かつての親友同士、アルバス・ダンブルドアとゲラート・グリンデルバルト。しかし、過激思想を標榜するグリンデルバルト対し、ダンブルドアは、彼の野望を阻止せんと動いていた。
「血の誓い」により互いを攻撃できない二人。
未来が「見える」グリンデルバルトは謀略を巡らし、それに対抗し、ダンブルドアはニュート・スキャマンダー達、選ばれた精鋭(?)を派遣し、それをかき乱さんとしていた、、、
監督は、デヴィッド・イェーツ。
映画「ハリー・ポッター」シリーズの後半の4作、
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(2007)
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(2009)
『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』(2010)
『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(2011)
そして、「ファンタスティック・ビースト」シリーズ
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(2018)
を監督する。
他の長篇映画監督作に、
『ターザン:REBORN』(2016)がある。
出演は、
ニュート・スキャマンダー:エディ・レッドメイン
ジェイコブ・コワルスキー:ダン・フォグラー
テセウス・スキャマンダー:カラム・ターナー
ユーラリー・ヒックス:ジェシカ・ウィリアムズ
ユスフ・カーマ:ウィリアム・ナディラム
バンティ・ブロードエーカー
アルバス・ダンブルドア:ジュード・ロウ
アバーフォース・ダンブルドア:リチャード・コイル
ゲラート・グリンデルバルト:マッツ・ミケルセン
クイニー・ゴールドスタイン:アリソン・スドル
クリーデンス:エズラ・ミラー 他
「魔法ワールド」シリーズとして、
「ハリー・ポッター」に続いて制作された
「ファンタスティック・ビースト」シリーズ。
原作者、J・K・ローリング自らが脚本を手掛けています。
元々は、3部作の予定だそうですが、
結局は、5部作として作られているシリーズ、
その第三作目が、
本作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』です。
さて、
シリーズ3作目ということで、
本作、
完全に、初見さんお断り
な作品となっております。
まるで、
京都の高級店の様に、
常連さんでないと理解出来ない作り、
本作から魔法ワールドの映画に触れたなら、
何が起こっているのか、全く分からない状態となります。
何故なら、本作は、
前置き無しに、
いきなり、クライマックスな展開が続くからです。
いやぁ、
私なんか年寄りだから、
前作までの流れを、忘れてしまっている訳ですよ。
それがですね、
前作までのストーリーを「理解」している事を前提に、
ドンドコ話が進むから、
「あ、あれ?どうだったっけ?」と、
画面ではニュート達が戦っている最中に、
観ている私は、
自分の灰色の脳細胞の記憶を掘り起こす戦いを続けていましたね、ええ。
まぁ、でも、
私の様に、
前作までの流れを忘れていても、
何となく、ノリで楽しめちゃうのが、本作の凄い所。
衣装や舞台、設定がキッチリしているから、
その「魔法ワールド」という世界観に浸れれば、
それでオールオッケーな感じの作品です。
正直、
ストーリー展開的には、
「ん?」と思う事もありましたが、
魔法アクションの派手さや、
魔法生物の奇矯さで、
画面に釘付けになります。
何だかんだ言っても、
演じる役者さんも実力派揃いなので、
安心して楽しむ事が出来る作品です。
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は、
事前の期待にそう、
安心・安全の作品と言えるでしょう。
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『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』のポイント
派手で奇妙な魔法バトルの連続!
前作の伏線回収
3人の主人公格の魅力
以下、内容に触れた感想となっております
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グリンデルバルトのキャスティング変更の変遷
本作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』において、
ジュード・ロウ演じるダンブルドアの親友にして不倶戴天の敵である、
グリンデルバルトを演じるのは、
マッツ・ミケルセン。
「ファンタスティック・ビースト」シリーズにおいては、
第一作目では、
グリンデルバルトはパーシバルというキャラクターに変装しており、
その変装の姿の時は、コリン・ファレルが演じていました。
正体のグリンデルバルトを、
第一作目と第二作目で演じたのは、ジョニー・デップ。
第三作目以降も、
グリンデルバルトを演じる予定でしたが、
ジョニー・デップが、
元妻アンバー・ハードとの離婚裁判において、
「DV夫だった」と暴露された問題が切っ掛けで、
配給のワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズが降板を要求。
それを飲む形でジョニー・デップは退き、
後任に急遽、マッツ・ミケルセンが就きました。
皆さんのイメージ的には、
どうなんでしょうか?
ジョニー・デップが演じるグリンデルバルトは、
金髪モヒカンで、オッドアイという、
厨二病満載の見た目だったので、
どうも、
ダンブルドア演じるジュード・ロウと比べて、
チャラい印象が拭えませんでした。
見た目的には、
落ち着いた紳士然としてはいますが、
無表情さに、狂気が宿っている、
そんな印象のマッツ・ミケルセンとジュード・ロウが並んだ時、
「お、結構お似合いじゃん」
と思ってしまったのは、
私だけでしょうか?
個人的には、
怪我の功名とも思えますが、
皆さんはどうでしょうか。
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3人の主人公
さて、
本作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は、
一見さんお断りなストーリー内容ですが、
それを考慮したとしても、
ちょっと、展開が急というか、
とっちらかっている印象があります。
先ず、
グリンデルバルトには、
未来を「見る」力があります。
そのグリンデルバルトとダンブルドアは「血の誓い」を結んでおり、
お互いを攻撃できないという制約があるのですが、
代わりに、
ニュート達が、
グリンデルバルトに対抗する刺客として差し向けられます。
で、
未来を「見る」力で、読まれない為に、
奇襲として、
本人も目的が分からないノープランの状態で、
出たこと勝負を仕掛けて行く事になるのです。
「ファンタスティック・ビースト」シリーズには、
「グリンデルバルトの野望を阻止する」という、
ストーリー上の大きな目的があります。
しかし、本作は、
その目的の為、
実際に、どんな行動を登場人物が取るのか、
それが分かり辛いので、
(登場人物も分かってない)
投げ出された印象を受けてしまいます。
本作のストーリー展開が、とっちらかった印象なのは、
「グリンデルバルトを混乱させる為」という目的があるのですが、
行動の目的や、
目指す到達点を知らずに投げ出されるのは、
登場人物のみならず、
観客にも、
不安と不信を抱かせる事になります。
本作では、
前作の複線や展開を回収する形で、
様々な謎が解き明かされ、
(アバーフォースの宿屋の鏡の文字とか)
それと同時に、
ラストに向かうにつれて、
ああ、この行動は、
こんな意味があったのだな、
と、後に分かる様には作ってあるのですが、
(最初は意味不明ですが、徐々に、魔法界のリーダー選挙に出馬するグリンデルバルトの思惑を阻止するのが、本作の目的=ダンブルドアの思惑だと判明します)
如何せん、
強引な展開の印象が悪く、
ストーリーをまとめるのを放棄したな、
という印象が、正直な所です。
また、本作は、
主人公格の登場人物が3人おり、
それは、
ニュート・スキャマンダー、
ジェイコブ・コワルスキー、
アルバス・ダンブルドアの3人です。
シリーズの主人公はニュートなのですが、
本作においては、
ダンブルドアの目立つ「駒」の一つでしかありません。
一方、
魔法使いの中で、
唯一の「マグル」(非魔法使い、ノーマジ)であるジェイコブは、
その特異性により、
サブ主人公としての存在感が増しています。
ニュートが恋する相手として、
サラ・ウォーターストン演じるティナというキャラクターがいるのですが、
本作においては、
出番が大幅カットされています。
代わりに、
ジェイコブとクイニーの恋の行方がフォーカスされており、
その点においても、
本来の主人公であるニュートを完全に喰っています。
しかし、
本作の実質的な主人公はダンブルドアであり、
それは、
ニュートやジェイコブを指揮し、
全貌を予め把握し、
最終目標を設定し、
又、
派手なアクションシーンを担っており、
何より、
「ファンタスティック・ビースト」シリーズの最終地点が、
「ダンブルドアとグリンデルバルトの決着」を目指している所から、
その点は、明白なのです。
元は、3部作を目指し、
それを5部作展開にしたという「ファンタスティック・ビースト」シリーズ。
実際、
本作のラストにて、二人の決着を付けても良いくらいの展開ではありました。
他にも、
ジェイコブとクイニーの恋、
クリーデンスの出自、
妹(リタ)の仇を討ちたいユスフなど、
前作からの因縁が、本作で一応決着しており、
この、
本来は終わっていた着地点をズラして、
後に続けている様な印象があるのも、
本作が無理矢理感を抱かせる一因ともなっています。
まぁ、
後に続ける為に、
本作ではティナの出番をカットしたのでしょうね。
本来の主人公であるニュートが、
今後のシリーズでどういう活躍をするのか?
やっぱり、
実質的な主人公として、
ダンブルドアとグリンデルバルトの方が目立つのか?
まぁ、色々文句は言いましたが、
何だかんだ、
続きが気になると言うことで、
次回作も楽しみに待ちたいと思います。
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