”カテゴリー5”のハリケーンがフロリダにやって来る。父デイヴと連絡が取れないという姉の連絡を受け、大学で水泳をやっているヘイリーが見に行くことになった。
かつては、父の師事の元、水泳に励んだヘイリーだったが、今は、何となく疎遠になっている。
そんな父の家に行くと、飼い犬の「シュガー」に出迎えられたが、父の姿は見えず。ハリケーンの中をヘイリーは、かつて、親子で暮らした昔の家を見に行くのだが、そこはアリゲーターの巣窟と化していた、、、
監督はアレクサンドル・アジャ。
フランス出身。
監督作に、
『フリア』(1999)
『ハイテンション』(2003)
『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2006)
『ミラーズ』(2008)
『ピラニア3D』(2010)
『ホーンズ 容疑者と告白の角』(2015)
『ルイの9番目の人生』(2016)がある。
出演は、
ヘイリー:カヤ・スコデラリオ
デイヴ:バリー・ペッパー
シュガー(犬):チョチョ 他
空前の盛り上がりを見せている、
ラグビーワールドカップですが、
それに水を差す様に、
過去最強クラス、
大型の、非常に勢力の強い台風がやって来ます。
(執筆時:2019年10月12日)
屈強な漢達が、
もんどり打って身もだえするラグビーという競技。
そんなラガーメンの饗宴でさえ、
中止せざるを得ないのが、台風の恐ろしさ。
況んや、一般人をや。
自然災害のニュースを聞くにつれ、
年々、その被害の度合いが増して行っている、
そんな気すら感じる、今日この頃です。
そうです。
台風のみでも、恐ろしい。
嗚呼それなのに、
まさか、まさかの、
アリゲーターで倍プッシュだ!!
ハリケーンの暴風雨の中、
ワニワニパニックの始まりだ!!
昔、
家族4人で住んでいた家。
父と母は離婚し、
母は別の男とパリ旅行、
姉は結婚して別生活、
ヘイリー自身は、父を何となく敬遠していた。
それでも、
父の消息を追って、昔の家にやって来たヘイリー。
家の地下室で、
負傷し、気絶している父ゲイヴを発見する。
急いで、地下から出ようとするが、
何と、階段の近くに、アリゲーターが潜んでいた!
危うく、難を逃れたのも束の間、
地下室は、
激しさを増すハリケーンの影響で、
徐々に、浸水していた、、、
ハリケーンというか、
竜巻を扱った映画、『ツイスター』(1996)。
ワニを扱った映画、
『アリゲーター』(1980)
『キラー・クロコダイル』(1989)
『クロコダイル・ダンディー』(1986)…は、コメディですが、
単品でも、
パニック映画として存在する題材を、
まさかのフュージョン!!
『ドラゴンボール』では、
フュージョンすれば、戦闘力が飛躍的に上昇しますが、
本作でもそう、
ハリケーンとアリゲーター、
このツープラトンは、
足し算(+)では無い、
面白さは、倍増(×)するのだ!
水陸両用、
現代を生きる恐竜の末裔と言える、
ワニ。
元々、アリゲーターの生息地と隣接していた地域。
ハリケーンの被害で、
防水堤が決壊、
家が冠水して行くにつれ、
愛する懐かしの我が家が、
徐々に、アリゲーターのテリトリーと化して行く、、、
宇宙には、『エイリアン』(1979)
深海には、『アビス』(1989)
しかし、
ハリケーンがもたらす被害にて、
地上の我が家が、
驚異の侵略者に襲われる、
この恐怖!!
本作は、
清く正しい、パニック映画。
それでいて、リアリティもあります。
ハリケーン(台風)という、
日本人にも、ごく、馴染みのある自然災害。
ワニという、
人間の論理の通用しない、野生の存在。
観客自身、
容易に想像出来る驚異故に、
その恐ろしさに、リアリティがあるのです。
パニック映画の面白さを、
リアリティで支える事の面白さ。
『クロール ー凶暴領域ー』は、
映画として面白い作品ですが、
現実としては、
災害が来ると分かっているなら、
絶対に、避難しましょう!!
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『クロール ー凶暴領域ー』のポイント
自然災害の警報が出たら、絶対に避難するべし
アリゲーターの生態、色々
あきらめたらそこで試合終了ですよ…?
以下、内容に触れた感想となっております
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避難警告が発令されたら、直ぐに、避難を!!
本作『クロール ー凶暴領域ー』は、
ハリケーンの巨大さを表す単位で、最強クラスの、”カテゴリー5”、
という自然災害に見舞われる所から、
ストーリーは始まります。
日本も、
台風の被害に悩まされる国ですが、
アメリカも、
巨大ハリケーンの襲来にて、
度々、甚大な被害に見舞われています。
故に、
スマホやラジオ、警察、警報にて、
「早く、逃げろ」と、
避難勧告が発令されているのですが、
何を思ったのか、
ハリケーンの最中、
ゲイヴは昔の家の修繕をおっぱじめます。
日本でも、
毎回、居ますね。
台風の最中に、
屋根の修繕をしようとして、
落ちて、死亡する事故が。
自然災害が来た時に、
「自分だけは、大丈夫」「まぁ、何とかなるだろう」と思うのは、
危険極まりない心理状況です。
避難勧告が発令されたら、
絶対に、避難すること、これが大事。
家に籠もる事は、
避難ではありません!
ちゃんと、指定の場所に「避難」するべきなのです。
君子危うきに近寄らず。
避難しなかったばっかりに、ヘイリーとデイヴとシュガーは
暴風雨とアリゲーターという、
ダブルパンチに見舞われているのです。
尚、
『クロール ー凶暴領域ー』では、
水は、結構澄んでいる感じですが、
実際、
学生時代、競技水泳でクロールをして、
河川の氾濫も経験した事ある私からすると、
冠水時、
目を開けて泳ぐ事は不可能と言っておきます。
台風時の水は、臭い泥水。
アマゾン川みたいな感じを、イメージすると良いと思います。
そんな所で、
ワニに襲われたら、
そりゃ、一瞬でお陀仏ですよ!!
本作は、
単純にエンタテインメントとして面白いですが、
これを他人事と思わず、
自分の被災時の教訓として、ちゃんと活かしたいものですね。
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恐怖のアリゲーター!!
本作の構成は、シンプル。
それは、メイン登場人物が、
ヘイリー(次女)、ゲイヴ(父)、シュガー(飼い犬)の3体に絞られている事からも分かります。
本作、自然災害に対峙する事が、
それ即ち、
懐かしの我が家=かつて、幸せだった家族関係、
それを侵略する、
ハリケーンの暴風雨と、アリゲーターの脅威、
それに対抗する事で、
かつての家族の絆(=我が家)を守ろうとする、
似た者同士の頑固親娘の奮闘と言えるのです。
外敵の侵略を阻止する事で、
新たに、絆を結び直す、
端的に言えば、そういう話と言えるでしょう。
ぶっちゃけ、
パニック映画にストーリーは夾雑物と言えますが、
本作は、
テーマ(自然災害パニック)とストーリー(親子関係)が噛み合っているので、
すんなり楽しむ事が出来ます。
そういうバランス感覚が優れているので、
決して、派手ではありませんが、
安定した面白さのある作品と思います。
お気づきの方も居るでしょうが、
題名にもある「クロール:crrawl」の意味は、
水泳の泳法の「クロール」と、
地を這うという意味の「クロール」があります。
ヘイリーと、アリゲーター、
両方の意味を持つ、
いわゆる、ダブルミーニングになっており、
その点も、オシャレな感じがしますね。
さて、その上で、
敵役として登場するアリゲーターの描写が、
本作は優れています。
本作のアリゲーターは、
CGと、ロボットを組み合わせています。
もう、このレベルになったら、
鑑賞中、
作り物だとは、気付かない!
リアルワニにしか、思えないリアリティです。
それにしても、
ワニって、考えてみたら、凄い生物ですね。
水陸両用の肉食生物。
現代、唯一生きている恐竜と言えるでしょう。
本作では、
その驚異の存在が、遺憾なく暴れ回っています。
メインキャラはタフネスぶりを発揮しますが、
その他の、
ザコ的なモブキャラ達は、
容赦無く、パックパク喰われていきます。
陸でも、それなりに素早いアリゲーター。
水中では、
陸の倍のスピード(時速32キロ)で迫ります。
そして、獲物を一度咥えたら、
回転して、肉を引きちぎる「デスロール」という必殺技すら持っています。
因みに、
ワニ目の種類は、
クロコダイル科、
アリゲーター科、
ガビアル科、
に分かれます。
漫画の『ドロヘドロ』なんかに出て来る「カイマン」は、
アリゲーター科に属します。
最も獰猛なのは、クロコダイルだそうですが、
アリゲーターでも、充分以上に恐ろしい存在ですね。
そして、
こんな、スピードとパワーで勝る相手に、
殆ど、気合いという根性論で対抗するという無謀。
ぶっちゃけ、
嫌いじゃ無いぜ!
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サバイバル女優!
『エイリアン』(1979)のシガニー・ウィーバー、
『ターミネーター』(1984)のリンダ・ハミルトンなど、
私は個人的に、
絶望的な状況でサバイバルを敢行するタフな女性キャラが好きなのですが、
本作のヘイリーを演じたカヤ・スコデラリオも、
中々どうして、タフな女性ですね。
本作のヘイリーの特長としては、
先ず、水中でも、美形が崩れない所が凄いです。
そして、
負傷したり、気合いを入れたり、攻撃したりするとき、
「ウグゥ~」と、
まるで獣の様に唸るのが、カッコ可愛いですね。
本作は、
長時間、というか、殆ど全てのシーンで、
水に浸かっています。
この状況でも崩れない、
鉄壁の耐水メイクで、映える美形、
そして、
苛酷な状況に挫けぬタフさを持ち合わせる、説得力。
カヤ・スコデラリオは、
過去に「メイズランナー」シリーズ(2014、15、18)にてヒロインを張った経験もあり、
今後も、
サバイバル映画に多数出演してくれるかもしれません。
期待大ですね。
至極真っ当な、
ストレートな面白さに満ちた、
サバイバル・ホラー映画『クロール ー凶暴領域ー』。
ハリケーンとアリゲーターという、
リアリティのある驚異、
そして、
テーマ性とストーリーが噛み合った展開。
上映時間も89分という、
上手くまとまった良作です。
そして本作は、
避難警報が発令したら、
必ず、避難すべし、
そうでないと、
こんな地獄を経験する事になるぞ!
という、警告の作品でもあります。
時節柄、
あまりにもリアリティが過ぎる作品、
それが、『クロール ー凶暴領域ー』なのです。
*現在公開中の新作映画作品をコチラのページで紹介しています。
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