映画『ドラゴンボール超 ブロリー』感想  最強論争に終止符!?遅れて来た最強、ブロリー!!


相も変わらず修行に明け暮れる悟空とベジータ。そんなある日、ブルマの家からドラゴンボールが盗まれる。どうやら、生き返ったフリーザ率いる戦闘員の仕業らしい。7つのドラゴンボールが揃い、地球にやって来たフリーザは、あるサイヤ人を伴っていた。その名はブロリー、、、

 

 

 

 

監督は長峯達也
TVアニメ「ドラゴンボール超」の第77話からシリーズディレクターを務めた。
映画監督作に
『映画 YES!プリキュア5鏡の国のミラクル大冒険』(2007)
『ONE PIECE FILM Z』(2012)等がある。

 

原作・脚本・キャラクターデザインは
ご存知、鳥山明
『Dr.スランプ』
『ドラゴンボール』という二本の大ヒット作がある。

 

声の出演は
孫悟空:野沢雅子
ベジータ:堀川りょう
ブルマ:久川綾
ピッコロ:古川登志夫
ビルス:山寺宏一
ウィス:森田成一

ブロリー:島田敏
パラガス:宝亀克寿
フリーザ:中尾隆聖
チライ:水樹奈々
レモ:杉田智和 他

 

 

復活の劇場版ドラゴンボール、
その第三弾、

通算すると、
ドラゴンボールムービーの20作目に当たるのが本作

『ドラゴンボール超 ブロリー』です。

 

 

さて、本作で敵役として登場するサイヤ人、ブロリー。

原作には登場しない、
劇場版オリジナルキャラでありながら、
ドラゴンワールドの中でも屈指の人気を誇ります。

 

 

ブロリーの初登場は
1993年の映画『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』です。

有名な台詞
「カ・カ・ロ・ッ・ト・ォォォ」や
もうだめだ…おしまいだぁ」も、この映画から生まれました。

この映画のブロリーのインパクトは凄まじく、
ただの超サイヤ人では無い、
伝説の超サイヤ人」として暴れ回り、
「一体、どうやって倒すんだ!?」
と、頭をひねる位、勝ち筋が全く無い相手でした。

 

しかし、
ブロリー人気に味を占めたのか、
その後、
ブロリー映画は
『ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない』(1994)
『ドラゴンボールZ 超戦士撃破!!勝つのはオレだ』(1994)

と続けて映画化され、
ぶっちゃけ、観る方は、
「もう、ブロリーはイイよ…」と思ったものでした。

 

そのブロリーが、14年ぶりに復活!!

期待半分、不安半分で、
ドキがムネムネします!!

 

さて、4度目のブロリー映画ですが、

実は本作、

前3作のブロリー映画とは、
世界観、設定が別物となっております。

 

本作の世界観は、
TVシリーズの「ドラゴンボール超」の世界観から地続きのもの。

そこに、

「ブロリー」というキャラクターを、
新しく設定し直して、組み込んだのが、本作なのです。

 

ですので、
新しいブロリーとの、
新しい出会いが描かれているのです。

 

過去の映画、設定と少し違う、
新しいブロリー像を作り上げた本作。

「ブロリー」というキャラクターの人気ぶり、
その本質のキャラクター性が崩れてしまうのではないのか?

と、観る前は、少し不安でしたが、
実際に観てみると、
その不安など、何処吹く風。

何しろ本作は、

過去、最高レベルでアクションのテンションが高いです。

 

パワー・スピード・タフネスぶり、

どれを取っても、最高レベルのブロリー、

体感、
上映時間の半分以上が、
そのブロリーのアクションに当てられている印象。

 

量も、質も、圧倒的!

元々、
ドラゴンボールの映画は、
ストーリー云々というより、
アクションのみに集中した作品が多かったですが、

本作は、
その系譜を継ぎ、
それでいて群を抜いたアクションを観せてくれます。

 

とにかく、
大暴れのブロリーを観たい!!

そういう欲求に応えたのが本作。

四の五の言ってないで、
気になるならば、
観に行くべし!

決して損は無い映画。

それが、『ドラゴンボール超 ブロリー』です。

 

 

  • 『ドラゴンボール超 ブロリー』のポイント

新しく設定し直された、ブロリー生誕の秘密とキャラクター性

量も質も圧倒的なアクション

昔懐かし、「Z」の頃のドラゴンボール映画テイスト

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

 


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  • バトルシーンの凄さ

本作『ドラゴンボール超 ブロリー』は、
その圧倒的なアクションシーンの迫力に、
先ず目を奪われます。

 

最初はブロリーとベジータの、
ノーマル状態の肉弾戦。

この時点で迫力満点ですが、

そこから、
超サイヤ人、
超サイヤ人ゴッド、
超サイヤ人ゴッド超サイヤ人と、

変身の段階を経る事で、
戦い方にバリエーションと緩急を付けているのもまた、
面白いです。

 

個人的に最も面白かったのが、
悟空とブロリーの最初の一合。

いつの間にか、
視点がブロリーの主観目線でアクションが進んでいた場面に、
「おおっ!!」となりました。

ハイスピードバトルを疑似体験する、
しかも、敵役で!

この視点の移動が面白く、興味深かったですね。

 

  • キャラが少し変わったブロリー

「ドラゴンボール」という作品は、
原作漫画の人気もさる事ながら、
アニメの影響で人気が爆発した作品です。

しかし、当時は、
原作の連載と同時進行でアニメが放映されており、

アニメの「ドラゴンボール」は、
無駄な引き延ばしや、
オリジナル展開が多数含まれ、

そこで、少々間延びした印象を持たれていた事もまた、
事実です。

 

「原作至上主義者」達からすると、
そのアニメオリジナル展開やキャラクターは、
やはりつまらないもの。

原作の展開をパクるばかりの当時の映画版に、
どうしても物足りなさを感じていたのです。

確かに、
『ドラゴンボール』という漫画は、
その絵、アクションのみならず、

実はストーリー展開もまた、
絶妙な面白さがありました。

しかし、
そんな「原作至上主義者」すら黙らせたのが、
ブロリーというキャラクターなのです。

 

見た目のインパクト、
圧倒的な戦闘力、
話の通じない異常さ、しつこさ、
「ポーヒー」と音の鳴る気弾、
叩き付けられた岩盤のへこみ具合、etc…

 

Z戦士達を、
まるでピンボールの如くに岩盤に叩き付け、
ベジータをして
「もうダメだ…おしまいだぁ…」
とまで言わしめた無敵っぷりに、

誰もが驚愕しながらも、魅力を感じていたのです。

 

しかし、
そんなブロリーのキャラクター性を、
本作『ドラゴンボール超 ブロリー』では、今までと変えてきました。

 

旧作では、
ブロリーは赤子の頃に悟空(カカロット)に蹴られた事があり、
その事を何時までも恨みに思っていたという、
意味の分からない異常な執念を見せて、

悟空に会う度に、
「カ・カ・ロ・ッ・ト・ォォォ」と
馬鹿の一つ覚えの如き台詞を繰り返すばかりでした。

ハッキリいって、
社会性の全く無い異常者でしたが、

その異常性こそが、
ブロリーの魅力だと言えます。

 

しかし、
本作からは、
「カカロットを恨んでいる」という設定を消し、

父、パラガスの復讐に使われる、哀れな戦士という印象を前面に押し出しています。

また、
本作でもブロリーは社会性に乏しい性格ですが、
それは産まれてから接してきた人間が、父のみだからという設定になっており、

必ずしも性格に異常性がある訳ではありません。

 

旧作では、サイヤ人そのものとも言える戦闘凶の権化でしたが、

本作では、運命に翻弄され、潜在能力のみで戦う野獣、みたいな印象を受けます。

 

キレてパワーが数段上がるのは、
悟飯の専売特許みたいな感じでしたが、

最近では第一線から退いた感じの悟飯のキャラクター性を、

敵キャラとして生まれ変わらせた存在、

ブロリーにはそんな印象をも受けます。

 

  • 設定の取り込み

さて、性格的にマイルドな感じになったブロリーですが、

しかし、
一旦戦闘が始まれば、昔と同じ位に見境が無くなるのは本作でも同様。

 

旧作では性格の異常性が戦闘力と直結していましたが、

本作では、
「大猿化するパワーを、通常状態で取り入れた」為に、
キレると見境が無くなる
という設定になっているのです。

 

この設定、
実はTVアニメのオリジナルシリーズ「ドラゴンボールGT」での設定を取り入れたもの。

「ドラゴンボールGT」では、
悟空とベジータが、超サイヤ人の第4形態として、
大猿のパワーを取り入れていました。

 

実は本作、
この設定に限らず、
原作漫画以外の、色々な派生作品から設定を大量に取り入れています

 

幼少の頃のベジータとラディッツが、
ベジータの弟・ターブルについて語りますが、
その設定は、
オリジナルアニメの『ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』(2008)から輸入したもの。

 

悟空の父、バーダックの設定ですが、
これは、
銀河パトロール ジャコ』の単行本おまけ漫画にキャラクター性を継承しつつ、

1990年に、
TVアニメオリジナルスピンオフ作品として作られた
ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦』でのラストシーンを再現したものをも含んでいます。

因みに、
バーダックというキャラクターも、
ブロリーと並んで高い人気を獲得したアニメオリジナルキャラクターです。

 

悟空とベジータのフュージョンしたキャラクター、
「ゴジータ」。

これは、劇場版アニメの
ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!!悟空とベジータ』(1995)
から輸入したものです。

また、
悟空とベジータがフュージョンする際、
デブになったりガリになったりする展開は、

原作漫画でのトランクスと悟天のフュージョン失敗エピソードそのままであり、

この展開は、
原作漫画の展開を、そのままキャラクターのみ変えてなぞる事を繰り返していた
劇場版の「ドラゴンボールZ」の展開を、
敢えて、意図して復活させてみせたとも言える演出だと思われます。

 

そして、
敢えて「超サイヤ人ゴッド」の形態での戦闘を描いたのは、
ドラゴンボールZ 神と神』(2013)を、

ゴールデンフリーザを出したのは、
ドラゴンボールZ 復活の「F」』(2015)を意識したと思われます。

そのゴールデンフリーザの戦闘シーンですが、
フュージョン失敗と絡めギャグ的に描きつつも、

ゴールデンフリーザが、その弱点、
戦闘状態を長く続ける事が出来ない、という設定を克服している事も、
さりげなく描写されています。

 

また、メタネタレベルの話ですが、

本作でちょいエロを担当したチライの声優が水樹奈々だったり、

頭にかぶり物をしているキャラクターの声優が杉田智和だったりするのもまた、

キャラデザインを声優に寄せたのかな?とも思ってしまいます。

 

そして、
ネットとかで、
「ブルマ、観る度に若返って、可愛くなってる気がする」
という意見を目にした事がありますが、

何と、
本作ではそのツッコミにも答えを用意していました。

なんと、
ブルマはリアルに若返っていた!ドラゴンボールをちょくちょく使って!

これには笑いました。

そして、
宇宙の暴君であろうとも、
地球の天才科学者であろうとも、

その悩みや発想に羞恥心が絡んでいるというのもまた、
ギャグ的な面白さがありました。

 

ブロリーという派生キャラを描く物語にて、

様々な「ドラゴンボール」派生作品から設定を取り入れる。

そして、
悟空、ブロリー、ベジータと、
サイヤ人の運命とフリーザを絡めつつ、
新たなストーリーを練り上げる。

このモザイク模様をに気付き、
「あ、これはアレから持って来たのね」
と気付いたりするのもまた、
本作の面白さとも言えます。

 

  • ブロリーの声優、島田敏

本作で、
血管が切れそうな張り切りでブロリーの声を演じたのは、
声優の島田敏

 

『機動戦士Zガンダム』のパプテマス・シロッコ、

『ちびまる子ちゃん』のさくら友蔵の三代目、

『バキ』の渋川剛気、

映画の「スター・ウォーズ」シリーズでのルーク・スカイウォーカーなどの声をあてていますが、

私が一番印象に残っているのが、
『北斗の拳』のユダ役です。

 

アニメでも、
ゲームでも、
いつも血管がキレそうな迫真の演技を見せてくれる島田氏、

ブロリーで興味が湧いたら、
是非、ユダでのキレっぷりをもチェックして頂きたいです。

 

 

 

『ドラゴンボール』を語る時に、
しばしば巻き起こる最強論争。

結局、単体最強は悟飯なのでは?

いや、ウィスが一番じゃない?

いやいや、やっぱりベジット最強でしょう!

…そんな声の中に必ず入るのが、
「戦闘力が無限に上昇する」といわれるブロリーの存在。

 

本作は、
旧作のブロリーとはまた別者ですが、

それでも戦闘力は健在。

悟空をして、
「ビルス様より強え」と言わせたブロリー。

遂に最強キャラの誕生なのか!?

しかし、
超えるべき目標をまた見つけた悟空の修行は、まだ続く!!

ドラゴンワールドはまだまだ続く、
そんな印象を与えつつ終わった『ドラゴンボール超 ブロリー』。

気が早いですが、
今から次回作が楽しみでもあります。

 

 

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