映画『レディ・プレイヤー1』感想  世界一の監督が見せる!王道冒険物語とポップカルチャーのモザイク模様!!

 

 

 

西暦2045年。辛い浮世を忘れる為、老いも若きも全世界規模で流行しているVR型ネットワークゲーム「OASIS」に熱中していた。17歳のウェイドもその一人、プレイヤー名「パーシヴァル」としてゲーム内でお宝を探していた、、、

 

 

 

 

監督はスティーヴン・スピルバーグ
現役監督世界一ィィィイ。
主な監督作品に
『激突!』(1971)
『ジョーズ』(1975)
『レイダース/失われたアーク』(1981)
『ジュラシック・パーク』(1993)
『シンドラーのリスト』(1993)
『プライベート・ライアン』(1998)
『ミュンヘン』(2005)
ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』(2017)等、多数。

 

主な出演者の役名:役者名は
ウェイド/パーシヴァル:タイ・シェリダン
サマンサ/アルテミス:オリヴィア・クック
ソレント:ベン・メンデルソーン

他、マーク・ライアンス、サイモン・ペッグ、リナ・ウェイス、森崎ウィン、フィリップ・チャオ等。

 

 

つい一ヶ月前、本邦では『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』が公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督。

とは言え、『ペンタゴン・ペーパーズ』は社会派ドラマ。

本作『レディ・プレイヤー1』は、監督のもう一つの方向性、エンタテインメント作品となっております。

 

そのエンタメ寄りの本作、

凄く面白い。

 

内容的には

王道冒険活劇映画となっております。

 

ゲームの開発者、ジェームズ・ハリデーが遺産として残した「鍵」。

これを3つ集めるとお宝「イースター・エッグ」をゲット出来、ゲーム内の全てを手にする後継者となる事が出来るのです。

しかし、ハリデーの死後、五年経っても誰も一つの「鍵」すらゲット出来ていませんでした。

そんな中、ゲームのクリア報酬が「鍵」であるレースゲームを攻略するべく、
パーシヴァルはハリデーの人生、その志向、経歴を洗い出してしましたが、、

 

本作は、色々本当に凄い。

まず、ビジュアル。

現実世界のパートでは、ウェイドは無秩序に積み重ねられたトレーラーハウスに住んでおり、ちょっと荒廃した感じの町が描かれています。

対象的に、

VRゲームの中は、もの凄く煌びやかです。

 

現実世界は人間が演じ、
ゲーム内の描写ではCGアニメなのですが、

もう、その区別が全く気にならない程の圧倒的映像クォリティ。

絶対に、映画館で観るべき映画です、
出来れば、3Dで!!

 

この作品程、映画館での映画体験を満喫出来る作品はそうそう無いです。

 

そして、「OASIS」内では各自自由なキャラクターに成る事が出来るのですが、

この設定により、様々なキャラクターがゲーム内に登場しています。

バットマン、リュウ、ガンダム、アイアンジャイアント etc…

古今のポップカルチャーのキャラクター、設定、ガジェットがてんこ盛り!!

 

あ、見た事ある!

お、あの作品のネタだ!

こういう「気付き」が作品のそこかしこにちりばめられています。

これを、世界一の映画監督がやってしまうのです。

これが面白く無いハズが無い!!

 

『E.T』
『インディ・ジョーンズ』
『ジュラシック・パーク』etc…

あの、胸がワクワクする映画の数々、
ハリウッド製の正統王道アドベンチャー映画、
それが、『レディ・プレイヤー1』なのです。

 

 

  • 『レディ・プレイヤー1』のポイント

正統王道SFアドベンチャー!!

驚異のビジュアルイメージによる圧倒的映像体験

古今のポップカルチャーのネタの特盛り

 

 

以下、内容に触れた感想となっております。

 


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  • 正直言って、ズルいだろう、これ

スティーヴン・スピルバーグ監督と言えば、
その映画作品の面白さ、テーマの多彩さ、撮影数の多さを総合的に考えると、
世界一の映画監督と言っても間違い無いでしょう。

そんな、言わば映画界のトップに居る存在が作った本作、
これ、ズルじゃん、と思ってしまします。

 

VRゲーム内で「鍵」を探しつつ、現実世界でも冒険する。

一言で言えばこうですが、
この「ゲーム内」描写に、古今のポップカルチャーのネタを大量にぶち込んでいるのです。

先ず、最初のレースシーン。

パーシヴァルの乗る車は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン。
これを色々カスタムしています。

また、アルテミスが乗るバイクは『AKIRA』の金田バイク。
こちらもキティちゃんのシールとかを貼って色々カスタムしています。

レースの途中で「障害物」として現われるのは「Tレックス」。
これは『ジュラシック・パーク』を思い出させます。

そして、レースのゴールを守るラスボスは「キングコング」。

レース後に、「鍵」を受け取るシーンでは、
アノラックが勝者に「よくやった、パダワンよ」と言います。

「パダワン」は『スター・ウォーズ』に出てくる用語で、ジェダイ候補生の事を言いますね。

集中していなくても、初見でこれだけ拾い挙げる事が出来ます。

 

こういう共通認識として普及している有名作品をネタにして作品内に組み込む手法は、
主流からちょっと外れたオタク的作品や
二次創作の同人活動なんかでは多数見られるものです。

共通認識のある作品について言及する事によって、
観客や読者から共感を得ようという手法ですね。

この手法を、例えば
知名度や完成度の低い作品が使うのは、まだ分かります。

「下」にいる人間が、
「上」にいる人間の人気のおこぼれに与っている感じですね。

ですが、地位も名声も実力もあるトップの人間が、
自分より下に居る人間のネタを吸収して、それを使うのは、ズルいと感じてしまうのです。

 

  • ステンドグラス

しかし、です。

これはズルい。
ズルだけど、間違い無く面白い。

トップの人間が作った「自分の好きな物特盛りの二次創作」

『レディ・プレイヤー1』は、
過去存在するどんな二次創作作品よりも完成度の高い素晴らしい作品になっているのです。

そう、真似される立場の人間が本気を出したら、
真似しても凄かったのです。

 

各作品の持つ、面白さ、エッセンス。

一つ一つ見ると、それは別々の色を持っています。

アクションだったり、
SFだったり、
ホラーだったり、、、

しかし、『レディ・プレイヤー1』はそれら別々の作品を効果的に並べる事で、モザイク模様を作り出し、
結果、あたかもステンドグラスの様な美しい映画を完成させているのです。

 

  • 後継者の資格

作品をただパクるだけでは文句が出ます。

しかし、本作では、物語の必然として、自然の流れの中で数多の作品をネタとして自作の中に取り込んでいるのです。

「鍵」探しのキーとなるのは、
開発者ハリデーの人生での後悔の数々

1:あの時に戻りたいから、逆走し、
2:恐怖を乗り越えて、飛び込めばよかったと後悔し、
3:それでも名声を得たかったと述懐し、
4:友を失うことになった選択を悔いている

ゲームの開発者が自分の後継者として選ぶ者は、
ゲームをプレイ出来る実力があるのは勿論の事、
自分が陥った人生の後悔を乗り越える事が出来る人間を選ぶ為に、その試練を設定しているのです。

 

そして、ハリデーがそういう試練を作る場合、
自分の知っている作品を利用して
「この作品を理解して、謎が解ける人間なら信用出来るだろう」
という思考に達するのは当然の事と思われます。

まぁ、いわゆる、オタク特有の自分の好きな物を好きと思う人に感情移入する、あの現象ですね。

(オタクならずとも、勿論普通にある現象ですが)

だからこそ、ハリデー自身が好きだったものを試練として並べている、という設定なのです。

 

  • イースター・エッグ

さて、『レディ・プレイヤー1』(「OASIS」というハリデーの世界観)が成立するのも、
オタク文化を自前の物として、それを他人と共有出来る人間が一定数いるという事が前提です。

そういうオタク文化リテラシーを信じたのが、
本作『レディ・プレイヤー1』であると言えます。

また、ストーリー上の試練も、
オタク文化リテラシーのある人間が考えたら分かるレベルなのもまた、面白いところです。

私なんかは、答えが出る前に『シャイニング』が分かりましたよ!(ドヤァ)

 

こういう「ネタが分かる感覚」というのも、本作の面白い所です。

「OASIS」内のアバターに様々な作品のキャラクターが使われているのは勿論、
設定、ガジェット、セリフ等々、、、

これら、どの場面でどんなネタが入っているのか?

それを見つけて元ネタを探すのも、
映画を普通に楽しんだ後の第二の楽しみと言えるでしょう。

そう、いわば、
ネタ探しというのは、監督から観客に送られた宝(イースター・エッグ)探しなのです。

 

 

 

古き良きハリウッドスタイルの、
王道冒険活劇である本作『レディ・プレイヤー1』。

真っ当なストーリーにワクワクし、
圧倒的な映像クオリティに驚き、
そして、ネタの数々に楽しむ。

アメリカのみならず、
日本産のキャラクターも多数見られるのが、嬉しくも驚きです。

オタク文化というジャンルにおいて、
かつての日本文化の影響は莫大なものがあったのだと、
改めて気付かされます。

画面の端に何がいるのか、それを探すだけでも楽しい。

まるで映画のオモチャ箱の様な作品、

『レディ・プレイヤー1』は、
映画好きで良かった、
オタク文化好きで良かったと思わせる、素敵な作品と言えるのです。

 

 

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