モクメセイ荘、101号室。にーくらの部屋に集まる女子二人。女子が3人も集まれば、かしましドタバタ大騒ぎが始まる。今日も事件は起こらねど、それでも何かが起こってしまう。そんなCITYの物語!
著者はあらゐけいいち。
他の代表作にアニメ化された『日常』がある。
本作『CITY』は週刊誌「モーニング」の2016年44号から連載開始。
現在も続いている。
あらゐけいいちはギャグ漫画家である。
よって『CITY』はギャグ漫画である。
とは言え、この『CITY』という漫画は読んで大笑する感じの漫画では無い。
しかし読んでいるうちに、描写される
日常から一歩踏み出した過剰なリアクションの世界
に、魅了される事間違い無い。
毎回のオチが特別切れる訳では無いが、
常にハイテンションで続く「勢い」を楽しむ。
そういう類いのギャグ漫画と言えるのではないだろうか。
ギャグ漫画にも色々ある。
人の好みは十人十色。
『CITY』が全ての人に受け入れられるかと言えばそうでは無いが、
しかし、
あらゐけいいちのギャグ漫画センスは独自性が強い。
独特なモノがあるので、好きな人には癖になる面白さである。
以下解説
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アニメ化に屈さなかった漫画家
あらゐけいいちは前作『日常』が2011年にアニメ化されている。
漫画家にとってアニメ化がとういう意味を持つのか。
私は漫画家では無いのであくまで想像だが、アニメ化は物心両方において目的の一つと言えるのではないだろうか。
自分の描いたキャラクターが動画で動く満足感。
ガバガバ入って来るお金。
だが、これにより生活が一変し作品作りに影響してしまう。
遊びを覚えたり、些事に時間を取られ作品制作の時間が追われてしまったりするのだ。
だが、一番悪影響を被るのは精神面であろう。
豊かになり、人に認められたという充足感を得てしまえば、作品を作るために必要な飢餓感が失われてしまう。
多くの漫画家がそうである。
長く傑作を作り続けた『ジョジョの奇妙な冒険』であってさえ、メジャーになった8部とそれ以前の作品の熱量を比べたら一目瞭然であろう。
面白くなくなる、と言っているのではない。
ギラギラした脂っこさが薄められ、さっぱりしてしまうのだ。
(『ジョジョ』においては作者の加齢による作風の変化とも取れるが、ここでの詳しい言及は避ける)
それが作家の陥る飢餓感の喪失である。
だが、あらゐけいいちの作品は、その影響を受けているようには見えない。
それが、作者の性格によるものか、
それとも「アニメ化など、自分にとっては当たり前」とばかりに強烈な自身を持っているからなのか、
それは定かではない。
しかし、アニメ化の波にさらわれず、『日常』という漫画をキチンと終わらせ、そして新連載の『CITY』においても独特のハイテンションギャグを継続している事は特筆に値する。
その意味で、あらゐけいいちは注目すべき漫画家なのだ。
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あらゐけいいちのギャグ
ギャグ漫画には色々種類がある。
漫画家により千差万別であり、読者の嗜好も十人十色である。
あらゐけいいちにおいては、日常を踏み越えた過剰な描写(オーバーリアクション)をハイテンションで続ける所がその持ち味である。
あくまで、やっている事は普通である。
しかし、それをオーバーリアクションを持って、「コレ、実は面白いんじゃね?」と新たな視点を提供してくる、これが面白いのだ。
そしてこの独特さが、現在においては貴重な物である。
冷静に読んでしまうと、
「ふ、ふ~ん」
位のリアクションになってしまう。
なので、『CITY』を読む場合はこちらもテンションを上げて
「おおおお、これもギャグとして扱うか!」
位のリアクションをしてみよう。
さすればきっと、あなたも、この漫画の独特な味の虜になる事間違い無しである。
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さて、次回は、独特の世界が見えているのか?選ばれた天才達の話『中学生棋士』について語りたい。