映画『ジョン・ウィック:チャプター2』感想  銃弾を喰らったら死ぬ、そんなふうに考えていた時期が俺にもありました!

 

 

 

ジョン・ウィックが帰って来た!本人にその気は無くとも、大暴れしたら周りはそう見る。殺人稼業を足抜けする為にした「誓印」の効力によって、仕事を依頼されたジョン。彼は、今一度自由になる為に仕事を受けることにするが、、、

 

 

 

監督はチャド・スタエルスキ。
前作『ジョン・ウィック』(2014)で監督デビューし、本作でも再びメガホンを取る。

主演のジョン・ウィック役はキアヌ・リーブス。出演作に
『ビルとテッドの大冒険』(1989)
『マイ・プライベート・アイダホ』(1991)
『スピード』(1994)
『JM』(1995)
『マトリックス』(1999)
『コンスタンティン』(2005)
『47 RONIN』(2013)
ネオン・デーモン』(2016) 等。

共演にローレンス・フィッシュバーン、コモン、ルビー・ローズ、ジョン・レグイザモ、イアン・マクシェーン、ランス・レディック等。

 

本作『ジョン・ウィック:チャプター2』はいわゆる「無双系アクション」だ。
とは言え、従来の「無双系アクション」とは一線を画する。

シュワちゃんやスタローン系の筋肉ヒーローでは無い。
近年多く見られる神経症的几帳面主人公でも無い。

ジョン・ウィックは無敵系主人公である。

 

ヤツはとにかく死なない。
スターを取ったマリオ状態だ。
そんなジョン・ウィックが繰り広げるアクションは、

上映時間の8割で銃をぶっ放しているイメージである。

 

「アクション映画に理屈はいらねぇ!!とりあえずドンパチやればてめぇ達も満足だろ?」

そんな監督の主張が画面がらにじみ出ている。
ハイ、私は満足です。

とにかくアクションを堪能したい!!という方が見ても思わず「もう、いいよ…」と言っちゃう位、山盛りとなっている。

 

今までのアクション映画の常識ラインを踏み越えてしまった感のある『ジョン・ウィック:チャプター2』。
アクション映画好きなら見逃せない作品となっている。

 

 

以下ネタバレあり


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  • ほう、柔を使いよるか

本作『ジョン・ウィック:チャプター2』のアクションには特徴がある。
銃をぶっ放すのは勿論だが、接近戦においては「投げ」や「締め」を多用している
柔道に馴染みのある日本人としては嬉しい所だろう。

しかし、素人目からすると、乱戦の途中で「投げ」を打ったら動が止まって危ないんじゃ無いかと冷や冷やしてしまう。

  • オイオイ、アイツ死ぬぜ

しかし、その問題を解決しているのが特注のブラックスーツである。

このスーツが兎に角スゴイ!!
今までのアクション映画に革命をもたらすスーツなのだ。

どうやらスーツの裏地が特別製で防弾仕様になっている。
そして、この防弾性能がハンパじゃ無い。

普通の映画なら「あー死んだわ」というタイミングと角度で何度も弾丸を受けている。
しかし、そのことごとくをブロックしてしまうのだ。

「無双系アクション」においては「敵の弾が当たらない映画」などと揶揄される事がしばしばある。
しかし、『ジョン・ウィック:チャプター2』では弾が当たる
当たるが死なない」のである。

これは革命的である。

弾丸を受けても死なない。
それどころか、痛がっているだけでダメージがあるのかすらも怪しい。

アクション映画にこの概念を導入した事は大きい。

この『ジョン・ウィック:チャプター2』において、最早ジョン・ウィックは人を超えた存在になったと言えるだろう。

  • 裏返ったッッッ

アクションのみならず、ジョン・ウィックの行動もまた滅茶苦茶である。

相手をバンバン殺しまくるその姿には、最早人間社会のルールや倫理などは当てはまらない
兎に角自分が生き残る為に必死だ。

だが、追い詰められた状況になったのは、元はと言えば自らの行動が招いたものである。

ヤクザ者と契約し、
命を狙われたら返り討ちにし、
あげくは裏社会のルールさえ反古ににしてしまう。
行動の結果どうなるか自分でも分かっていながら、悪い状況へと突進して行く。

何故、そんな行動をとるのか?
それは、ジョン・ウィックが人間を超越してしまし、まさにブギーマン(Boogeyman)となってしまったからだ。

映画においては、つい主人公目線で物語りを見てしまうが、ここでは逆にジョン・ウィックを外から見てもらいたい。
すると、ジョンが如何に厄介な存在か分かるだろう。

行く先々で死を撒き散らし、ルールを無視し暴れまくる。
何発撃っても死なないアイツは絶対に仕留めねばならない怪物と化している。

そう、ジョン・ウィックは既に外から見ると怪物なのだ。
そして、一方のジョンは自分を狩りに来た人間を、善悪やルール関係無しに生存本能の条件反射だけで殺しているのだ。

人間、自己意思は大切である。
確かに、極限状況においては無意識の条件反射がその生死を分ける。
しかし、その本能のみで生きてしまったら、それは既に人間ではない。
むしろ野生動物に近くなってしまう。

ジョン・ウィックは、絶えず続くアクションと命の危機で既に人間ではなくなってしまった
だから、その場の本能のみで行動していたのだ。

  • スタッフ補足

監督のチャド・スタエルスキは元はスタントマンとしてキャリアをスタートさせた。
過去には『マトリックス』でキアヌ・リーブスのスタントもやっていたという。
そんな彼だからこそ、拘りのアクションを撮れたのだろう。

特に気になった女優に用心棒アレス役のルビー・ローズがいる。

スーツのせいなのか、見た目が少年にしか見えなくて、妖しい魅力を漂わせていた。
(しかし、用心棒としては弱そうにしか見えなかった)
他の出演作に
『バイオハザード:ザ・ファイナル』(2016)
『トリプルX:再起動』(2017)等がある。

 

 

『ジョン・ウィック:チャプター2』は一見ただ暴れまくるだけの馬鹿映画である。
しかし、アクション好きであっても食傷してしまうほどの量を見せつけ、新たなアクション主人公像、つまり「倒さねばならない存在」としての主人公像を作ったのは大きい。

新たなアクションヒーローの到来を、あなたも確認してみては如何だろうか?

 

こちらは前作

 

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次回は『ツイン・ピークス』第24章について解説をしたい。