孤独のグルメ Season2 第二話
中央区日本橋人形町の黒天丼
監督:溝口憲司
脚本:児玉頼子
出演:
井之頭五郎:松重豊
店主(中山):若林哲行
女将(中山):根岸季衣
息子(中山):元氣安
ジョセフィーヌ:ヒラリー・ハリソン
常連客1(タケシ):亀井達也 他
ふらっとQUSUMI:久住昌之
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*タイムラインはBDソフト準拠となっております。
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ドラマパートあらすじ
中央区日本橋人形町にやって来た井之頭五郎。
フィンランドのインテリアショップで出会った10年来の知り合い、ジョセフィーヌのリクエストで水天宮を訪れる。
妊娠しているジョセフィーヌの為、安産祈願の腹帯(御子守帯)を購入した五郎さん。
更に、ジャパニーズカルチャーを感じるものが欲しいとの要望に応えるべく、五郎さんは散歩をしつつ、いいプレゼントを探す。
お茶屋の「森乃園」に立ち寄った五郎さん。
お茶をみつつ、甘味もあるので食べてみる。
抹茶ぜんざい(冷)。(41:24)
漬け物が一緒に付いている。
「ほう、小豆、素晴らしいジャパニーズスイーツ」
「おお、白玉、いい、いいゾ、白玉」
甘さを堪能した五郎さん、ここで漬け物も口にする。
「うん、良い感じにしょっぱい」
「甘さ一色にだらけ気味の口の中が、塩気でキュッと締まる」
「小豆の甘味が改めて美味しい」
「俺は所帯じみたお新香のおかげで、逆に小豆に何度でもトキメく。何度でも恋が出来る」(43:33)
改めてプレゼントを物色する五郎さん。
葛籠を見たり、竹細工を見たり、、、
三味線を見つけた五郎さん。
お店に入ると、お客さんが演奏している。
「この音を聞きながら、人形町で食べるとしたら何だろう」
「寿司か、うなぎか、すき焼きもあったなぁ、そば、いや、天ぷらだ、サクッと揚がったえびの天ぷら」
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「駄目だ、考えてたら、腹が減った」(49:12)
ポン、ポン、ポォン。
また来ます、と店をでる五郎さん。
天ぷらを探して彷徨する。
「この町に無いハズが無い!」
「駄目だ、無いのか?無くなったのか?諦めるか、天ぷら」
「いや、諦めるな、必ずある」
「何処かに一軒、昔ながらの店が、だって人形町だぞ」
「ああ、空腹が加速して行く」
五郎さん、鼻をひくつかせる。
匂いに惹かれて辿り着いた先に、天ぷら屋さん発見。
「掘り当てたぞ。この店名からして間違い無い」(50:38)
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天ぷら 中山(50:49)
入店した五郎さん。
どうやら家族でやっている様子。
三味線にも似合うお店とご満悦。
木の札のお品書き、品数が多く、どれも安い。
えびは楽しみにとっておこうと考えた五郎さん。
めごち、ハス、玉ねぎ、お新香を注文する。
天ぷらの音と匂いが良い感じ。
「うーん、耳と鼻から食欲がたきつけられる」
新香(きゅうり・かぶ・白ウリ)。(52:15)
「うん、ああ、この時点で俺的に名店確実。この店やっぱり間違い無い」
天ぷら登場。
先ずはめごち。(53:26)
「美味い」
「小さいのに身がふっくらしている」
「サクッとして中はふわっ、王道のサクふわだ」
「次は軽く玉ねぎだ」(54:10)
塩で食べてみる五郎さん。
「おお、良いじゃないか、塩で正解」
「タネといい、衣といい、本当に三味線の音が聞こえてきそうな天ぷらだ」
常連客が入店、天丼を頼む。
女将さんとの会話で、かき揚げがある事を知った五郎さん。
注文しようとするが、夜限定との事。
常連さんに「美味しいので、絶対夜も来た方がイイっすよ」と勧められる。
「そんな風に言われたら、ますます気になるじゃないか、今夜来たくなってしまう」(55:42)
ハスも食べる五郎さん。(55:53)
「うん、良い食感だ」
「さて次は、いよいよえびと穴子行こうか、もう一度玉ねぎも良いなぁ」
五郎さん、注文しようとするが、
お会計の客や、新たに入店した客が天丼を頼んだりしてタイミングを逃す。
その時、隣の常連客の注文、天丼が届く。
その黒い天丼を見た五郎さん、
「ん?何だアレ?」
すかさず被せる五郎さん、天丼を頼む。
「来るぞ、来るぞ、来た、来た」
注文した天丼が来て、手を伸ばす。
…が、それは先程注文していたサラリーマンの丼だった。
完全に勇み足の五郎さん。
「忘れてた、むこうが先だった」
「あわてるな、待て、俺はまるで犬じゃないか」
「お新香食べて、初心に帰るんだ」
遂にやって来た天丼。(58:39)
「待ってました、俺にシッポがあったら、今、ちぎれんばかりに振っている所だ」
蓋をあける五郎さん。
「く、黒い、黒い天丼、何なんだ、この黒さ」
「どーれ、これは尻尾が付いているからエビだな」
「天ぷらにされてなお、ブラックタイガーだ」
「おお、これは見た目の印象と全然違う」
「キリッとした醤油味というか、滅茶苦茶良いじゃないか」
「アナゴかぁ、こんなに味が染みているのに、まだサクッとしている」
「よし、これは半分とって置こう」
「天丼に漬け物、コレでいい、いや、コレが嬉しい」
「みそ汁は…シジミかぁ、有り難い、ほっとするなぁ」
「次はコイツ。やっぱりキスだ」
「キスも天ぷらの王道、トランプで言えば絵札のジャックか」
「三味線気分で入った店だが、美味しさに燃えて来たぞ」
「日本文化の粋と言うより、これは祭りだ」
軽快な祭り囃子の掛け声と共にご飯をかき込む五郎さん。
「美味かった、恐るべし黒天丼、」
「ごちそうさまでした」
退店した五郎さん。(01:03:07)
「不思議だ、あんなにも揚げ物を頂いたのに、でも、ちっとももたれていない」
「クセになるのが分かる、良い店を覚えた」
人形焼きを買って帰ろうかと呟く五郎さん。
すんでの所で三味線を思い出す。
「ご免、ジョセフィーヌ」
と、三味線屋へ向かう五郎さんであった。
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ふらっとQUSUMI(01:04:17)
天ぷら屋さんには30位になるまで入った事が無かったと言う久住さん。
「そういう店って、ものすごく高い、怖いでしょ」
と、気が引けている久住さん。
外に値札が貼ってあるのを見て安心している。
「コレはちょっと嬉しいですね」
*2013年当時のデータなので、現在も営業中なのかは要確認
新鮮な魚と値段の安さが魅力の「天ぷら 中山」。
とりあえず、久住さんビールを一杯。
キスの天ぷら、
「衣が薄くて軽くて、ちょっとウチのと違いますね、当たり前だっつうの」
イカを大根おろし、しょうがの天つゆで食べる。
「つい、本気で食べちゃいますね、ウフフフ」
イモの天ぷらの思い出を語る久住さん。
「うちの子供の頃は大体イモが中心でしたね」
「残ると翌日のおべんとうに、コレだけがおかずだったりとか」
お新香も注文、女将さんの手造り感が最高。
五郎さんが食べられなかったかき揚げも注文。
夜限定で、その時の旬のものを揚げるという。
本日はホタテ、エビ、三つ葉。
「紹介したくないですね、こういうとこ」とジレンマを語る久住さん。(01:08:04)
60年以上も経営しているという「中山」。
お客さんとのお喋りが楽しいという女将さんに、
「僕も混ぜて下さい」と久住さん。
「こういうの(撮影)がないと来れないんですかね、怖くて」(01:08:40)
と、やっぱりまだ、ちょっと天ぷら屋に気後れしている久住さんでした。
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声に出して言いたい!五郎さんの名台詞
今回の「声に出して言いたい」五郎さんの名セリフは、
「掘り当てたぞ。この店名からして間違い無い」(50:38)
食を追求する時、お店選びに妥協は禁物。
迷い、歩き、彷徨って、遂に見つけたお目当ての店。
その時、心からこのセリフを呟こう。
「そんな風に言われたら、ますます気になるじゃないか、今夜来たくなってしまう」(55:42)
日中に入った店で、夜限定の気を惹かれるものを見つけちゃった。
そんな事知ってしまったら、むしろ昼飯を食べる前から晩飯を再び同じ場所で食べる事を検討してしまう。
幸せなジレンマに溢れたセリフである。
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感想と解説
先ずは、安産祈願で有名な水天宮を訪れる五郎さん。
「自分じゃないです」としなくていい言い訳をする五郎さんが面白おかしい。
あの、もうすぐ子供が生まれる者同士という、何とも言えない連帯感。
実は、自分はそうじゃ無いのに、あの雰囲気の中に飲まれて周りからにこやかな笑顔を向けられる事に、
言いしれぬ罪悪感を感じてしまっているのかもしれません。
そして、天ぷら。
音、そして匂い。
この両面から攻めて来る天ぷら。
これぞ、ジャパニーズカルチャーという事で、実はドラマパートから引き続いているテーマなんですね。
前半の甘味でも、お新香とのコンボが主役の食べ物を引き立てている描写がされていましたが、
天ぷらでもその様子が描かれます。
今回の脚本は、児玉頼子氏。
『孤独のグルメ』初登場という事で、気合いが入っています。
そして、実は常連客1(タケシ)という登場人物、
Season2第一話でも登場しています。
タバコをパシらされた人ですが、ここでまさかの再開。
(店に入った時に、既に居た客か?)
服と髪型の印象で、一見別人に見えますが、わざわざ同じ名前なので、同一人物の可能性大です。
そして、音楽。
Season2になって音楽も追加になりましたが、
今回のご飯を食べる時にかかった祭り囃子がまた良い味出しています。
確かに、ご飯をガッツいている時、
ああいうドライブ感がありますね。
「ふらっとQUSUMI」では、久住さんが終始天ぷら屋さんにビビっているのが面白いです。
話の様子では、昔若い頃に天ぷら屋に行って、ぼったくりに近いレベルで高いものを食べてしまった事があったんでしょうね。
しかし、何となく、気が引けるお店でも、理由があればそれにかこつけて行く事が出来る。
切っ掛けさえあれば、挑戦する勇気も湧いてくるんですよね。
また、「紹介したくないですね、こういうとこ」(01:08:04)
と言う発想も理解出来ますね。
良い店だから、人に認めて欲しいけれど、
その魅力を余人に知らせず、独占した気持ちもある。
イモの天ぷらに関する思い出を語ったり、
人間心理に言及したり、
今回の「ふらっとQUSUMI」は中々どうして深いものがありました。
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