映画『カオス・ウォーキング』感想  設定の面白さでゴリ押しSF!!

西暦2257年。環境破壊により住みにくくなった地球を逃れ、宇宙船で新世界に辿り着いた人類。しかしそこは、思考が映像として具現化する惑星だった。
しかも、男性のみ。そして、女性は死に絶えてしまった。
そんな場所に、移民船の第二波の先遣隊がやって来るが、具現化する思考=「ノイズ」に当惑しアクシデント発生、着陸時に生き残ったのは、たった一人の女性クルーだった、、、

 

 

 

 

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監督は、ダグ・リーマン
主な監督作に、
『ボーン・アイデンティティ』(2002)
『Mr.&Mrs. スミス』(2005)
『ジャンパー』(2008)
『フェア・ゲーム』(2010)
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)
『ザ・ウォール』(2017)
バリー・シール/アメリカをはめた男』(2017)等がある。

 

原作は、
パトリック・ネスの小説「混沌の叫び」シリーズの第一部、
『心のナイフ』。

 

出演は、
トッド・ヒューイット:トム・ホランド
ヴァイオラ:デイジー・リドリー
プレンティス首長:マッツ・ミケルセン
デイヴィー・プレンティス・ジュニア:ニック・ジョナス
アーロン牧師:デヴィッド・オイェロウォ
ベン:デミアン・ビチル 他

 

 

 

 

「人の心を読む」という、
いわゆる、読心術的な超能力は、
まぁ、割と、よく見ますが、

本作の設定は逆で、
自分の思考が映像としてダダ漏れ。
しかも、音声付き

 

女性は、
男性の目線で、
「自分の胸が見られている」と察するそうですが、

訓練された男性は、
目線を動かさず、視界の端に胸を収める事で、
直視せずにガン見する術を知っています。

しかし、
本作の設定だと、
「ノイズ」として、思考が映像として表われ、

涼しい顔をしていても、
「オッパイでけぇ」と心の中で思っている事が丸分かりになってしまいます。

 

イキナリ、
オッパイの話題で恐縮ですが、

そんな本作『カオス・ウォーキング』は、その、

思考が映像として相手に知れ渡るという、
この設定が面白いSF作品

 

これに尽きます。

 

 

まぁ、陰キャの思考がダダ漏れだったら、
そりゃ、悲惨な事に、
陰鬱な映画になっちゃいますが、

本作の主人公を演じるのは、
映画「スパイダーマン」の3代目で有名な、
トム・ホランド。

もう、立っているだけで、陽気な人物。

主人公のトッド・ヒューイットを演じたのが、
トム・ホランドという陽キャだった事が、
本作を救っている要因と言っての良いのです。

 

 

本作の「要素」を簡潔に言うと、

面白いSF設定を、
トム・ホランドというキャラクターが活かしている

そこに魅力を感じる作品ですね。

 

 

以下、ネタバレ感想を含みます

 

 

 

…とは言え、本作。

そんな面白いSF設定を、
ストーリー、テーマに昇華しているとは言い難い作品になっています。

女性が居ない、

というのは、

実は、
思考を読まれたくない男性が、
女性を皆殺しにしたというオチは、

まぁ、納得です。

そして、
別のコミュニティでは、
普通に女性が暮らしていたというネタも、
これまた納得。

 

しかし、
この展開は、
ぶっちゃけ、最初から読めていたものなので、

まぁ、出来れば、
男性が女性を迫害するに至るまでの顛末を描いた作品にした方が、
より、社会の差別意識に対する問題提起が成されたのではないでしょうか。

 

ヴァイオラの登場に、
村の面々が、
そう色めき立っていなかったのも、
ちょっと違和感があります。

もっと、猟奇的でも良かったのでは、と思います。

 

まぁ、そうすると、
SFでは無く、
ホラーになってしまうので、
程ほどにしたのだと思われます。

 

しかし、
それ以外にも、

何故、「男性だけ」ノイズが発生するのか?
惑星の先住民である「スパクル」という知的生物がストーリーに全然絡まない、とか、
宇宙船を飛ばす技術があるのに、どうして文明が退化しているのか?とか、

物語的な突っ込み所が多々あれど、

そこに、一切触れられていないので、
肩透かし感というか、
フラストレーションが溜ります

 

原作未読なので、
詳しい所が分かりませんが、

3部作の第一部なので、
そこの、設定部分を疎かにしているのかもしれませんが、

一本の、
独立した映画として、
この興味深い設定の説明(謎解き)をせずに放り出して作品を描く事は、

正直、中途半端な感じがしました。

 

私の本作の個人的な、
率直な感想は、

折角の興味深いSF設定を活かしきれていないが、

主人公を演じたトム・ホランドのキャラクター性や、
ヒロインのデイジー・リドリー、
悪役のマッツ・ミケルセンの演技で、
ゴリ押しで持たせた作品という印象を受けます。

 

過去に、面白い作品をリリースした監督で、

出演者も有名役者を集めても、

決して、
それだけでは名作にはならないという良い例(?)ですね。

 

映画のみならず、

小説や漫画でも、
結局、
「何を表現したいのか」という、
テーマが一番大事なのではと、
私は個人的に思っています。

 

そういう事を、改めて思い起こさせる、

『カオス・ウォーキング』とは、
そんな作品です。

 

 

  • 『カオス・ウォーキング』のポイント

「ノイズ」という設定の面白さ

トッド・ヒューイットを演じたトム・ホランドの陽キャっぷり

設定、世界観を活かしきれていないストーリー、テーマ

 

 

 

コチラは、原作小説

 

 

 

 

 

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