漫画『ホブゴブリン 魔女とふたり』つばな(作)感想  正統派ファンタスティック民話!!

 

 

 

ホブゴブリン(種族名)のポーリーンは女の子。魔女のバーバ・ヤーガにお仕えしています。今日も、腹ペコのバーバの為に食べ物を探して森をさまよいます、、、

 

 

『ホブゴブリン 魔女とふたり』は
月刊誌『comicスピカ』『月刊バーズ』に2011~2015年まで不定期に連載された。

作者は「つばな」。他の作品に
『第七女子会彷徨』
『見かけの二重星』
『バベルの図書館』等の単行本がある。

つばなの作品は少し不思議なSFが多いが、本作『ホブゴブリン 魔女とふたり』は

正統ファンタジーだ。

 

ポーリーンの世界は我々からみたら少し不思議な世界。
その世界の少し不思議なモノ達と出会う短編の前半、そして話が収束してゆく後半の面白さが絶妙のバランスになっている。

人物と背景で統一された

可愛らしくて柔らかい絵柄で描かれる世界

 

はもっと続きを読みたくなる。ファンタジー好きなら是非手に取ってほしい逸品だ。

 

 

以下ネタバレあり


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  • つばなという作家

つばなはデビュー連載の『第七女子会彷徨』で読み切りのSFストーリーを長年作ってきた。
読み味としては「絵が付いた星新一」というべき作品で、ふんわり系の絵でありながら切れ味鮮やかなオチを展開している。

本作『ホブゴブリン 魔女とふたり』でもその腕前を遺憾なく発揮している。

前半で魅力的なキャラクターを配置し、その能力・性格と世界設定をさりげなく紹介している。そして、後半でそのキャラ句ター達を上手く使ってストーリーを組み立てているのだ。

これを、2011~2015の長期に渡った作品で集中力をきらさずに作り上げたのが凄い。

  • つばなの絵柄

『第七女子会彷徨』では主に学校の話だったのだが、本作『ホブゴブリン 魔女とふたり』では森の中の話だ。

この細かく丁寧に描かれたはっぱがいい。何処がいいのかというと、人物や世界観と調和している所だ。

この、「絵柄の雰囲気が漫画の雰囲気とあっている」という当たり前の様な事が実は結構難しかったりする。

その意味では本作はドンピシャだ。

  • キャラ設定補足

ポーリーンはホブゴブリンだ。
しかし、普通のファンタジーにおけるホブゴブリンの設定とは異なっている。

ゴブリンと言えば性格のひねこびたイタズラ小鬼で、人間やエルフ、ドワーフやらとは種族的に対立しているイメージだ。
そしてホブゴブリンは、そのゴブリンの上位種として、またはゴブリンの群れを率いる王や族長といったリーダーポジションとして認識されている。

しかし、本作のホブゴブリンは火の精霊という設定だ。
イメージとしてはギリシャ神話のヘスティアが思い浮かぶ。

ヘスティアとはかまどの神。台所の中心たる「かまど」を司るり、家族と家庭の平和を守る存在とされている。
まさにポーリーンはヘスティア的イメージの存在であると言えるだろう。

バーバ・ヤーガとはスラヴの民話に出てくる妖婆。鶏の足を持つ小屋に住むという設定は、まさにこの漫画の通りである。

イメージとしては、子供をさらって食べたり、逆に主人公の手助けしたりする「扱いにくい世捨て人」である。

また、民話の地方としてわびしい雪のイメージが強い。本作では温暖で豊穣そうな森の話なのでその点が少し元の設定とは違うようだ。

そのせいか、ガリガリ婆さんのイメージが、本作のバーバはちょっとふくよかだ。

 

 

魅力的なキャラクターが見事にストーリーを展開させる本作、是非とも広く読まれて欲しい。

続編まってます。

 

 


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さて次回は、温かさは無く、静謐な空気が流れる小説『黄色い雨』について語りたい。