ソビエト連邦時代、違法な人体実験を行ったマッド・サイエンティストのアウグスト・クラトフ博士が現代に復活、己の野望の為に動き出した。そのクラトフを止める為、彼に遺伝子改造手術を施された超人達が集結する!!、、、
監督はサリク・アンドレアシアン。
代表作に
『クライム・スピード』(2014)
『グラウンドブレイク 都市壊滅』(2016)
『キル・オア・ダイ ~究極のデス・ゲーム~』(2016)等。
「日本よ、これがロシア映画だ!」とか
「露版X-MEN」等の惹句が踊る、『ガーディアンズ』。
そのアオリ文句で想像されるが如く、本作は
今流行の超能力スーパーヒーロー物である。
役名:能力
出演者はこうだ!
アルスス:熊に変身
アントン・パンプシニ
ハン:超スピード
サンザール・マディエフ
レア:念動力で鉱物(岩)を動かす
セバスチャン・シサク
クセニア:透明化
アリーナ・ラニナ
ラーリナ:中佐、司令官
ヴァレリア・シュキランド
クラトフ:筋肉マッド・サイエンティスト
スタニスラフ・シリン
*橋爪功のソックリさんはいますが、本人は出演しておりません、念のため。
本作のストーリーは単純だ。
筋肉モリモリ、マッド・サイエンティストが暴れてる!
遺伝子改造超人でやっつけよう!
終わり。
そう、単純にしてシンプル。
普段、私はテンポの良い作品が好きだが、
その私が観てもあっけにとられるレベルでサクサク話が進む。
厨二設定の超人アクション、テンポ良いストーリーとなればこれは面白い!!
…ハズだが、
何か、こう物足りなさを感じる。
見た事ない戦隊ヒーロー物のダイジェストを観ている様な、
対戦格闘ゲームのアニメ化作品を観ている様な、
「東映まんがまつり」や
「東映アニメフェア」を観た時に感じる
愛しさと切なさと心強さを感じる。
派手なアクションは楽しめるが、それでも、超面白くて皆にオススメとは言い切れない。
しかし、この映画の様に、
派手にお金を使っているのに、
B級感漂う残念ぶりはなかなかのものである。
全員にはオススメ出来ない。
しかし、観る人が観たら琴線をくすぐる事間違い無し。
そんな独特の味がある作品。
それが『ガーディアンズ』である。
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『ガーディアンズ』のポイント
厨二設定とアクション
ロシアの美女軍団
そこはかとなく漂うB級残念感
以下、『ガーディアンズ』のガッカリ感を内容に触れた形で解説してゆきます
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筋肉サイコー!!
本作『ガーディアンズ』は超能力バトル物である。
その能力も、変身、念動力、超スピード、透明化と色々取り揃えている。
しかし、その能力を駆使してバトルに活かす感じでは無い。
兎に角力づく、ゴリ押し肉弾アクションの添え物に能力を使っている感じだ。
敵は筋肉モリモリキン肉マン。
その相手に、正面から筋肉バトルを仕掛けたら、勝てる訳無いでしょ!!
何と言うか、雑!!
子供が砂場で「爆弾だー」と言いながら、オモチャの飛行機をぶん回しているレベルの雑さである。
ドカーンと行って(ノープラン)やられて、
復活して修行して、ドカーンとやって、フゥーみたいな、
終始そんなノリである。
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キャラクターを描く必要性
アクション映画には最低限のストーリーがあれば必要十分である。
しかし、それは、キャラクターが魅力的に描けている場合に限るのだ。
では、二時間の映画におけるキャラクターの魅力とは何か?
それは、他人から尊敬や畏敬、畏怖を集める主義主張を持っている(1)か、
又は、感情移入出来るバックグラウンドを持っている(2)か、
ぱっと見で説得力のある外見か能力を持っている(3)かである。
本作では(3)を前面に押し出してキャラクターを立てようとしている。
しかし、登場人物の多くが「個性的」な場合、能力重視のキャラ付けは埋もれてしまう。
なので結局、スーパーヒーロー物は人物をどう描くか?という(1)や(2)の部分を重視しないと作品として面白味に欠けてしまう事になる。
多少はバックグラウンドが語られるが、
やはりアクション映画なら、台詞で語るより行動でキャラクターの動機を見せつけて欲しい。
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懐かしさすら感じる残念感
何となく、全体的に「これじゃない」的な残念感を想起させる『ガーディアンズ』だが、私はこの感覚に覚えがある。
それは、「東映まんがまつり」や「東映アニメフェア」で、『キン肉マン』や『ドラゴンボール』のアニメ映画オリジナル作品を観た時に感じた思いである。
子供から観ても「子供だまし」と一目で分かる雑なストーリー展開。
ぱっと出の敵が現れて、レギュラーキャラをボコるが、最後は友情パワーで敵をやっつけてハッピーエンド。
これを毎年延々繰り返すのが「東映~」の風物詩であった。
『キン肉マン』や『ドラゴンボール』は連載漫画作品であり、長い期間をかけて作り上げられたキャラクターがいるからこそ、魅力のある面白い作品である。
その愛着あるキャラ達が、初めて見るダサいヤツにボコられるのは、正直観たくない。
しかもこの「咬ませ犬展開」は、最終的な、陳腐な予定調和の勝利の為の前置きでしか無いと、観ていて分かってしまう。
話の展開の為に、強敵感を出す為にやられて、でも最後は勝つ。
この茶番に『キン肉マン』や『ドラゴンボール』の愛着あるキャラクターが付き合わされるのが、観ていて忍びない。
映画という特異空間で、非日常の楽しい時間を過ごしたかったハズが、
そんな残念な切なさに身をよじるのが「東映~」のオリジナルアニメ映画作品であった。
そして、『ガーディアンズ』を観た時に感じた残念感は、この時の感覚に酷似している。
全く知らない無い人達が突然現れ、
能力バトルでありながら、小手先の小細工を使わず正面から戦う。
キャラクター個人の意思や深い設定を追求せず、全体的な目的に邁進し、
突撃して、負けて、でも最終的にはかめはめ波を出してやっつけた。
この感情移入する余地を否定する様な作品作りは、監督の個性か、ロシアという国民性なのか?
しかし、このガッカリ感は、私にとっては幼き日に観た陳腐なアニメ映画を想起させるものであり、
懐かしい切なさに包まれるものであった。
一生懸命作っているのは伝わる。
ちゃんとお金もかけて役者も頑張っている。
でも、もうちょっと、作り込めただろうと思わせる部分もある。
この制作側が意図しない残念感こそ、作品が「B級映画」と言われる所以である。
万人にはオススメ出来ない。
しかし、これだけお金をかけてど派手でありながら「B級」であるのも逆に珍しい。
ある意味玄人向けの、味のある映画である。
「う~ん」と頭を捻りながらも、懐かしい残念感を覚えながら観た作品『ガーディアンズ』。
私にとっては、若干ノスタルジックな思いに囚われた映画であった。
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さて次回は、ノスタルジックかつエキセントリックな感じのネオ日本劇、映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』について語りたい。