ドラマ『孤独のグルメ Season1 第六話 中野区鷺ノ宮のロースにんにく焼』感想 あらすじと解説

孤独のグルメ Season1 第六話
中野区鷺ノ宮のロースにんにく焼

 

監督:溝口憲司
脚本:板坂尚

 

出演:
井之頭五郎:松重豊

リサイクルショップ店長・吉野:田中要次
美容室オーナー:猫田直
みやこや・マスター:野添義弘 他

ふらっとQUSUMI:久住昌之

 


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*タイムラインはBDソフト準拠になっております。

 

  • ドラマパートあらすじ

中野区鷺ノ宮に訪れた井之頭五郎。
仕事と旧友に会う用事がある。

旧友・吉野は五郎さんをして、
「あの男が居なかったら、この世界(輸入雑貨)に居なかった」と言わしめた昔馴染み。

通りすがりのモブキャラのオバチャンが談笑している。
「馬を水辺に連れて行く事は出来ても、水を飲ませる事は出来ない」とか言ってる。

 

先ずは、お仕事。(26:39)
美容室の改装に伴い、オブジェが欲しいとの事。
お客様の癒やしの為に欲しい、
「髪のケアは出来るが、心のケアは出来ない」と言い、
そのリクエストは、
パリにクリエイティブイメージを足し、
現代的イメージをちょっと加え、
愛で割る、
それを、私の世界観で掛ける。

「駄目だ、俺の許容範囲を超えている」と頭を抱える五郎さんであった。

 

旧友に会いに行く途中、和菓子屋さんの栗大福に目を付けた五郎さん。

栗大福(30:22)
とりあえず一つ注文して即食べる五郎さん。

「栗大福、もちろん栗が入っているんだろうか」

「美味い」

他のお客さんが入ってきて、みたらし団子を五本注文する。
それに合わせて五郎さんも追加で栗大福5つ注文する。

 

旧友の店に行く。(31:09)
久しぶりに会った旧友、吉野はオネェになっていた。
「そうなったかぁ」

回想シーン。(32:35)
井之頭五郎に語りかける吉野(男)。

「五郎、恋をしろ」

恋をして、ホレてホレて惚れ抜いて、その人だけの為に世界中の綺麗な物集めて来い」(32:45)

そう語った吉野、もう、綺麗な物を集められないと、
輸入雑貨から手を引きリサイクルショップを始めたと言う。

「人を愛する事は出来ても、子供を産むことは出来ないの」

このリサイクルショップを友人に譲って旅に出るという吉野。
その前に会っておきたかったのだと吉野は言った。

栗大福のお土産を渡し、別れる五郎。

「吉野、お前はお前の人生を自由に生きてくれ、俺はおれの、、、

 

  • 何だか分かんないケド、無性に腹が減ってきた(36:39)

ポン、ポン、ポォン

「鷺宮、何を食べたら鷺宮なんだろう?」

速攻で見つけたお店は、「みやこや」。

とんかつ、久しぶりにドスンと入れて行くか

 

  • みやこや(37:25)

昼間から盛況、とんかつを食べに入るも、他の客のチキンカツを見た五郎さん、

「チキンカツ、そういう手もあるな」(38:08)

迷った時は両方だ」(38:13)

と、ミックスカツを注文する。

 

ミックスかつ定食(39:06)
「上がヒレカツ、下がチキンカツ、二階建てか」

「塩とソース、どっちで行くか…」

「二階建てにはソースだ」

「先ずは豚から、うん、良いじゃないか」

「チキンはどうだろう、うん、確かにチキンだ、豚とは世界が違う」

「おかずが良いとご飯が美味い」

そして、付け合わせのマカロニをつまむ。

「見るからに手造りだ、それを手造りと書いてないのがいい」

「うん、凝り過ぎていない手造り感が丁度いい」

「こういうのが嬉しいんだよ」

 

他のお客さんがにんにく(ロースのにんにく焼き)を注文、それに敏感に反応する五郎さん。
勿論かぶせて注文する。

その様子にお客さん、「一杯おごるよ」と言うが、
五郎さんは下戸。
見た目に依らないねというツッコミに、女将さんが「失礼ですよ」とたしなめる。

にこやかな雰囲気に、
「彼等にとってこの店は、最早自分家の延長なのだろう」
と五郎さんは思うのであった。

 

ロースにんにく焼き(42:32)
ご飯もお替わりして、準備万端。

「美味い」

辛い、いや甘い、甘辛だ」(43:24)

「イイゾ、イイゾ、にんにくイイゾ、白いご飯に合い過ぎる」

「鷺宮、満足」

他のお客さんも、五郎さんの食べっぷりに惚れ惚れ。

 

「ごちそうさまでした」(44:11)

 

「飲まなくたって、充分いい店だ」

「呑めなくったって、生めなくったって良いじゃないか、鷺宮」

そう言い去って行く五郎さんであった。

 

  • ふらっとQUSUMI(45:21)

看板の豚のイラストが可愛い「よしのや」。


*2012年当時のデータなので、現在も営業中なのかは要確認

メニューの短冊は、お客さんの要望で増えて行ったとの事。

そして、ドラマにも出て来たマカロニは、勿論奥さんの手造り。

ロースにんにく焼き(46:37)を食べる久住さん。
「うん、これは食欲がモリモリ湧くわ」
ご飯を食べ過ぎると呟く久住さん。

そして、ロースかつ定食。(47:10)
「やっぱりとんかつはご馳走です」

食後、主人と語らう久住さん。
ご主人、良い声してる。

 

  • 声に出して言いたい!五郎さんの名台詞

今回の「声に出して言いたい」名セリフは、

迷った時は両方だ」(38:13)

とんかつ目当てに店に入るも、他のお客さんのチキンカツを見るなり心が揺れる。
Aもいいけど、Bも捨てがたい。
しかし、今は飯を食いに来たのだ。
他の事ならまだしも、食事ならどちらも取ればいい。
迷った時は両取りだ!それがダンディズム!

 

辛い、いや甘い、甘辛だ」(43:24)

これは是非、感情を込めて五郎さんの様に呟きたいセリフだ。
辛い!?(お、辛いぞ)
いや甘い!(その中にも甘さを感じる)
甘辛だ(味の発見、合点がいく)
こういう心境のうねりを感じてこそ、五郎さんになりきって食事を楽しめると言えるでしょう。

 

  • 感想と解説

五郎さんの友人、吉野のインパクトが強い今回のエピソード。

回想では「五郎」と力強く呼びかけていたのに、
オネェと変わった今では「五郎ちゃん」呼ばわりである。

しかし、オネェを良く表しているのが流石の演技である。

 

そして、冒頭から追想のカットインが多用される今回の演出。

マカロニは「凝り過ぎていない手造り感が丁度いい」と言っていたが、
ストーリーはちょっと凝っている

 

今回のストーリーは、オープニングナレーションの時の漫画のコマのセリフ、
だけど、人が嫌がるものを無理矢理食わせる権利は誰にも無い」(26:19)
に触発されたものだと思われます。

 

最初は、通りすがりのマダムの
「馬を水辺に連れて行く事は出来ても、水を飲ませる事は出来ない」(25:33)というセリフ。

このセリフが次のセリフ達へとカットインのバトンで繋がって行く。

「私達お客様の髪のケアは出来るんですが、疲れている心のケアまではして差し上げられないでしょ」(27:21)

「人を愛する事は出来ても、子供を産むことは出来ないの」(35:37)

結局、何が言いたいのか?と言うと、

自分がどんなにお膳立てして、相手に心を砕いても、
それをどう受け取るかは、結局は相手次第という事なのでしょう。

 

輸入雑貨を辞めた吉野、彼に何があったのかは複雑な事情があったのでしょう。

しかし、彼のセリフ、
「恋をして、ホレてホレて惚れ抜いて、その人だけの為に世界中の綺麗な物集めて来い」(32:45)

これが、もう出来なくなったというのは、
大切な相手の要望を満たす事が出来ない自分、
その自分に、綺麗な物を集める資格が無いと自分で感じてしまったのでしょう。

 

愛する人間でも他人。

完全に自分の好意が相手に伝わるとは限らないのです。

畢竟、大なり小なり、自らの思いは一方通行である部分が多い、
それを相手がどう受け取るか、その事を気にしていたら何も出来ないのです。

結局は、どんなに報われなくとも、
一方的でも思いを注ぎ続ける事が、愛の本質でもあるのです。

勿論、相手に害を与えない範囲で、ですが

それが出来なくなる限界が、人間にはあります。

 

しかし、五郎さん、

「呑めなくったって、生めなくったって良いじゃないか」(44:44)

とラストに言います。

出来ないものは出来ないが、それを当たり前の自然のものとして受け入れる事が、
日々を楽しむ事と、訴えているかの様です。

 

さて、本エピソードでも見られる
「五郎さんあるある」。

五郎さんは、食べものに興味が湧いたら、即かぶせてきます

Season1 第一話の「つくねと生ピーマン」もそうでしたが、

今回は、
「みたらし団子を5本たのんだ人に合わせて、自分も栗大福を5つ注文する」(30:45)

「常連さんのロースにんにく焼きの注文に、同じ物を被せる」(41:13)

という行為が見られます。

普通は他人の目が気になって難しいですが、
食べ物となると猪突猛進となる五郎さんなら妥協がありません。

この辺りの「被せ芸」も魅力ですね。

 

また、あるあると言えば、
お店に入った時、先客の会話がピタリと止まる瞬間がありますよね。(37:30)

特に、常連がいる店なんかだと、仲間意識みたいな空気でちょっと入りづらくて、そのまま戸を閉めて帰りたくなったりもしますが、

そこは五郎さん、
ちょっと戸惑いつつも、ちゃんと着席します。

こういうメンタルが強くないと一人飯は楽しめないですものね。

 

 

 


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