映画『牛首村』感想  実在のホラースポットで降臨する、オリジナル都市伝説!!

東京の女子高生、雨宮奏音(かのん)は、ボーイフレンドの蓮から動画を観せてもらった。そこには、心霊スポットで行方不明となった女子高生が映っていたのだが、その女性は奏音にソックリだったのだ。
どうしても気になる奏音は、蓮を伴い、動画の心霊スポット・北陸の「坪野鉱泉」へと向かうのだが、、、

 

 

 

 

 

監督は清水崇
監督作に、
『富江 re-birth』(2001)
『呪怨』(2003)
『THE JUON/呪怨』(2004)
『魔女の宅急便』(2014)
犬鳴村』(2020)
『樹海村』(2021)
『ホムンクルス』(2021)等がある。

 

出演は、
奏音/詩音:kōki,
香月蓮:萩原利久
倉木将太:高橋文哉
奇子:芋生悠
アキナ:大谷凜香
ミツキ:莉子
山崎壮志:松尾論
三澄風歌:堀内敬子
雨宮直樹:田中直樹
三澄妙子:竜のり子
三澄実:磨赤兒 他

 

 

 

両親が木村拓哉と工藤静香という、
生粋のサラブレッドである、kōki,。

彼女の役者デビュー作且つ、初主演映画、
それが本作『牛首村』です。

 

クリッとしたお目々に、驚きの表情を観ると、
「あ、結構ホラー、アリだな」と思います。

また、
意外かもしれませんが、
将来のスター候補が、
そのキャリアの最初期に、
ホラー映画に出演していたというのは、
海外の映画ではよく有る事です。

その意味でも、
今回、kōki,がホラー映画に出演したのは、
寧ろ、必然だったのかもしれませんね。

 

それはさておき、
本作『牛首村』です。

『犬鳴村』(2020)の思わぬヒットにて、
「~村」シリーズとして、
『樹海村』(2021)に引き続き、
連続して制作された、その第三弾が、本作です。

 

実在するホラースポットにて、
都市伝説的なホラーストーリーが展開という構成は、
過去作と共通。

しかし、
ストーリー的な繋がりは無いので、
そこは、初見の方でも問題無く楽しめる所です。

 

 

で、忌憚ない意見を言わせて頂きますと、

う~ん、
前二作と比べると、
ちょっと完成度が劣るかな、

 

と思ったのが、正直な所。

 

 

上映時間が115分と長く、
本作の内容なら、90分くらいでまとめた方が良かったという印象。

また、
不謹慎な言い方ですが、
死ぬ人間が、過去作と比べると、少ないというか、
物足りないです。

その分、
死に方が派手になっていますが、
「量」も欲しかったな、と思いました。

 

これは、
『犬鳴村』がヒットした事で、
「~村」というカテゴリーに押し込まれたことが足枷となっていると感じました。

地方のムラ社会における、陰惨な因習

 

というのがテーマのシリーズですが、
その設定に拘るあまり、
構成やストーリー展開がチグハグになってしまったのかな、と思います。

 

しかし、

すぐに、コメディやパロディに走りがちな、
邦画エンタメ映画界隈において、

真面目にぶつかってきた
ホラーエンタメ作品として、
面白さは確かなものがあります。

 

 

これまた、意外と思われるかもしれませんが、

真面目に作った「エンタメ作品」というのは、
邦画においては、結構貴重なのです。

 

やっぱり、
映画を観ている間くらい、
現実を忘れたいじゃないですか。

パロディやコメディに走ると、
冷めちゃうっていうか、
現実に引き戻されるンですよね。

 

そういった観点からすると、

キムタクなんて、
真面目なエンタメ作品に多く出演しており、

娘のkōki,がその路線でデビューしたのは、
これまた必然なのかもしれませんね。

 

ともあれ、
上映時間中は、
真っ当なホラーを楽しめる、

『牛首村』は、そんな作品なのです。

 

 

 

  • 『牛首村』のポイント

ムラ社会における陰惨な因習シリーズ

死に方の派手さがウリかな

オリジナル都市伝説を楽しめ!?

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

 

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  • 死に方の派手さ!?

「~村」のシリーズ、
『犬鳴村』
『樹海村』に続く第三弾が、
本作『牛首村』です。

 

流石に、同じ様な設定で三回目ともなると、
過去作と比べた場合、
ちょっと、完成度が劣ります。

 

とは言え、
過去作と比べて、
笑っちゃうとうか、
より派手になったのが、
死に方です。

 

先ず、冒頭の、
詩音の死に方(?)です。

落下するエレベーターに巻き込まれる詩音。

重力の影響なのか、
エレベーターの天井に張り付いて、
その後、階下まで落下して行きます。

そのビジュアル的なインパクトは、かなりのもの。

 

それに味を占めたのか、

松尾論演じる山崎の死に方も凄いです。

これまた、落下するエレベーターに下半身が挟まれて、
「ぐぉおお」と唸りながら、
堪えきれず、半身が切断されて絶命という有様。

階下のテラスは、
まるで、キン肉バスターの後のリングの様な惨状です。

 

落下技の必殺に拘ったのは、

恐らく、
人捨ての穴に「投げ込まれる」という因習の設定から、

それに呼応した感じで、
落下を派手に見せているのだと思います。

しかし、
それなら、
蓮の死に方が、
夜行バス乗車時の変死という地味なものだったのが気になるというか、
一貫していないと思いました。

 

夜行バスと言えば、
坪野鉱泉への行きの場面にて、

前前作、前作と引き続き登場した、
優子(奥菜恵)と遼太郎が出演しています。

もしかして、
本作とはまた、別の因縁の心霊スポットだったのかもしれませんね。

 

  • 牛の首

本作『牛首村』で、
私がチグハグだと感じたのは、

実在の心霊スポットである「坪野鉱泉」を舞台にしておりますが、

そこで語られるメインエピソードのオリジナル都市伝説が、
舞台と全く関わりの無いものだった事です。

それ、
「坪野鉱泉」でなくてよくねぇ?と思ってしまいました。

 

また、
双子の片割れを「子捨ての穴」に投げ込むという陰惨ぶりや、
クライマックスにて何故か時空を超越するという超展開、
おそらく、リアル双子を使ったと思われる、多数の双子が現われる場面など、

色々面白いシーンはあるのですが、

そもそも、
無関係の奏音や蓮や山崎を襲うのは、
お門違いというか、因果関係が無いのではと思ってしまいます。

襲うならさぁ、
双子の片割れとか、
村の人とじゃないかなぁと。

 

最も、
理不尽で無意味な死というのが、ホラー映画の醍醐味(?)の一つであり、

作品中でも示唆された、
聴いた人が皆、呪い殺されるという「牛の首」という怪談
(聴いた人が死ぬのに、何故、その怪談が存在するのか?という矛盾)
を語るエピソードから察するに、

ホラー映画における死や呪いに、
意味や因縁なんて無いんだよ、

という事の伏線だったのかもしれません。

 

また、
「牛の首」というオリジナルな都市伝説を作っておりますが、

「牛」関係の怪談と言えば、

ギリシャ神話のミノタウロスとか、
筒井康隆の小説などで有名な、関西地方の「件(くだん)」が有名です。

「怪談」というカテゴリーでは、
「件」と親和性があると思いきや、

「捨てる相手の顔を隠す」という意味合いでは、
ミノス迷宮のミノタウロスとの共通点が見られますね。

最も、
ギリシャ神話においては、
ミノタウロスに生贄を捧げていましたが、
本作では「牛の首」の方が、生贄なのですがね。

 

 

この様に本作は、

設定やエピソード、
オリジナル都市伝説や死に方など、

面白い部分が多いですが、

舞台との親和性が無かったり、
上映時間が長くてダレたり、

ちょっと、チグハグに感じる部分も多々ありました。

 

とは言え、
ホラー映画としての面白さはシリーズを通して健在。

そんな作品、

『牛首村』でした。

 

 

 

 

 

 

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