映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』感想             ゲームファンを唸らせる最高峰の映画化作品が、ここに爆誕!!                

ブルックリンにて配管工として独立したマリオとルイージの兄弟。
配管が破裂して、町が水浸しとなったある日、二人は土管に吸い込まれる。
道中、ルイージとはぐれたマリオは見知らぬ土地に放り出される。そこはキノコの王国で、今まさに、大魔王クッパの侵攻を受けんとしていた、、、

 

 

 

 

 

 

監督はアーロン・ホーバスマイケル・ジェレニック
アーロン・ホーバスは、『ティーン・タイタンズゴー!トゥ・ザ・ムービーズ』(2018)に続いて2作目。
マイケル・ジェレニックは、本作が長篇映画監督デビュー作。
共にアニメ制作会社の「イルミネーション」所属という訳では無く、
過去に、アニメ関連の仕事を多数請け負っている様子。

 

 

声の出演(日本語声優)は、
マリオ:クリス・プラット宮野真守
ピーチ姫:アニャ・テイラー=ジョイ(志田有彩)
ルイージ:チャーリー・デイ(畠中祐)
クッパ:ジャック・ブラック(三宅健太)
キノピオ:キーガン=マイケル・キー(関智一)
ドンキーコング:セス・ローゲン(武田幸史) 他

 

 

 

皆さん、知っていましたか?
実は、マリオ映画って、
本作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が三作目なんです。

一作目は、
日本のアニメーション映画『スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦!』(1986)で、
二作目が、
ハリウッドで実写化された『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』(1993)です。

 

ゲーム『ドンキーコング』(1981)のプレイアブルキャラとしてデビューし、
そして、
家庭用ゲームハード機に革命を起こした「ファミリーコンピューター」にて人気を博した
『スーパーマリオブラザーズ』(1985)を原点とする「マリオ」シリーズのゲームは、
今なお、世界中で遊ばれており、

実際、
ゲームをした事ある人間ならば、
何らかの「マリオゲーム」を体験しているのではないでしょうか。

 

 

ゲームとしては現役で遊ばれていても、
映像化とは、
長らく、距離を取っていた印象のあるマリオシリーズ。

3DCG映画が全盛を誇る昨今において、

満を持してでありつつも、 今更感を伴い、

今回、劇場公開された本作。

 

日本に先駆けて先行公開されたアメリカにおいては、

何とオープニング記録は
アナと雪の女王2』(2019)を抜き去り、
アニメーション映画の世界興行収入のナンバーワン。

ゲーム原作映画としてもナンバーワンであり、
今年公開映画作品としても
『アントマン&ワスプ/クワントマニア』(2023)を超えて、
大ヒットを記録しています。

 

実質の製作は「イルミネーション」のパリ支部。
任天堂もチームを作って、
アイディア、意見を提供したという本作、

一体、映画としてはどうだったのかと言いますと、

メチャメチャ面白かった!
感動した!!

 

映画って、
批評家受けは悪くても、
一般受けが良い映画があります。

本作は正に、その典型。

批評家は、
「ゲームそのものを単に映画化しただけ」と
くさしますが、

いやいや、
ゲームファンはですね、

ゲームを原作として映像化する場合は、
ゲームのイメージを大事にして欲しいというのが、共通の願いなのです。

 

そういう意味で本作は、
原作の「マリオシリーズ」のイメージを忠実に再現し、

且つ、

映像化するならばファンが期待するであろう事、
その無意識下の願望を、
巧みに汲み取った職人芸の作品と言えるのです。

 

これは、ね、
本当に、涙が出るほど嬉しいです。

映像化において、
ファンの方を見て作ってくれている。

その事実、配慮が堪らないのです。

 

故に本作は、

原作付き作品の映像化において、
最高峰の出来映え

 

と言えるのです。

 

ゲームの映画化と言えば、
近年、ドラクエが原作の
ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(2019)があり、

そのトラウマで、
「どうせ、つまらないだろ!?」
「原作を改変してるんじゃないの?」
みたいに想っている人は、安心して下さい。

「~ユア・ストーリー」の10倍面白く、完成度も高いのですから!!

 

確かに本作、
内容としては、

よく有るヒーローの冒険モノのストーリーです。

アニメ映画として、
子供向けであるという側面もあるでしょう。

しかし、
その奇を衒わない、王道展開が何とも良いじゃない。

まるで、
馴染みの店で「焼き魚定食」を食べるかの様な安心感。

上映時間も93分で、
丁度良い長さ。

ファンならば、
「あ~、ゲームで見たことある!!」と、
興奮する事多数でありながらも、

ゲームを全く知らない人でも、
一本の冒険モノのアニメ映画として、
ストレートに楽しめる作品に仕上がっています。

 

どうせ、
子供向けのアニメ映画でしょ?

と、
ぶっちゃけ、期待していませんでした。

しかし、むしろ、

そういう人にこそ、
本作を観て欲しい

映画としては、

何も考えずに観られる、
冒険アニメ映画の面白さ、

そして、
ゲーム原作作品として、

かつて、子供の頃、
マリオをプレイして遊んだ
懐かしさと楽しさ、
そのノスタルジックな思い出が蘇ります。

 

いや、
凄ぇ、
凄ぇよ、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』!!

今、子供の人も、
かつて、子供だった大人も、
皆が楽しめる作品と言えるのではないでしょうか。

 

 

 

  • 『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のポイント

王道展開の冒険ストーリー

ファンが期待するものをちゃんと意識した作り

ゲーム要素をちりばめつつ、初見も楽しめる

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

 

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  • 王道のストーリー

本作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、
世界一有名と言っても過言ではないゲーム、
「スーパーマリオ」シリーズを原作とした映画化作品。

製作会社はアメリカの「イルミネーション」ですが、
製作したスタジオはパリにあり、
そこに、
任天堂の選抜スタッフがアイディアや意見を提供し、
作り上げました。

結果、
ゲーム原作映画としては、
過去、最高の出来映え且つ、興行収入を記録。

そのストーリーも、
原作を阻害せず、
むしろ敷衍し、新しい世界を拓いています

 

映画のマリオはブルックリンの配管工。
最近、会社から独立したのですが、

ルイージと母親以外の家族からは馬鹿にされ、
「(安定した)会社を辞めて、弟まで巻き込むなんて、なんて事だ」と
父親からは苦言を呈されます。

落ち込むマリオですが、
ブルックリンの町が水浸しとなり、
そに対処する為に現場へ急行。

地下へ潜りますが、
そこにあった土管に吸い込まれ、
別世界へと転送されます。

 

そこが、
我々がよく知る、
マリオゲームの世界。

弟のルイージはクッパの本拠地に、
マリオ自身は、
キノコ王国に辿り着きます。

囚われのルイージを助ける為、
そして、
キノコ王国に侵攻するクッパ軍に対抗するため、

マリオの冒険が始まります。

 

さて、
このストーリー展開ですが、
二重の意味で、王道展開なんですよね。

先ず、
囚われの姫を助ける」という展開。

初代の『スーパーマリオブラザーズ』では、
クッパにさらわれたピーチ姫を救出するゲームでしたが、

本作のピーチ姫は、
お転婆とは言わないまでも、
メリケンアニメの女の子キャラよろしく、

半目に口角を吊り上げた笑みをしつつ、
腕組みをして斜めに立っている、

みたいなイメージを、
やや、踏襲しています。

 

今の時代、
姫様だからと言って、
助けられるのを待っているだけでは無いのです。

寧ろ、リーダーとして、
ピーチ姫はキノコ王国を引っ張っており、

その代わりに、

ちょっと、気弱で怖がりなキャラクターであるルイージが、
今回、
「囚われの姫」の役回りになります。

 

もう一つは、
侵攻する敵に対抗する」というストーリー。

これは守りで受け身だと感じますが、
『ホーム・アローン』(1990)などを観ても分かる様に、
意外と、
防御側もアクティブに動く必要があり、
そこにアイディアが生まれ、面白味があるのです。

本作では、
ピーチ姫がマリオを勧誘し、
修行させ、

ジャングル王国のコング族と同盟を結ぶ為に旅へ出ます。

 

目的がハッキリしていて、
ストーリーが解り易いです。

マリオはルイージを、
ピーチ姫はキノコ王国を救う為、
二人はそれぞれの目的の為に、同道する事になります。

 

そして、
そのメインの二つの王道ストーリーの展開に絡め、

「ゲームで見た事ある画」を
要所要所で採用しているのが、本作の面白い所です。

 

ピーチ姫の採用試験のコースにて、

マリオが何回も「トライアンドエラー」を繰り返している様子は、

正に、
「スーパーマリオブラザーズ」シリーズにて、
ゲームをやっているプレイヤーが、
何度もコースを失敗しながら、攻略法を覚える
「死にゲー」要素を再現しているのが面白いですね。

また、
ドンキー・コングとの決闘のシーンでは、
ゲームのドンキー・コングを彷彿とさせ、

また
「レインボーロード」にて、
クッパ軍と激突するシーンは、
まんま「マリオカート」なのですが、

これがまるで、
「マッドマックス」みたいなノリになるというテンションの高さ。

オープニング場面、及び、
クライマックス直前で、
横スクロールアクションの描写を挿入したり、

兎に角、
パッと観て、ゲームを彷彿とさせる場面が多いのは、
ファンには嬉しい所です。

 

しかも、
どのアクションシーンも冗長では無く、
観客に「もうちょっと観たかったな」と思わせる程度の、
丁度良い塩梅のテンポを保っています。

本作は、
その辺りのバランス感覚も優れています。

 

観れば観る程、
素晴らしい完成度の作品と言えるでしょう。

 

  • 原作あり作品を、何の為に、誰の為に作るのか

本作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の製作は
アメリカの「イルミネーション」。

本社はアメリカですが、
制作スタジオはフランスという変わり種。

2007年に、
『アイス・エイジ』(2002)などの作品で制作総指揮をつとめた
クリス・メレダンドリによって設立されました。

 

今までの代表作は、

『怪盗グルーの月泥棒』(2010)
『ミニオンズ』(2015)
『ペット』(2016)
『SING/シング』(2016)等の作品、シリーズがあります。

 

個人的に言わせてもらうと、
ぶっちゃけ、子供向けのイメージだったし、
「イルミネーション」の作品に乗り遅れた事もあって、

今まで、
特別に意識してはいませんでした。

しかし、
今回の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観てその評価が手のひら返し、

出す作品はヒット、シリーズ化するものばかりという「イルミネーション」の作品は、

「子供向け」と言えども、
それに特化するという事は、即ち、

ターゲットへのアプローチを的確に捉える力があったればこそ、
だったのですね。

 

故に本作、
マリオファンが望むものを、

何の衒いも無く、遠慮も無く、
そのまま抽出する事に成功しているのではないでしょうか。

 

これは素晴らしい事です。

 

もし、本作が、
日本のアニメ制作会社だったり、
ディズニー/ピクサーが手掛けていたりしたら、
どうなっていた事でしょうか?

日本の製作会社だと、

映画のクライマックスで
「ファミコンをプレイする実写」を急にぶち込んで来て、

ゲームをプレイする息子(50代ニート)の部屋に、
母親(70代)が乗り込んで来て、

ファミコン本体に掃除機をぶっつけて画面をバグらせて
ゲームが止まって映画も終了!!みたいなメタ展開になるでしょうし、

 

ディズニー/ピクサーが作ったなら、

ピーチ姫は黒人
ルイージはゲイ
ドンキー・コングは中国人にして、
キノピオは、マリオカートの事故の影響で下半身不随の車椅子生活となり、
クッパには、親にDVをされた為に乱暴者になったという過去をぶち込み、

ポリコレ満載
原作の設定完全無視程度の事ならば、平気の平三でやるでしょうね。

 

映画に限らず、
文化的創作物は、

畢竟、自己主張であると言えますが、

しかし、

外に出す作品にて、
過度なオナニープレイを披露したり、

自身の政治的な批判を避ける為だけの設定を盛り込んだりする事は、

特に、
原作有の作品を改編した場合、
作品の質を堕とす事になります。

 

誰の為に作るのか、

本作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観て、

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(2019)の製作に関わった人は、
何を思うのだろう、
私は、それが気になります。

 

原作ファンが居るのなら、
その「最大公約数」のファンに向けた作品にすべきなのです。

今回、マリオシリーズは、
その「最大公約数のファン」が世界中に無数に居て、
その母数が多いが故に、大ヒットしたと思います。

 

 

原作ファンの為に、
真摯に、
ゲームの面白さを映像化する事へ取り組み、

故に、
マリオシリーズファンのみならず、

何も知らない、
初見もの心を掴んだ『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。

 

原作有映画化作品の最高峰として、
今後、語り継がれる一本になるのではないでしょうか。

 

 

 

 

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