター
脚本:デヴィッド・ベニオフ&D・B・ワイス

 


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  • キングズランディング

サンサ・スターク廊下ハウンドに出会う。(15:02)
遅ればせながら助けて貰った礼を言う。
憎まれ口を返すハウンドに、何故全てを憎むのかと尋ねるサンサ。
ハウンドは、そんな俺に感謝する様になる、王とサンサの間には俺しか存在していないのだから、と言う。

サンサの寝室。(28:22)
襲われた時の悪夢を見て、目覚めると生理が始まっていた。
王妃に知られぬ様に、シェイと共にシーツを裏返そうとする所に他の侍女が現れる。
シェイが口止めするが、その間にハウンドに発見される。

ジョフリーは難しいと言うサーセイ。(30:02)
しかし、王を愛せずとも、子供は愛せるとサンサに助言する。

サーセイの部屋。(46:06)
200隻ものスタニスの艦隊が迫っているとの報。
ティリオン・ラニスターはジョフリーを制御する必要性を説く。
サーセイは、ジョフリーの残酷さは不義を働いた結果の罰なのかと思い悩む。
ティリオンはかける言葉が無い。

 

  • ウィンターフェル

ウィンターフェル城。(01:55)
シオン・グレイジョイは逃げたブラン達を馬と猟犬で追う、痛めつけるが殺しはしないと言う。
学匠ルーウィンはロブの軍が来ると言うが、シオンはそれよりも早く姉の軍が来ると答える。

森の道。(04:31)
先行はしたが食料も少なく、いずれは追いつかれると懸念するオシャ
先日、ブランドン・スタークが孤児を預けた農場を見つける。

農場を見つけたシオン達。(21:38)
出直してはと提案するルーウィンに、シオンは部下にナメられると答える。
足跡は途絶えたがクルミの殻を見つけ、シオンは連れてきていた学匠ルーウィンのみ返す事にする。

ウィンターフェル城。(53:05)
シオンは、警告したハズだ、新しい主人が口だけだと思うかと言い、焼け焦げた子供の死体を2体吊す。
ルーウィンが慟哭する。

 

  • ロブの野営地

ロブのテント。(18:34)
アルトン・ラニスターが戻ってくる。
ロブ・スタークがサーセイの反応を聞くと、書状を破り捨てたと言われる。
捕虜用の檻が足りず、ジェイミー・ラニスターの檻にしばらく入れる事にする。

会議終了後、タリサ・マイギアが訪ねて来る。(20:00)
治療用の物資が足りず、補給の頼み。
降伏勧告へ向かう城から取ってきて欲しいとの事だが、ロブは一緒に来た方が話が早いと言う。

ジェイミーの檻。(32:48)
カースターク公の息子、トーレンが見張っている。
ジェイミー・ラニスターはアルトン・ラニスターと談笑する。
脱獄の方法があると囁くジェイミー、アルトンの隙を突き打ち殺す。
異変に気付いたトーレンが檻の中に入るがと、それを鎖で絞め殺し鍵を奪う。

キャトリンのテントに伝令、ジェイミーを連れ戻したとの報。(43:34)
息子を殺されたカースターク公はジェイミーをリンチせんが勢い。
キャトリン・スタークはそれを何とか収めるが、ロブが帰って来たら奴の首を要求すると言われる。

夜、野営地は騒然としている。(49:30)
ブライエニー・タースは朝まで持たないだろうと言う。
キャトリンはジェイミーの檻へと向かう。
ジェイミーは言う。
騎士の誓いを守ろうとも、時と場合によって「誓い」がバッティングすると。
「王殺し」の事も話すジェイミーに、「義」の無い男だとキャトリンは軽蔑する。
それに対し、ジェイミーはエダード・スタークにも落とし子がいるだろう、お前はそれを憎んだだろうと、憎まれ口を止め無い。
キャトリンは、ブライエニーの剣を要求する。

 

  • ハレンの巨城

タイウィン・ラニスターの執務室。(08:59)
味方の兵すら吊って暗殺の犯人捜しを指示するタイウィン・ラニスター
グレガー・クレゲインは「旗印なき兄弟団」の仕業だろうと言う。
タイウィンは隠れて見つからぬなら、村や農場を焼き払い、一人残らず殺せと命令する。

羊肉が好みでないと言い、アリア・スタークに食べさせるタイウィン。(10:45)
アリアとの会話で、彼女が庶民では無いと喝破するが、アリアは口八丁でそれを乗り切る。

*話の本筋とは関係ないが、その様子を詳しく描写してみる。

 

この「五王の戦い」で、タイウィンは「遺産(Legacy)」を遺すと言う。
それは、子孫に受け継がれるもの。
ハレンの巨城はハレン暗黒王の遺産。
地上からは攻略不可能な強固さを誇ったが、この要塞を落したのは空から来るドラゴンの炎であった。
エイゴンは戦を変えた、だから300年経っても語り継がれている。

アリアはエイゴンだけでは無く、レイニスとヴィセーニスもドラゴンに乗ったと言う。
それぞれ、メラクセスとヴァーガーという名のドラゴンに乗り、ヴィセーニスはダーク・シスターをいう剣を振るった。
お前の憧れかと悟るタイウィン。
娘は歌の乙女とかに憧れるものだろうと言うと、アリアは「ほとんどの娘はアホだから」と言う。
その様子にタイウィンは自分の娘を思い出す。

歴史はどうやって知ったのかと問うタイウィン。
あくまで、石工の父からだと、アリアは言う。
しかし、タイウィンは指摘する。
庶民は「殿様(M’Load)」と言う。
「閣下(My Load)」とは言わないとの事。
庶民を装うなら正確(properly)にせよ、と告げる。
これに対しアリアは、長年レディに仕えた母から話方を習いました、正確に!(Properly)と返す。

タイウィン
あまりにも切り返しが上手いと言われた事は無いか?
アリア
Yes.
タイウィン
Go.

 

  • 「壁」の北

目を覚ますジョン・スノウイグリット。(05:32)
イグリットは自らの自由を誇り、誓約に縛られる「冥夜の守人」をバカにする。
更に、後から来たのに壁など作ってと言うが、
ジョンは自分はネッド・スタークの息子、「最初の人々」の血が流れており、祖先はここに住んでいたのだと答える。
なら、何故私達は争っているのか?とイグリットは言う。

ジョンを誘うイグリット。(16:50)
私達は世襲の王に仕えない、自由だ。
マンス・レイダーも元は鴉(=冥夜の守人)だった。
でも今は自由、あなたもなれる。

他の仲間と合流出来ない事をからかうイグリット。(25:45)
女性と二人きりで居た、どう否定しても信じて貰えないだろうとイグリットは言い、動揺を誘い再び逃げ出す。
ジョンは追いかけるが、気付くと野人に囲まれていた。

 

  • クァース

十三人組を招集したというザロ・ゾアン・ダクソス。(16:00)
ドラゴンを盗んだ犯人はその中にいるだろうと言う。
自分の評判が掛かっている、あなたを守らせてくれと言うが、デナーリス・ターガリエンはにべもなく断る。

ザロの家の部屋ジョラー・モーモントが戻って来る。(23:18)
イリら部族の民を守ってあげられなかったと思い悩むデナーリス。
疑心暗鬼気味のデナーリスに、助けさせてくれと頼むジョラー。
デナーリスはドラゴン捜索を命じる。

仮面の女の所を訪ねるジョラー。(39:26)
何も言わずとも、ドラゴンを探しているのだろうと言い当てる。
さらに、ドラゴンの母(=デナーリス)を愛しているのだろう、再び裏切る事はあるか?と尋ねる。
ジョラーが決して、と答えると、仮面の女は「あなたが探す盗人は、今、彼女と共に居る」と告げる。

招集された十三人組の集会。(40:51)
ドラゴンを返してくれと訴えるデナーリスだが、香辛料の王を始め、皆態度が素っ気ない。
しかし、パイアット・プリーは別、ドラゴンの母を子供と再会させると言う。
方法を聞くデナーリス。
パイアット・プリーは「不死者の館」に居ると答える。
パイアット・プリーはドラゴンが欲しく、ザロ・ゾアン・ダクソスは王になりたい
二人のクーデターで十三人組の残りは暗殺される。
ジョラーと合流し逃走するデナーリスに、パイアット・プリーは「不死者の館」にいらっしゃいと言う。

 

  • 新キャラ紹介

ロブの野営地

リカード・カースターク
カーホールド城の城主。

トーレン・カースターク
リカードの息子。
キングスレイヤーの檻の見張りをしていた。

 

  • 用語解説

旗印なき兄弟団
ラニスター家に逆らうレジスタンス。

(カラス)
raven.
野人は「冥夜の守人」の事をこう呼ぶ。

不死者の館
黒魔術師の本拠地。

 

 

戦中であるのに、相手をさりげなくデートに誘うロブ。
なかなか積極的だが、弟達の窮状をご存じで無い!?
ルーウィンの慟哭を聞かせてあげたい。

そのロブが居ない間に、ジェイミーの脱走と混乱が起こる。

第7話は、このキャトリンをヤケクソ気味に挑発するジェイミー、
ティリオンとサーセイの会話、
そして、アリアとタイウィンの会話という3つの会話劇が面白いエピソードである。

檻の中に入れられたジェイミー。
アルトン・ラニスターとの会話では、やや芝居がかった感じである。
それもそのはず、殺そうと狙っているからだ。
しかし、そのセリフの中でも、「檻の中では役立たずだ」と呟く場面では本音が見える

しかし、脱走は失敗、連れ戻され、リンチによる死が見えている。
そんな折、キャトリンが訪ねて来る。

ジェイミーは嬲り殺しになるより、必要以上に嫌な奴を演じてキャトリンにひと思いに殺させようとしている様に見える。

ほとんど酔っ払いの絡みだが、事実、ジェイミーは死の恐怖に酔っているのだろう。

一方、いつもいがみ合っているサーセイとティリオンが、珍しくまともに会話している。
(会話の内容はまともじゃないが)

いっつもキレてるサーセイが、涙にくれるという弱い部分を見せ、ティリオンは慰めて良いものか?と思いながらも近づくが、
結局抱きしめる事も優しい言葉もかけられない

サーセイの方も、近付いて来たティリオンを「何だコイツ」みたいな目で見てしまう。
「コイツ、慰めようとしてるのか?信じられない!」という目である。

いがみ合いが常態となっている二人は最後の所で触れ合えない。
結局、優しい言葉をかけ合う様な、そういう関係では無いとお互い思っているのかもしれない。

そして最高なのがアリアとタイウィンとの会話である。(10:45)

先ず導入部。
タイウィンが背中を見せる度に、ナイフを突き付ける「気」をアリアが発しているのが笑える。
まるでドリフである。
志村うしろ~。

ハレンの巨城の「負の遺産」(=エイゴンにとっては後世に残る評判の遺産)をタイウィンが語ると、嬉しそうに自分の知ってる事を語り出すアリア。
ほとんどお爺ちゃんと孫の会話そのもので微笑ましい。

歌の乙女に夢中になる娘などアホだ、と言うアリアに思わず吹き出してしまうのはタイウィンも視聴者と同じであった。

そして、終盤。
喋り方でアリアは庶民では無いとタイウィンは喝破する。
しかし、咄嗟の口八丁で「それらしき言い訳」をでっち上げるアリア。

お互い、瞬間的な言い訳だと分かっているが、上手く答えたので咎める(咎められる)程の事では無いとの共通意識を得た雰囲気を出しているのが面白い。

さらに言うと、タイウィンの「庶民を真似するなら正確に」の語尾の「properly」を自分の返答の時に被せたのがいい。

この「properly」(適切に、礼儀正しく)という単語。
アリア自身の語彙には無かった様で、上手く言えず言い直している。

この、自分には無い語彙(方法論)でも瞬間的に利用して返答出来るというのがアリアの並外れた部分であり、それに感心したタイウィンが放ったのが最後のセリフである。
(訳が難しいので、少しアレンジしてみた)

この時のタイウィンのかすかな笑顔(14:47)もいいのだ。

敵側の総大将と口先で渡り合うちびっ子。
最高に面白い場面である。
3つの願いの2つまでも行き当たりばったりで使ってしまった同じ人物とは思えぬ程だが、この並外れた瞬発力こそがアリアの魅力なのだ。

面白い会話劇の中、事態は着実に進行している。
この面白さ、次回以降にも楽しめるものである。

 

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次回は『ゲーム・オブ・スローンズ』第二章第8話「決戦前夜」について解説したい。