2017年公開映画ベストテンをカウントダウン形式で紹介したい。
基準としては、本ブログで紹介した2017年公開作品を対象としている。
年末年始や公開地方の関係で、前後の年とまたがっている作品もあるが、その点は私個人の裁量で大まかに判断している。
また、沢山ある作品の中から、個人的好みで選んだものと予め御了承願いたい。
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公開日は日本での日付となっております。
ある程度のあらすじと解説も書かれておりますので、その点ご留意下さい。
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第10位
劇場版ポケットモンスター キミにきめた!
マサラタウンのサトシは10歳の誕生日にポケモンを貰える事になっていた。
しかし、寝過ごしたサトシには余り物のポケモンしか残っていなかった。
オーキド博士が言う「ちょっと個性的なポケモン」。
そいつの名前は、ピカチュウ。
サトシとピカチュウの旅が始まる、、、
アニメ・ポケットモンスターの劇場公開作品の20作目である本作は、アニメの第1話を下敷きとした導入部から始まり初代の名場面を盛り込みつつ、長年ポケモンに連れ添ったファンのみならず久しぶりに映画を観に来たかつてのファンにすら波及する感動のストーリーとなっている。
歴史のある作品がファン向けに作った作品であるので、ポケモンを知らない人が観ても「ほ~ん」程度の反応しか得られないだろう。
しかし、シリーズのファンならば、あまりの懐かしさに涙ウルウル、
さらに、ストーリーは衝撃の展開を迎え、ラストは爽やかな感動へと向かう。
万人向けとは言い難いが、昔ポケモンが好きだった大人こそ一番楽しめるのは間違い無い作品である。
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第9位
エイリアン:コヴェナント
宇宙船コヴェナント号は、宇宙を行く植民船。冷凍睡眠中の2000人の入植者と1000体以上の胎芽を15人の乗組員が守り、目的地を目指していた。
しかし、突発的な事故で船にトラブルが発生。
その復旧作業中、何故か近くの惑星から地球産としか思えない「歌」の信号を受信する。
目的地より遙かに近く、植民可能と判断されたその惑星を乗組員達は調査する事にする、、、
本作は「エイリアン」シリーズの一作。
内容を楽しむには「エイリアン」と前作「プロメテウス」を観ている必要がある。
一作目の「エイリアン」はソリッド・シチュエーションによるSFサバイバル・ホラー。
2作目以降はその基本コンセプトを踏襲しつつ、各監督が独自のカラーを出した個性的なシリーズとなっている。
本作でも、アクション部分のドタバタ劇でその部分を継承している。
パニックに陥った人間の愚かな行動が見物だ。
一方、テーマ部分で描かれるのは現代というか、未来における神話。
ヒトに作られたモノが神に成らんとする物語である。
説教臭い部分があるものの、「新しいSFホラー」を目指した魅力的な作品となっているのである。
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第8位
バリー・シール アメリカをはめた男
大手航空会社でパイロットとして働いていたバリー・シール。
決まり切った日常に飽き飽きしていた彼は、CIAのリクルートを受けスパイ航空機のパイロットとして働く道を選ぶ。
そのCIAの仕事のかたわら、バリー・シールは南米の麻薬カルテルと出会い、麻薬の運び屋としても活躍し大金を得て行くのだが、、、
ふとした切っ掛けで成り上がった人物が人生の絶頂を経て転落し破滅して行く物語。
この、いわゆる実話ベースの「栄枯盛衰譚」は古今東西面白い。
本作のバリー・シールは、ギラギラした野心を持っていた訳では無い。
しかし、流れて行く状況の中、機を見て敏に反応し、自分の欲望に忠実に生きて行く。
その過程で金とある種の特権を手にしてゆくのだが、それを回りのインテリやヤクザが見逃すハズも無く、、、
このちょっとスカしたキャラクターを、トム・クルーズが熱演。
イケメン系の役が多いトムだが、個人的にはこういう一癖あるキャラが似合うと思っている。
飛行機の操縦士シーンは、スタントも含め全てトム・クルーズ本人に拠るものだと言う。
そういう点も注目して観ると面白い。
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第7位
セールスマン
教師のエマッドと妻のラナの自宅のビルが近隣の宅地開発の影響で倒壊寸前。
知り合いに紹介して貰った引っ越し先に移るが、そこには未だ前入居者の荷物が置いたままであった。
その荷物を部屋の外に出し、生活を始めた二人だが、ある夜、侵入してきた男によって妻が暴行を受ける。
しかし、事件のトラウマに悩むラナは警察に行く事を拒否、やり場の無い怒りに駆られるエマッドは独自に捜査を開始する、、、
2016年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞したが、トランプ政権下のアメリカ政治に「否」を突き付ける為に、監督は受賞式をボイコットしたという。
この映画には正解が無い。
「じゃあ、どうすれば良いんだよ!?」と観ながら終始考えてしまう。
勧善懲悪やカタルシスとはおよそ無縁の物語である。
「悪人」に対し、復讐してはいけないのか?
制裁する事は「悪」なのか?
結局事実は何なのか?
何故、自分が悪い様な雰囲気になっているのか?
明確な答えの無い、この世界そのものの様な映画である。
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第6位
新感染 ファイナル・エクスプレス
仕事人間のソグは娘の誕生日にせがまれ、別居中の妻に会いに行く為に列車に乗る。
車内TVによれば各地で暴動が発生、乗客は不安を覚える。
その発車直前、駆け込み乗車した女性の様子がどうもおかしい。
その女性は痙攣し、死亡したかに見えた直後凶暴化、乗務員に齧り付く。
そして齧り付かれた乗務員も凶暴化し、感染は瞬く間に拡大、列車内はパニックに陥る、、、
韓国産ゾンビパニック映画。
舞台は韓国、走る列車内。
アメリカ映画の様に銃などぶっ放せるハズも無く。
では、ゾンビ相手にどう戦うのか?
素手でしょ!?
この思い切りが良い。
さらに「走る列車」という「半ソリッド・シチュエーション」とも言うべき状況が良い味を出している。
そこで描かれるはゾンビの恐怖+人間のエゴ。
そして、主人公が善人とは言えない。
これも良いのだ。
ソグはあくまでもセルフィッシュ。
しかし「娘を守りたい」という一念で、何故かいい人風に見えてくるのがマジカルな作品である。
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第5位
BLAME!
無秩序に、果てなく拡がり続ける階層都市。
その片隅で命脈を繋ぐ人間の村があった。
近隣での食料の狩り場が枯渇、電基漁師の「づる」達は遠征をするが、その途上で都市の保安機構であるセーフガードに発見され襲撃を受ける。
その彼等を救ったのは、超強力な銃を持つ流浪の男。
霧亥と名乗ったその男はこう言った、
「俺はネット端末遺伝子を探している」、、、
アニメ『シドニアの騎士』の成功を受け、そのアニメの漫画原作者の弐瓶勉の別作品『BLAME!』を映画化する事になった。
20年前に連載が開始されたマイナー漫画をまさかの映画化。
しかし、SFファンには当時から人気があった本作、私も好きな作品なので、期待半分、不安半分で観に行った。
面白かった、良かった。
『BLAME!』という硬質な世界観と、ポリゴンCGアニメの無機質な感じがマッチしており、正にベストのビジュアル。
ファンとしては好きな作品の世界観を崩さず映像化されているだけでも歓喜モノである。
さらに、ストーリーは原作を意識しつつもオリジナル。
このバランスが素晴らしい。
原作通りでは物足りない。
しかし、原作から離れすぎたらそれはそれで嫌だ。
というファンのワガママなリクエストに的確に応えた脚本となっている。
それもその筈。
脚本は原作者の弐瓶勉であるのだ。
旅の途中でフラリと寄った村で事件を解決し、また去って行く。
この『用心棒』感が最高にカッコイイ映画である。
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第4位
光をくれた人
戦争を経て母国に帰ったトムは、灯台守として妻のイサベルと孤島に住んでいる。
初めは幸せに包まれていた二人の生活にも、度重なる流産により陰が忍び寄っていた。
そんなある日、浜辺に流れ着いたボートに死んだ男と赤ん坊を発見する。
トムは事実を報告しようとするが、イサベルに「私達の子供として育てましょう」と懇願され、、、
本作は元々3月末日に公開予定の作品であったが、アカデミー賞を受賞した『ムーンライト』に押され、公開時機も劇場も変更になったというアオリを喰らった作品である。
さて、本作のストーリーは、冷静に考えたらそんなバカなと言ってしまうものである。
しかし、そんなバカなが起こるのが人生。
人が人を想うという純粋な気持ちがすれ違い、破局が訪れるという世知辛い作品である。
倫理の為に、己の幸せを投げ出す。
しかし、それが愛する人の幸せだったらどうする?
泣かせよう、泣かせようとしているのが分かっていながら泣いてしまう。
この涙が、ある意味気持ち良い快感をも与えるのが本作である。
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第3位
ネオン・デーモン
ファッションモデルを目指し、田舎からロサンゼルスに出て来たジェシー。
彼女はその美貌と無垢な魅力でたちまち頭角を現す。
しかし、強く輝く彼女は羨望と嫉妬を集める事になる、、、
ざっくり書いたストーリー紹介で、作品の内容のほぼ8割は説明されている。
しかし、ラスト10分の衝撃のオチと、
それを想起させるべく作中にちりばめられていた伏線というか「運命」に気付いた時、一気に面白さが爆発する作品である。
強く輝く光が集めるのは、栄光や羨望だけでは無い。
嫉妬や、不運という不気味なモノも、まるで誘蛾灯の様に呼び寄せてしまう。
その場合に問われるのは「危機回避能力」。
明らかな兆候があった場合、それに適切に対処し破局を未然に防ぐべきなのは企業でも個人の人生でも同じなのだ。
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第2位
ジョン・ウィック:チャプター2
引退していたスゴ腕の暗殺者ジョン・ウィックは落とし前を付けた。
しかし、その行為が現役復帰と見做され、昔馴染みのマフィアから強制的に依頼が入る。
嫌々ながらターゲットを始末するジョン・ウィック。
しかし、その事でターゲットのボディーガードから命を狙われる。
さらには用済みとばかりにマフィアからも抹殺命令が出ていた、、、
全篇此れアクションのフルスロットルムービー。
危機又危機の連続をその圧倒的なスキルで乗り越えてゆくが、
しかし、その結果状況は前より悪くなり絶体絶命具合が加速して行く。
最早アクションスキルは役に立たず、サバイバル本能のみで事態に対処するしかなくなる。
このアクションムービーの新しい地平線を拓いた展開は必見の面白さである。
平安な日常を送っていても、キレてちゃぶ台をひっくり返してしまったら、それがたったの一度でも取り返しの付かない事になりどんどん転落してゆく。
人生にも起こり得る事。
努々忘るる事なかれ、である。
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第1位
故郷アスガルドの滅亡を見たソーは、予言によりそれを実行するとされているスルトを討伐する。
アスガルドに帰還したソーは、父オーディンに会うがそれはロキが化けた偽物。
本物のオーディンに会いに行くが、彼は余命幾ばくも無く、遺言と共に消え去るが、その瞬間、封印されていたヘラが復活する、、、
マーベル・シネマティック・ユニバースの一つ。
「マイティー・ソー」シリーズの3作目である本作は、スペース・アクション・アドベンチャーである。
ビッグ3と言われるが、アイアンマンやキャプテン・アメリカと比べるとイマイチキャラが薄かったのがソー。
今までは「ちょっとスカしたイケメンマッチョ」だったのが、
本作では「ドジでお茶目だがやる時はやる!」というまるでジャンプ的少年漫画のヒーローの様なキャラに生まれ変わった。
これがバツグンに面白い。
ピンチにおいては悲鳴を上げ、
滑って転んでさぁ大変。
なのに、強敵を前にしたら一歩も引かない。
極彩色な世界観を、かつて幼い頃に憧れたカッコイイヒーローとしてソーが縦横無尽に駆け回る。
そう、自分が見たかった主人公、
自分が成りたかった真のヒーローの活躍がこの映画にはある。
カッコイイとはどういう事か?
その答えが本作のソーであり、カッコイイとは正義なのだ。
如何だっただろうか?
色々異論も御座いましょうが、それは個人の感想という事でご容赦願いたい。
それでは、また来年も良い映画に出会えますように!!
*2017年公開映画の総評と雑記はこちらに綴っています。
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