韓国の済州島にて張会長の庇護の下、女衒屋を営む大友。ある日、日本から来た花菱会のヤクザ・花田がコンパニオンの女性を殴ってトラブルを起こす。大友は落とし前として200万円を要求するが、、、
監督は北野武。
そして主演・大友役はビートたけし。
勿論同一人物だが、監督時と役者時で名前が違う。
本作は『アウトレイジ』(2010)
『アウトレイジ ビヨンド』(2012)に続く完結篇。
他、主演監督作に
『その男、凶暴につき』(1989)
『ソナチネ』(1993)
『HANA-BI』(1998)
『菊次郎の夏』(1999)
『BROTHER』(2001)
『座頭市』(2003)
『アキレスと亀』(2008)等がある。
他共演に、大森南朋、西田敏行、塩見三省、大杉漣、ピエール瀧、白竜、等。
『アウトレイジ』『アウトレイジ ビヨンド』に続く、ヤクザ大友の大暴れもこれで見納め。
メイン出演者、ALL40歳越え!!
平均年齢還暦!!
女とガキに用はねぇ!!
正にそんな映画である。
『孤独のグルメ』こと松重豊が若手に見えるのだ。
そんな暴走老人達の
嘘と裏切り、暴言の羅列
これらが今回も健在だ。
そして本作では、物語を締める為、
大友が落とし前を付けて回る。
ヤクザ者の辿る末路を、とくとご覧じろ!!
以下、印象的なキャストの解説(ネタバレあり)
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齢、六十の暴走記!!
北野武監督の前作、『龍三と七人の子分たち』も平均年齢高かったが、本作『アウトレイジ 最終章』も負けず劣らず老人が頑張っている。
パンフレットに顔が載っているメインキャストの平均年齢がナント60歳!!
(2017/10/16現在)
全員暴走ならぬ全員還暦!!である。
北野武監督自身70歳であり、おそらく若く未熟なキャストを使うより、同年代の信頼置ける人間を使う方がフィーリング的にやりやすいのだろう。
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病気からの復帰
主演・大友役のビートたけし(70)、
そして花菱会若頭・西野役、西田敏行(69)。
若頭補佐・中田役、塩見三省(69)。
概ねこの3人がメインとなってストーリーは進む。
しかし、西田敏行と塩見三省は撮影直前まで病気で体が弱っている状態だったという。
…しかしである。
素晴らしい演技を観せてくれた。
西田敏行は前作『アウトレイジ ビヨンド』に劣らず、ドスの利いたセリフ回しで悪人ぶりを見せ付ける。
アドリブを連発したらしく、硬軟入り交じるセリフに独特のユーモアすら漂う。
だが、足が立たないらしく、演出として殆ど座った演技を採ったらしい。
それでも迫力が凄かった。
塩見三省は前作『アウトレイジ ビヨンド』では恐怖のヤクザとしてド迫力を見せ付けていたが、今回は中間管理職的な悲哀を見せる。
病気の影響か、体重が大分減り、前作と比べて頬もこけて声も元気がない。
その辺の哀しさが如何にも役柄とマッチしている。
強面が上役に凄まれて「ハイ、、、」と言わざるを得ない部分に、組織の不条理を感じ共感出来る人もいるだろう。
どちらも、病気でベストコンディションでは無いだろうが、それを取り入れた演出と役柄で役者をカバーしているのは、監督自身がお年寄りであるが故の配慮が見える。
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最近よく見る、元気な二人
最近の日本において、中堅ヤクザのチンピラ役には常にピエール瀧がいる印象だ。
本作でも、ある意味最もオイシイ役で出演している。
『アウトレイジ』シリーズ恒例の「処刑」される人間なので、そこも注目だ。
松重豊は刑事役。
全員、悪人の中で、唯一と言って良い正義漢である。
自分の信念と組織の建前が折り合わず、辞表を出すのだが、御年54歳。
いくらヒラとは言え、その年齢で若々しい熱さを見せるのはどうかと思う。
…しかし、この映画においては若手の部類なので、若者的行動をするのは何も問題ないのだ!!??
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北野作品の常連
北野作品の常連の白竜。
かつてはライバルキャラ的な立ち位置だったのが、今(アウトレイジ)では互いに尊敬し合う者同士という関係に、しみじみとした者を感じる。
久々登場の大杉漣。
エリートぶって鳴り物入りで組織に入ってきて、古参の叩き上げを吊し上げ自分が有用であるかの如く見せかける。
本気でむかつくクソヤロウを元気に演じてくれた。
飄々とした感じが流石の演技であるが、勿論処刑は免れ得ない。
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アウトレイジに落とし前を付ける大友
『アウトレイジ』では嘘と裏切り、権謀術数。
『アウトレイジ ビヨンド』では報復と暴言マシンガン。
そんな『アウトレイジ』シリーズを終わらせる為、
『アウトレイジ 最終章』での大友は、殆ど「デウス・エクス・マキナ」の様な印象を受ける。
「デウス・エクス・マキナ」とは、物語を無理矢理にでも終わりに導く超越した存在。
本作の大友は正にそれである。
悪人共に死を。
そして、自ら幕を引くのである。
本作、『アウトレイジ 最終章』のパンフレットに、前作・山王会会長加藤役で出演していた三浦友和のインプレッションが載っていた。
これが正に、本作を端的に表わしたものである。
本作では前2作より、哀愁が漂っていると指摘している。
そして、ヤクザは顔が変わっても、やっている事は同じで延々繰り返しているんだと喝破している。
確かにそうだ。
そして、そのある種の空しさが、『アウトレイジ 最終章』において表現したかった空気感でもあるのだ。
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さて次回は、そんなヤクザとは無縁の、セレブ達の驚きの生態を描いた漫画『セレベスト織田信長』について語りたい。