映画『スイング・ステート』感想  選挙風刺劇だが、現実の選挙の方が面白いよなぁ、、、

2016年の民主党の政治コンサルタントとして活躍しながらも、敗れたゲイリー。
敗北しながらも、次の手を模索していた彼は、大統領選挙の激戦区であるウィスコンシン州に住む、ある男の動画を発見する。名前は、ジャック・ヘイスティングス。彼の演説を「使える」と判断したゲイリーは、ジャックを担ぎ上げて町長選挙を始めるのだが、、、

 

 

 

 

 

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監督は、ジョン・スチュワート
アメリカのコメディアン。
他の監督作に、
『Rosewater』(2014)がある。

 

出演は、
ゲイリー・ジマー:スティーヴ・カレル
フェイス・ブルースター:ローズ・バーン
ジャック・ヘイスティングス:クリス・クーパー
ダイアナ・ヘイスティングス:マッケンジー・デイヴィス 他

 

 

 

 

皆さん、
昨日(2021年10月31日)の衆院議員の選挙には行きましたか?

選挙というか、
投票という行為についてよく言われるのが、

「自分の投じた一票で、結果の行方が左右される事はない」
だから、別に、行かない、というものがあります。

しかし、
確かに、結果は変わらないかもしれない、
また、
「投票」自体が、「政治に参加している気になる」という代替行為でか無いのかもしれません。

それでも、
自らが、誰に「投票」するのかという責任を、
自らが持つ事で、

現在、
政治がどの方向に向かっているのか?
何が争点で、
各自の候補者が、何を公約とし、それは実現可能なのか?

そういった事を考える行為自体が、
実は、一番重要だったりするんじゃないか、

私はそう思います。

 

 

と、
いう事で、
本作『スイング・ステート』です。

本作の題名になっている「スイング・ステート」とは、

Wikipedia の記述を参照いたしますと、

アメリカ合衆国大統領選挙の勝者総取り方式において、
共和党、民主党の支持率が拮抗し、
選挙の度に勝利政党が変動する州の事を指すそうです。

州の選挙に勝てば、
その州のポイントが「総取り」出来るので、

大統領選においては、
この「スイング・ステート」の動向が、
勝敗を左右するという訳です。

 

で、本作においては、
先の大統領選挙、ヒラリー陣営の選挙コンサルタントに就きつつも、
敗北したゲイリーが、

「スイング・ステート」の浮動票を固めるべく、
草の根運動を開始します。

その先鋒として、
退役軍人のジャックに白羽の矢を立て、

先ず、町長選挙を勝利させて、

次の選挙において、
民主党の有利に物事を進めていこう、
とする話です。

 

…なんですが、
それを聞きつけた共和党の選挙コンサルタントで、
先の大統領選でトランプを勝利に導いた、
ゲイリーの宿敵(?)フェイスが、

対立候補である現職町長を支援する事になって、、、

 

という展開です。

 

因みに、
実在の人物、
ヒラリーとかトランプとかいう言葉が出て来るので、

本作はいわゆる
「実話に基づく物語」なのかな、
と、思いきや、

完全フィクションなので、
その点は留意しておいて下さい。

 

そんな本作は、

政治、選挙のパロディでありつつも、
アメリカの選挙システムや民主主義について考えさせられる

 

作品と言えます。

 

町の為を思い、
ゲイリーの作戦であると理解しつつも、
町長選に立候補するジャック・ヘイスティング。

しかし、
ゲイリーとフェイスの、
まるで「トムとジェリー」の様な、仲の良い喧嘩がエスカレートするにつれて、

何処か、
候補者の理想や意思がそっちのけにされ、
選挙自体が目的に代わっている様子。

 

また、

人当たりは良いが、田舎っぽく、
銃規制反対、妊娠中絶反対と、
時代遅れな感じとして描かれる共和党員、

高い理想を掲げるが、
お高くとまっているだけで、
実際の現状とは無関係の所でご高説を垂れるだけのインテリとして描かれる民主党員、

政治資金規正法がありながらも、
その実、
「表向きは無関係」という態で使う、
無制限に政治活動資金を集める団体「スーパーPAC(特別政治行動委員会)」という存在、

etc…

 

コミカルでありながら、

選挙について、
色々と考えさせられたり、

こんな事があるのかと、
教えてくれる作品と言えます。

 

まとめますと、

アメリカの選挙という、ちょっと難しそうな題材でありながら、
コミカルに、滑稽に、テンポ良く描く事で、

理解しやすく、
そして、面白く、
楽しく学べ、考えさせられる、

ストーリーも良く出来た作品と言えます。

 

 

…ですが、
本作には決定的な問題があって、

それは、

ぶっちゃけ、
現実の選挙戦の方が、断然面白いよね

 

って事です。

 

先に行われた、
自民党総裁選、

そして、今回の衆議院小選挙区選出議員選挙。

この流れに纏わる、

前後の人物関係の因縁や、
野党の動向、
メディアの報道 etc…

 

真実は、小説より奇なりと言いますが、

意図したシナリオでは演出出来ない、
謎の興味深い展開が多々あり、

これがまぁ、正直、
オリンピックよりも遥かにエキサイティングでしたよね。

 

つまり本作は、

こういうエンタメから入って、

実際の政治や、選挙にも興味を持つ事、

それが、
本作『スイング・ステート』の最重要な役割だと思われます。

 

 

 

  • 『スイング・ステート』のポイント

コミカルに、テンポ良く学べる「アメリカの選挙のあれこれ」

選挙とは、あくまでも手段であるべき

現実の選挙や、政治にも興味を持つ切っ掛けとなる作品

 

 

 

 

 

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