第11章の解説をしたい。
前回の衝撃の逮捕から続く本エピソード。
しかし、もちろん舞台は法治国家。
きちんと手続きに基づいた対処が成される。
第11章ではその為の準備をしている。
ストーリー的には少しお休み感があるが、その分サイドストーリーが盛りだくさんだ。
ダブルアールダイナー、「片目のジャック」、ルーシーの憂鬱、そしてジョシーの帰宅。
「ローラ・パーマー事件の捜査」と「町の住民の日常」。
この両輪が『ツイン・ピークス』の魅力である。
第11章では、そのサイドストーリーが存分に楽しめる。
第11章
監督:トッド・ホランド
脚本:ジェリー・スタール&マーク・フロスト、ハーレイ・ピートン、ロバート・エンゲルス
以下ネタバレあり
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本エピソードのチェックポイント
3月6日
保安官事務所にて、リーランド・パーマーへの尋問。
弁護士はいらないと言う。
そして、ジャック・ルノー殺害を認める。
「この圧倒的な喪失感、君に分かるはずもない」
クーパー、精神錯乱か?とDr.ウィリアム・ヘイワードに尋ねる。
鑑定が必要だが犯人に娘をあんな殺され方をされたからには、と言うDr.ウィル。
クーパーは、ならば殺していいと?と問う。
アンディ、精液検査を再び受けたいとDr.ウィリアム・ヘイワードに頼む。
ハリー、午後から判事が来るハズだとクーパーに伝える。
リーランドとレオ・ジョンソンの処遇の為。
そして今朝来た、ホークの報告を読む。
ロバートソンという男が住んだことはない。
最後の居住者はカリスペルにいて調査中だ、との事。
クーパー、大慌てのアンディの靴がレオの持っていた新品の靴と同じブランドだと気付く。
アンディは靴をジェラードから買ったとの事。
クーパー、巨人が「レオの家を探せ」と言った事を思い出す。
コカインの事かと思いきや、カギは靴だった。
ジェラードを捜そう、とクーパーは言う。
グレートノーザンホテルにて。
従業員が騒いでいる。
トラベルライターがツイン・ピークスに向かっているらしい。
ベンジャミン・ホーン、自分のオフィスでふんぞり返っているジャン・ルノーを発見する。
ジャン・ルノーはビデオのオードリー・ホーンを見せる。
ジャン・ルノーは自分の売り込みと現金の要求、そして身代金の運び手にクーパーを指定する。
明日の午後連絡すると言い立ち去る。
ベン、珍しく苛立つ。
ダブルアールダイナーにて。(AM.11:43)
ノーマ・ジェニングス、トラベルライターで且つグルメライターのM・T・ウェンツがツイン・ピークスを訪れると話す。
ハンク・ジェニングスは張り切り、花とキャンドルとテーブルクロスを新調しようと店から飛び出してゆく。
ハロルド・スミス宅にて、ドナ・ヘイワードとハロルド・スミスは2人でワインを飲んでいる。
ハロルド・スミスはローラの日記を取り出し、ドナに読み聞かせる。
彼女に私の空想や悪夢のことは話せない。
本当の私を知れば、ドナは私を嫌いになる。
私の心の中は真っ黒で、男達の夢に浸っている。
私をいたぶる男達の、、、
ドナは証拠品だから保安官に渡した方が良いと言う。
しかし、ハロルド・スミスは乗り気ではない。
全部読んだが手がかりは無いし、ローラがくれた物を手放したくないとの事。
ハロルド・スミスは独特な視点を持っていて、その「人を大所から小説のように捉える視点」に多くの人が興味を持つ、と自分で言う。
いつかドナにも自分の事を話してほしい様子。
グレートノーザンホテルにて、ベン、クーパーに身代金運搬を頼み込む。
マーテル家にジョスリン・パッカードが帰って来る。
ピート・マーテルからキャサリン・マーテルが死んだ事を告げられる。
「片目のジャック」にてジャン・ルノー、朦朧としているオードリーの目の前でエモリー・バティスを打ち殺してみせる。
保安官事務所にて。
クーパー、ルーシーにアンディとの事を聞くが上手く対処出来ず。
しかし、ハリーはそのうち雨降って地固まるだろうと見ている。
クーパー、オードリーの事は伏せ、ハリーに協力を依頼する。
ブックハウスボーイを貸してくれと言い、ハリーはそれを承諾する。
9時半にロードハウスで待てとハリーは言う。
ダブルアールダイナーにて。(PM.7:30)外は曇り。
太った男が入ってくる。
M・T・ウェンツかと思いハンクは身分証をくすねるが、地方検事のダリル・ロドウィックだった。
ドナとマデリーンがいる。
マデリーンはドナのご機嫌をうかがうが、ドナは平気を装っている。
ドナはハロルド・スミスが第2のローラの日記を持っている事を話し、絶対に読んでやると息巻いている。
マデリーンに協力を頼む。
マーテル家にてジョシーと会うハリー。雷が鳴っている。
何も言わずにシアトルへ行ったジョシーをハリーは疑っている。
製材所は焼け落ち、保険金がジョシーに入るからだ。
それに対しジョシーはハリーを誘惑して説明をごまかす。
その様子を外から謎の東洋人が覗いている。
土砂降りのなか、保安官事務所にクリントン・スターンウッド判事が到着。
ルーシーやハリーが異性の事で悩んでいると一目で喝破する。
ハリー、クーパーに紹介する。君たち二人は似ていると言う。
リーランドがスターンウッド判事と接見する。
スターンウッド判事、法について語る。
どんな困難な時も、法律が道案内してくれる。
本来、法は人を助けるために存在するが、その一方で我々には法を守る義務がある。
人生が終わった後はヴァルハラにて再開し杯を酌み交わそうと告げるが、リーランドはそれは叶うまいと言う。
検事のロドウィックが遅れている為、保釈の決定は明朝に延期しようとスターンウッド判事は決定する。
グレートノーザンホテルにて、ベン、あからさまに怪しい客を見るが一礼して去る。
客はタジムラという名前でチェックインする。
マーテル家にて。
ジョシー、例の怪しい東洋人をピートにいとこのジョナサンだと紹介する。
ジョナサン、土地を売る契約の事について尋ねる。
ジョシーはピートのサインがいるが、あと2、3日で終わると言う。
ジョナサン、香港でエッカートさんがお待ちだ、と言う。
さらに、他に問題がないか尋ねる。
ジョシーはハンクが厄介だと言うが、ジョナサンはハリーの事が気になっている。
ロードハウスにて。(PM.9:30)
クーパーの隣にハリーが座る。
ハリーが手配したブックハウスボーイは自分自身であった!
ダブルアールダイナーにて、ジョナサン、ハンクを襲撃しぶちのめす。
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本エピソードの謎
謎:87 香港のエッカート、とは誰? (A)
謎:88 あからさまに怪しいタジムラの正体は? (A)
*(A)とは答え(Answer)の事。クリックで謎が解明されたエピソードに飛びます。
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本エピソードによって解明された謎
謎:72 ジョシーに電話してきた東洋人には何の目的が? (第8章)
答え: 香港のエッカートが送り込んだジョシーの監視役
また、ハッキリとは明言されてないが、ベンジャミン・ホーンとの会話、そして今回のジョナサンとの会話でほとんど確定的なので謎:53も解明としたい。
謎:53 キャサリンに内緒で生命保険の契約をしたのは誰? (第6章)
答え: ジョスリン・パッカード。
犯人への対応をキチンと法に基づいて対処する。
『ツイン・ピークス』では夢や幻視がクローズアップされがちだが、その登場人物であっても我々の常識とさほど変わる所はない。
フィクションに触れる場合はつい忘れがちになってしまうが、「法」というものの大切さを思い出させる様なエピソードであった。
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さて、次回は法というか、何をもって正しい行いと為すのかを問う、映画『セールスマン』について語りたい。