映画『チャイルド・プレイ』(2019年版)感想  美容整形の果てに、メンヘラ、ヤンデレとなったチャッキー!?

転校生のアンディは、まだ、上手く友達を作れないでいた。それを案ずる母カレンは、アンディにカスラン社のバディ(友達)人形をプレゼントする。若干挙動がおかしいが、スマホにアプリをダウンロードし、バディ人形と繋ぐと、その人形は自分の事を「チャッキー」だと名乗った、、、

 

 

 

 

監督はラース・クレヴバーグ
他の監督作に、
『ポラロイド』(2017)がある。

 

出演は、
アンディ:ガブリエル・ベイトマン
カレン:オーブリー・プラザ
マイク・ノリス刑事:ブライアン・タイリー・ヘンリー

チャッキー(声):マーク・ハミル 他

 

 

 

一作ヒットすると、
雨後の竹の子の如くにシリーズが量産される、

それが、ホラー映画。

呪いの人形「チャッキー」が活躍(!?)する、
「チャイルド・プレイ」シリーズは、

第一作目の『チャイルド・プレイ』(1988)を皮切りに、
過去、7作製作されています。

 

本作は、通算8作目の「チャイルド・プレイ」であり、

元々の制作者から離れて、
第一作目のリブート作品となっております。

なので、
過去のシリーズとは、世界観が共通しない、
新しい「チャイルド・プレイ」と言えます。

 

さて、私はと言えば、
過去の「チャイルド・プレイ」は、
シリーズの「何作目」かを観た記憶はありますが、
それもうろ覚え。

ただ、
設定では、
連続殺人鬼の魂が乗り移った人形が「チャッキー」、
というものでした。

 

しかし、本作は、
その設定から違います。

本作のチャッキーは、
呪いの人形というより、

AIが暴走した、最新鋭の家電人形

 

といった印象。

というより、

見た目からして、昔と全然違います。
ちっさいオッサンみたいな感じ。

 

本作のチャッキーは、
流行のCGを使っておらず、

昔ながらの人形(アニマトロニクス)を使用しているので、
妙なリアルさがあり、

それが、
不気味な恐怖を演出します。

 

いやぁ、ぶっちゃけ、
自分が親だったら、
こんな人形絶対買わないダロ!?

誰もが、そうツッコむ事間違い無しと言えます。

 

さて、本作は、元々がホラー映画。

しかもシリーズを重ねた作品を、
元の制作者から切り離して、リブートした作品。

B級の、そのまたB級、
三番煎じとも言える作品です。

なので、
期待せずに観に行ったのですが、

ハードルを下げて観たら、
結構、それなりに、面白かったですね。

 

言葉に反応し、
AIが行動を学習し、
同じ規格の様々な家電と繋がっているという設定は、

Siri とか、「オッケーグーグル」とか言ってるアレみたいなのを連想させ、

呪いというよりAIの暴走を題材にしたのは、
現代的なリアルさがあります。

また、
ホラー作品という事で、
殺しの場面があるのですが、
割と、血がブシャーッと出ます

つまり、
本作は、正しいB級ホラー映画。

ポップコーンを食べながら、
「ははは」と、渇いた笑いを上げつつ観るのに、
丁度良い作品なのです。

 

過度な期待は禁物ですが、
それなりには楽しめる作品、

それが『チャイルド・プレイ』です。

 

 

 


 

 

 

  • 『チャイルド・プレイ』のポイント

チャッキー人形の不気味さ

下請けは大切に

メンヘラは拗らせると危険!

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 


スポンサーリンク

 

  • 新生チャッキー

本作『チャイルド・プレイ』(2019)は、
元々、シリーズをプロデュースしてきたドン・マンシーニや、
シリーズでチャッキー人形の声を演じてきたブラッド・ドゥーリフとは無関係の作品。

なので、
実際的には、シリーズ作品というより、
現代的にリブートしたスピンオフみたいな感じで観るべきかもしれません。

 

なので、チャッキーの設定も、

ブードゥーの秘術で、魂が人形に宿った殺人鬼、というものから、

同一規格の家電と連動する、最新鋭のAI人形の暴走、というものに変更されています。

それにあたって、
チャッキーの声優も変更になっているのですが、
それを演じたのは、マーク・ハミル。

 

マーク・ハミルは、
「スター・ウォーズ」シリーズの、
ルーク・スカイウォーカー役で有名な俳優。

近年はそれに加え、
アニメやゲームにおける「ジョーカー」の声優としても知られています。

言われないと気付きませんが、
言われると、「あぁ~」と気が付きます。

 

この、マーク・ハミルの声が、
良い味出してるんですよね。

微妙に噛み合わない会話、
ウザくて、不気味な「友達の歌」。

独特の、リズムと抑揚が、
新生チャッキーを特徴付けています。

 

  • 下請けを苛めるべからず

さて、本作のチャッキーは、
AIの暴走が恐怖を巻き起こします。

 

しかしそもそもは、
作品の冒頭、

バディ人形を作っている第三国の下請けが、
上司にパワハラされた恨みで、

プログラムの制限を全撤去した事が、その原因。

 

最近、よく、
バイトがSNSに、非常識動画をアップして、
企業レベルの問題に発展する例が多発していますが、

それも、もしかして、
現場では、社員による、バイトへのパワハラが原因で、

その恨みを晴らす為の、
炎上上等のバイトテロという側面も、
あるのかもしれません

しかし、
その社員自体も、会社から追い込みをかけられているから、
自分より下の立場のバイトに辛く当たっているという側面もまた、
あるのです。

結局は、企業風土が、
その企業の、風評を決定しているのですね。

 

バイト君や、
外国人労働者をこき使うと、
思わぬしっぺ返しを喰らう。

その事を、
本作は訴えているのかも、しれませんね。

 

  • 拗らせメンヘラの恐怖

さて、本作のチャッキーは、
AIの制限が外れた状態。

なので、ある意味、
純真無垢に、全ての事を吸収する訳ですが、

育て方が悪かったのか、

チャッキーは、
いわゆる「メンヘラ」に仕上がってしまっております。

 

悪い奴じゃ、無いんだけど、
極度の依存が面倒くさい友達

そういう困った人、居ませんか?

何となく、心当たりがある故に、

気軽に観られる、ホラー映画ではありますが、

「重いわ」と、思わず言ってしまう、
チャッキーの行動の数々は、

ただ、笑い捨てるだけには留まらないリアルさが伴っています。

 

AIの暴走というと、
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)のウルトロンや、

『ターミネーター2』(1991)のスカイネットなどが思い浮かびますが、

それらはいずれも、
「取るに足らぬ人間を、より高度の存在であるAIが支配してやる」
みたいな設定となっております。

しかし、
本作に観られるAIの暴走は、

より、人間個人(主人)に依存し、
それが極端に先鋭化する事で、
社会との折り合いが付かなくなるという、

「AIの暴走」の典型例とは、
全く逆の設定となっており、

その点が、
本作の描写の面白い所です。

 

 

 

顔が変わり、
声が変わり、
設定すら変わったチャッキー。

しかし、

無線でドローンやTVを操り、

お前は、一生、俺だけのモノと、メンヘラを拗らせているチャッキーを観ると、

呪いや超能力なんて無くとも、

リアルでも充分、怖いのだな、

そう、本作『チャイルド・プレイ』は思わせてくれるのではないでしょうか。

 

 

現在公開中の新作映画作品をコチラのページで紹介しています。
クリックでページに飛びます

 

コチラは1988年版の『チャイルド・プレイ』第一作目


スポンサーリンク