『ゲーム・オブ・スローンズ』第二章
第3話「鉄の決意」について解説したい。
第3話は主に、キングズランディングでのティリオンの「ゲーム」を中心に描かれている。
曲者揃いの王都で、彼がどう活躍するのか?
それが見物である。
監督:アリク・サカロフ
脚本:ブライアン・コグマン
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キングズランディング
ティリオンの居室。(19:04)
シェイは退屈しているが、ティリオン・ラニスターは出歩かせたく無い。
サーセイ・ラニスター、ミアセラ、トメンとサンサの食事。(20:47)
そつの無いコメントで「ラニスターが聞きたいセリフ」を繰り返すサンサ・スターク。
自室に戻ると、新しい侍女だと言い、シェイがやって来る。
およそ侍女らしく無いシェイの態度にサンサは鬱憤を晴らすが如く辛く当たるが、大して堪えて無い様子。
上級学匠パイセルを部屋に呼んだティリオン。(24:25)
サーセイにはくれぐれも内密にと前置きをし、ミアセラの政略結婚、ドーンに嫁がせる話をする。
同じ様にヴァリスを部屋に呼んだティリオン。
サーセイにはくれぐれも内密にと前置きし、ミアセラの政略結婚、シオン・グレイジョイに嫁がせる話をする。
そして、ベイリッシュ公を部屋に呼んだティリオン。
サーセイにはくれぐれも内密にと前置きし、ミアセラの政略結婚、ロビン・アリンに嫁がせる話をする。
ベイリッシュは見返りを要求し、ティリオンはハレンの巨城を約束する。
サーセイに噛みつかれるティリオン。(33:39)
政略結婚は王家の宿命だと宥めるが、サーセイは自分と同じ様にミアセラがドーンに売られる事を嘆く。
取り乱すサーセイに、王都陥落時にはここに居ない方が安全だと言う。
ティリオンの部屋にベイリッシュ公がコケにされるのは不愉快だと乗り込んで来る。(36:59)
策略はご免だと言うベイリッシュに、ティリオンは「あなたの活躍で兄を北から取り戻したい」と提案する。
ロブ・スタークはキングスレイヤーを手放さないと言うベイリッシュに、しかしキャトリンなら違うだろうとティリオンは答える。
そこにブロンが入って来て、準備が出来たと言う。
パイセルの部屋に乱入。
サーセイにバラした事を咎めると、ラニスター家の為に長年情報を流していた事をゲロる。
何人の「王の手」を裏切ったのか?ジョン・アリンに毒を盛ったのか?
そうでは無いとパイセルは言うが、しかし、助からない様にしただろうとティリオンは判断、暗黒房への収監を指示する。
ヴァリスと部屋で会う。(40:21)
ヴァリスは見事な手並みだとティリオンを褒める一方、少々不安だと言う。
「王の手」に非協力的だからだ、ネッド・スタークと同じ轍は踏まないとティリオン。
ヴァリスは謎かけを始める。
ヴァリス
王と商人と司祭の3人と、剣士が居る。
3人は他の二人を殺せと剣士に言う。
誰が生き、誰が死ぬか?
ティリオン
剣士次第だろ?
ヴァリス
王冠も、金も、恩寵も無い。
剣士に生殺与奪の権があるのなら、王の力とは?
では、ネッド・スタークの死の原因は?
ジョフリーか、処刑人か、他の誰かの所為か?
力は、人があると思う、その場所に宿る。
トリックです、壁に映る影と同じ。
小さな人間のものでも大きく見える。
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ウィンターフェル
自分を起こしに来た大狼サマーの視点で、自分が目を覚ます様を見るブランドン・スターク。(05:54)
ブランは自分が夢で大狼と視点を共有している事を学匠ルーウィンに相談するが、もう既に魔法は存在しないと諭される。
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ヨーレンの徴発隊
北へ向かう途上の何処かの廃墟。(42:13)
夜眠れず、ニードルを磨くアリア・スターク。
実際には見ていなくとも、毎夜父の処刑が目に浮かぶと悩みをヨーレンに打ち明ける。
ヨーレンは自らの過去、「壁」に送られた経緯を語る。
ヨーレンも目の前で兄を殺された。
以降、眠る前に兄の仇の名を唱え続け、そして復讐を果たし「壁」に送られたのだ。
その時、角笛の音が響く。
ヨーレンは皆を起こし、アリアとジェンドリーには隠れていろと告げる。
王都の守人に援軍を頼まれたとの名目の下、タイウィン公の旗手の一人、サー・エイモリー・ローチが手勢を連れてやって来る。(47:02)
降伏してジェンドリーを渡せという勧告をヨーレンは拒否、暴れるが多勢に無勢で殺される。
混乱のドサクサで火の手が上がり、ジャクェン・フ=ガー達が居る檻にも迫る様子を見たアリアは、手斧を渡し彼等が檻を壊すに任せる。
一方、戦況は瞬く間に終息、アリアはニードルを奪われ、生き残りは取り押さえられハレンの巨城へ送られる。
エイモリー・ローチはジェンドリーを探すが、アリアは死んだロミーを彼だと言って誤魔化す。
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パイク
パイク城。(14:47)
腹を立てているシオン・グレイジョイにヤーラ・グレイジョイは、人となりが知りたかったので素性を隠して近付いたのだと言う。
ベイロン・グレイジョイがやって来て、計画を告げる。
軍が南に遠征している北部の海岸全てを略奪する、砦を一つずつ落とし、ウィンターフェルも1年ほどで陥落するだろうと言う。
ヤーラは30隻、自分は1隻で出撃と聞いたシオンは反発し、ロブに恭順しさえすればキャスタリーの磐城を与えられると言うが、
ベイロンは、家訓「われら種を撒かず」を唱える。
すなわち、我々は奪うのだ、与えられはせぬとその提案を拒否。
ベイロンはシオンを侮蔑し、ヤーラは家族なら腹を決めろと言う。
シオン、ロブへと認めた手紙を焼く。(35:02)
「溺神」の洗礼を受ける。
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ストームズエンド
レンリーの陣。(09:16)
キャトリン・スタークが訪れると、皆は試合に湧いている。
ロラス・タイレルを打ち破ったのは、大女のブライエニー・タース。
「王の楯」になりたいという彼女の希望を、レンリー・バラシオンは快諾する。
これらの様子はしかし、戦地からロブの使者としてやって来たキャトリンにとっては、あまりにもお気楽に見えてしまい、きつい言い方になる。
ベッドでロラスといちゃつくレンリー。(28:24)
しかし、ロラスはレンリーの妻であるマージェリー・タイレルが(建前上)処女である事は問題だと言い、レンリーを拒否する。
代わりに入って来るマージェリー。(30:27)
彼女は誘惑するが、レンリーはワインで酔おうとしており、明らかに乗り気で無い。
すると、マージェリーは「兄を呼びますか?」と尋ねる。
どんな形であれ自分が子を宿すのが大事、全て王の心次第で如何様にもなると語る。
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「壁」の北
クラスターの館。(01:54)
クラスターは叩きのめしたジョン・スノウを連れ戻り、黒衣達に全員外に出て寝ろと喚く。
外に出たジョンは、ジオー・モーモントに赤子が連れ去られた事を訴えるが、彼も気付いていた事であった。
野人の奉じる神は残酷であり、我々とは違うと説く。
我々の戦いは別の場所にあり、クラスターの様な男でも必要だと言う。
翌朝。(04:25)
サムウェル・ターリーはジリに母の形見を渡す。
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新キャラ紹介
ヨーレンの徴発隊
サー・エイモリー・ローチ
ラニスター勢。
ストームズエンド
ブライエニー・タース
「麗しのブライエニー(Brienne the Beauty)」と揶揄を込めて呼ばれる。
タース島の領主、セルウィン・タースの娘。
レンリーを慕っている。
マージェリー・タイレル
南部総督メイス・タイレルの娘。
ロラス・タイレルの妹。
レンリーの妻。
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用語解説
溺神
鉄諸島で信仰される独自の宗教。
儀式によって溺れさせ、蘇生する事で新たに生まれ変わる。
何故なら、死者はもはや死なず、しかし、より強くなって立ち上がるからである。(36:00)
ティリオンの策略が冴え渡る回である。
「王の手」の意向より、サーセイを優先するのは誰か?
見事彼女の犬を洗い出した。
その方法は苛烈だが、いち早く「弱み」を握ったヴァリスにやんわりとたしなめられる。
強権を振るうティリオンだが、
「権力は皆が思うところに宿る」と言うヴァリスは、「力」は虚像だと喝破する。
「王の手」という権力がある間は良いが、目立ちすぎると皆が失脚を望み、その後の進退が危うくなるだろうという示唆ではないだろうか?
決して前面には出ないヴァリスらしい言葉である。
一方の策略家であるベイリッシュ公は、最近ラニスターに押されがちである。
今回も手玉に取られた上、キャトリンの話を出され興味津々になる辺り、やや分が悪い。
彼の巻き返しは成るのか?
メインはキングズランディングだが、各地で皆が現実の辛い面に直面する。
ジョン・スノウは倫理的には悪人であっても利用せざるを得ない現実に出会う。
アリアは見なかったハズの悪夢に毎夜悩まされる。
ガチホモのレンリーは、王として政略結婚のなんたるかを知る時である。
個人の性癖を恥じる事すら許されないのだ。
シオンは生まれか、育ちかで悩む。
しかし、彼はグレイジョイを選ぶ。
あくまで冷遇する実の父に自分を認めさせる為か?
それともただの意地か?
シオンはスターク家で育てられたが、「いつか後継者として帰る場所であるグレイジョイ家」という思いが芯にあったハズだ。
しかし、ベイロンはそれを考慮するどころか、「既にお前の居場所など無い」と言わんばかりである。
これは、シオンにとっては自らのアイデンティティを否定されたと同意であり、
それを復活させるには、自分はグレイジョイ家の一員であると自他共に認めさせねばならぬのだ。
しかし、信頼とは一朝一夕で生まれるものでは無い。
それが分からぬからシオンは子供であるのだが、若いが故の彼のあがきは今度も見逃せない。
そんな彼が活躍は、以降のお楽しみである。
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次回は、『ゲーム・オブ・スローンズ』第二章第4話「光と影」について解説したい。