映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』感想  まさかの再現度!?笑えて、カッコ良い、これがフレンチ冴羽獠だ!!

「シティーハンター」冴羽獠に舞い込んだ新たなる依頼。それは「キューピッドの香水」という、付けて、香りを嗅がせた相手を惚れさせるという香水を、悪の手から守って欲しいというものだった。
そんなバカなと訝しがる獠だったが、試しに依頼人(男)に付けて匂いを嗅ぐと、相手に惚れてしまう始末。
直後、爆発が起き、どさくさ紛れに、何ものかによって香水は奪われてしまう。
タイムリミットは48時間。それ以内に効果を消さないと、獠はずっと男に惚れたままになってしまう、、、

 

 

 

 

監督は、フィリップ・ラショー
フランス出身。
本作では、監督、脚本、主演を務める。
監督作に、
『真夜中のパリでヒャッハー!』(2014)
『世界の果てまでヒャッハー!』(2015)
『アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー!な大騒動になった件』(2017)がある。

 

出演・日本版役名(日本語吹替え)は、
ニッキー・ラーソン(冴羽獠):フィリップ・ラショー(山寺宏一)
ローラ・マルコーニ(槇村香):エロディ・フォンタン(沢城みゆき)

マンモス(海坊主):カメル・ゴンフー(玄田哲章)
トニー・マルコーニ(槇村秀幸):ラファエル・ペルソナ(田中秀幸)
エレーヌ・ランベルティ(野上冴子):ソフィー・モーゼル(一竜斎春水)

パンチョ:タレク・ブダリ(浪川大輔)
ジルベール・スキッピー:ジュリアン・アルッティ(多田野曜平)
ジェシカ・フォックス:パメラ・アンダーソン(ちふゆ)
ドミニク・ルテリエ:ディディエ・ブルドン(土師孝也)

チンピラ:ジェロム・レ・バンナ 他

 

 

 

漫画『シティーハンター』が連載開始されたのは、
1985年。

それから、
じつに35年を経て、
何と今年、
「シティーハンター」の映画が2本も公開されました。

一つは、
アニメ映画の『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』。

そしてもう一つが今作、
実写版の『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』です。

 

実写版!?
それも、フランス映画!?

これだけでも驚きですが、
実は『シティーハンター』、過去にも海外で実写映画化されています。

それは、
ジャッキー・チェン主演の、香港アクション映画『シティーハンター』(1993)です。

 

ジャッキーの「シティーハンター」は、
日本からは、当時人気のあった後藤久美子が出演したり、

ジャッキー(冴羽獠)が、
対戦格闘ゲーム「ストリートファイター」の春麗のコスプレしたり、

結構カオスな内容でしたが、
映画としては、「シティーハンター」というより、
いつものジャッキーの「コメディ・アクション」といった内容でした。

 

では、翻って本作は、
一体どうなのかというと、

意外や意外!?

原作に忠実でありながら、
実写ならではの、オリジナルな面白さもあり、
「シティーハンター」愛のある作品となっています。

 

 

今年初めの、
アニメ映画版の『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』の場合もそうでしたが、

本作も、
「映画」として観た場合、

普通にクオリティの高い作品は、いくらでもあります。

アクションとしては、「アベンジャーズ」シリーズの方が迫力がありますし、
スパイものとして観るならば、「ミッション:インポッシブル」シリーズのほうが豪華な作りです。

 

しかし、
本作の様に「原作アリ」映画作品の場合、他にも重要な要素があります。

それは、
原作の要素を、如何に映画に活かすか、
原作のファンを、如何に満足させるか、
という面です。

そういう側面から観た場合、
本作の顧客満足度は抜群!

実写?フランス映画?

そんな事、全く気にならない面白さがあります。

 

漫画『シティーハンター』もそうですが、
ジャンプ系の漫画は、

ちょっとオトボケ主人公、
ちょいエロと、ギャグを交えつつ、
やる時はやる格好良さにシビれる、

そういった、

古き良き、王道少年漫画的な
キャラクター造型、ストーリー展開になっているのです。

 

 

原作付き作品の映画化。

それは、作り手が、
作品をどれだけ「好き」かどうかによって、
その完成度が大きく左右されます。

本作は、
小学生の頃アニメ版「シティーハンター」を観ていたという監督のフィリップ・ラショーが、
脚本と主演を兼ね、

また、
槇村香を演じたエロディ・フォンタンは、
そのフィリップ・ラショーの、実生活のパートナーなのだそうです。

そこまでやる!?

というか、
ここまでやったからこその面白さが、
本作にはあるのです。

 

ギャグがあって、
エッチがあって、
アクションがあって、
そして、カッコ良い!!

原作ファンは勿論、
ファンならずとも、充分に楽しめる作品、

それが『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』です。

 

 

  • 『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』のポイント

原作愛のある、高い再現度

ギャグとちょいエロ、少年漫画的王道アクション

オリジナルキャラクターの魅力

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 


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  • オリジナルキャラクターの魅力

本作『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』は、
作り手の原作愛が高く、

ファンが観て、納得出来る面白さになっています。

 

そんな本作で注目してみたいところは、

原作付き作品を映像化する場合のお約束であり、
ある意味、鬼門とも言える、
オリジナルキャラクターについてです。

 

映像化作品にて、オリジナルキャラクターを出した場合、
往々にして、
ファンからは不評を買ってしまいます。

何故か?

それは、
オリジナルキャラクターを出す事で、
原作の空気感が損なわれ
且つ、
原作とは違うストーリーが生まれ、
元々、ファンが期待していた「面白さ」の要因が殺がれてしまうからです。

 

しかし、
本作のオリジナルキャラクター、

香に惚れる「パンチョ」と、
香水を自らの欲望のままに使う「ジルベール・スキッピー」は、
共に、中々良いキャラクターをしており、

本作においてコメディリリーフを担った二人は、
作品の雰囲気を殺ぐどころか、
逆に、更に面白くしていました。

では、本作において、
オリジナルキャラクターが成功した要因とは、何でしょうか?

 

先ず、
「シティーハンター」という作品は、
エピソードタイプのストーリー、

つまり、
長篇タイプの作品では無く、
短篇の、
比較的短い話が、次々と展開されて行くタイプの作品だからです。

アニメでは、
一話完結型で描かれていた、「シティーハンター」。

これは即ち、
毎回、新規のキャラクター(依頼人、悪人)が登場するという事なので、
エピソード毎に「ポッと出」のキャラクターが出る事に、
元々違和感が無いと言えるのです。

 

そして、
本作のオリジナルキャラクターの二人は、
ストーリーを活かす上で、
重要な役割があり、
ある意味、必要不可欠であるからです。

 

パンチョは、
「キューピッドの香水」の効果を示す、良い例になっています。

盲目的な愛が転じて、
ストーカーとなって香を追い回すのは、
面白反面、
薬の効果の恐ろしさも、同時に演出しています。

また、
ジルベール・スキッピーは、
物語を攪乱する予測不能要因。

欲望のままに「キューピッドの香水」を使うとどうなのかを示し、
彼の暴走を追うその展開が、
そのままストーリーを進める原動力となっています。

 

映画として、
オリジナルのストーリーを展開した本作、

その、ストーリー上において、
無理の無いキャラクターであったからこそ、

コメディリリーフとしての役割を、
オリジナルキャラクターは存分に担った。

パンチョとジルベール・スキッピーは、
そういうキャラクターと言えるのです。

 

  • エロディ・フォンタンの香

とは言え、
「シティーハンター」のエピソードで出演するオリジナルキャラクターは、

原作やアニメにおいて、
元々は、女性キャラが多い印象があります。

まぁ、
冴羽獠が女好き、且つ、
女性の依頼しか(基本的には)受け付けないという事があるからですね。

なので、
毎回、出て来る女性キャラが、
ヒロイン枠として、物語が進んで行く形が、
「シティーハンター」のパターンの定型として存在しています。

 

しかし、
本作は、そのオリキャラ(オリジナルキャラクター)のヒロイン枠はありません。

本作は、
依頼人はドミニク(男性)ですし、
他のオリキャラのパンチョも、ジルベールも男性です。

何故、本作はオリキャラ枠を男性で固めたのでしょうか?

それは、
本作のヒロインは、香というキャラクターに集中しているからなのです。

 

さて、その香ですが、
これを演じるエロディ・フォンタンがまた、魅力的。

本作の香は、
原作やアニメと比べると、
より、獠に対するラブ的な態度が鮮明に表われています

 

りょお~、と叫びつつ、
嫉妬混じりにハンマーを振り回しながらも、
ロマンスを期待していたりもする。

原作やアニメだと、
獠も香も、
お互いの本心を、自分自身でも敢えて自覚せずに、秘めたる感じで振る舞っています。

今年公開されたアニメ版の『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』は、
そんな距離感を、絶妙に表現していましたね。

そんな、原作とは、ちょっと違う、
勝ち気なお転婆でありながら、恋する乙女的な側面も見せる、
そんな香を観られたのは、
意外と、新鮮で楽しいものでした。

 

さて、
その香を演じたのは、エロディ・フォンタン。

彼女は、
獠を演じたフィリップ・ラショーの実生活のパートナーと言う事なので、
そういう関係性が、
映画に良い影響を与えているのかもしれません。

 

 

 

映画オリジナルの作品があったり、
企画先行の、商売気味の作品があったり、
表現、芸術性を追求しているものがあったり、

映画には、色々な形がありますが、
原作付き作品というものには、
様々な評価基準が絡んできます。

 

「映画そのもの」の面白さが求められつつ、
原作ファンをも満足させなければならない。

そのハードルを越えるのは、
作り手側の、作品への「愛」が成せる技。

その事を教えてくれる、
それが『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』という作品なのではないでしょうか。

 

 

今年公開された、アニメ版『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』については、コチラで感想を綴っています

 

 

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