孤独のグルメ Season2 第八話
墨田区両国の一人ちゃんこ鍋
監督:溝口憲司
脚本:田口佳宏
出演:
井之頭五郎:松重豊
横山大輔:長江秀和
横山美奈子:阿南敦子
大将:佐伯新
森田さん:渡辺杉枝
大女将:伊藤榮子
ふらっとQUSUMI:久住昌之、白崎映美
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*タイムラインはBDソフト準拠となっております
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ドラマパートあらすじ
墨田区両国にやって来た井之頭五郎。
(*相撲用語が多いので、今回は青文字で目立たせています)
巨人、大鵬、卵焼き。
野球と相撲なら、相撲派だと言う五郎さん。
川縁で一服、ため息。
仕事は小口で、秋の空。
五郎さん、回向院を見つける。
ちょっと寄って見ようとするも、「あんこ あられ」という幟に惹かれ、甘味処「両国 國技堂」に吸い寄せられる。
メニューを眺める五郎さん。
だんごセットと注文。
メニューにあるのは、
あんこにあられ、おせんべいにアイス、カレーにハヤシの合い盛り、
「戦わせるなぁ、これが両国スタイルか」
と感嘆する五郎さん。
だんごセット登場。(01:50:25)
よもぎ小豆、みたらし団子、磯辺焼き。
「おお、絵になるなぁ、三役揃い踏み」
よもぎ小豆、
「まだあったかい。ああ、あんこに癒やされてる」
みたらし団子、
「みたらし、好きなんだ」
「みたらしって、名前通りの味がする」
磯辺焼き、
「磯辺も良い奴だ。刻み海苔タイプは珍しい、いそべ君」
「おお、美味いぞ、いそべぇ」
「全部美味しい、勝敗付け難し」
「やっぱり、シメはいそべ君」
甘い物を食べて、ちょっと元気が出た五郎さん。
商品を届けにやって来たのは床屋さん。(01:52:54)
五郎さんは今日も小口の客という事でちょっとため息。
しかし、大事なお客さと、気を引き締める。
入店した五郎さん、
「あの、えっとですね、ワタクシ、清水様のご紹介でお伺いしました、井之頭という者です」と言う間に、
あれよあれよと椅子に座らせられ、散髪の準備が整う。
「ワタクシ、オルゴールをお届けするお約束を頂いたものなんデスケド…」
「それならそうと、早く言って下されば良いのに!アハハ!」
と、テンションの高い奥さん。
早速オルゴールを見せるが、
実際に注文したのは旦那さんの方だった。
「デカイ…」
(身長188センチの井之頭五郎役、松重豊さんよりさらに大きい)
オルゴールを見る横山。
「可愛い」「音もいいですね」
「ええーっ」とちょっとビックリの五郎さん。
「これもいいなぁ」
「でも、ヘンなヤツだと思ってるでしょ、井之頭さん」
「ギクりんこ」図星を突かれた五郎さん、固まる。
「フフ、いいですよ、気を遣わなくても」
「ま、そりゃそうですよね、このガタイで、この顔だし」
「しかも、元力士だし」と奥さん。
「え、そうだったんですか!?」とすかさず食い付く五郎さん。
怪我で廃業して荒れたという横山さんだが、子供も出来て一念発起、
愚痴やため息ばかり吐いて腐ってる場合じゃないと立ち直ったという。
ジャイアント馬場の野球→プロレスの転身を例に挙げる奥さん、
なんでも野球とプロレスに例えるなとツッコむ旦那さん。
丁々発止で明るい二人のやり取りに、五郎さんも笑顔になる。
「笑っていれば、道は拓ける」(01:57:02)
オルゴールも購入してもらっと模様。
見送られて床屋を去る五郎さん。
「良いご夫婦だなぁ、元気をもらえた」
「何だか良い気分だなぁ」
「元気が出て来ると、人間ってどうにも
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「腹が減るんだなぁ」(01:57:45)
ポン、ポン、ポォン。
「しかも、時間一杯、まった無しだ」
「急いで店を探そう」
両国という事でちゃんこ一点張りで探す五郎さん。
石を投げればあたる程、沢山の店がある。
その中で、ふと見つけたお店。
「この浮ついていない構え、ヨシ、取り組みはこの店に決めた」
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割烹ちゃんこ 大内(01:59:10)
入店。
一人用のちゃんこ鍋もあるとお店の人の言に安心する五郎さん、カウンター席に座る。
メニューを眺めると種類が沢山、「技師だな」と感心する五郎さん。
大将にオススメを尋ね、一番人気だと言う「鳥そっぷ」を注文する。
コンロが来る間もメニューを眺める五郎さん。
一品料理も結構ある。
「取り組み前に、なんか軽ーく入れとくか」と、山芋の千切りも注文する。
そうこうする内、鍋と具材も来て、コンロに火が入る。
先ずは、山芋千切りが来る。(02:02:08)
玉子の黄身も付いている。
醤油をちょいと垂らして、頂きます。
「山芋の玉子のせ、正解」
「体が欲してた味。こういう物が必要だったんだ」(02:03:14)
と、煮えた鍋にビックリし、思わず立ち上がる五郎さん。
「アラアラ、すみません、大丈夫でしたか?」
「ええ」と五郎さん、手にはしっかり箸と小鉢を握っている。
「大の大人が鍋の沸騰ごときで慌てふためいて、立合いで転がされた様なものだ。落ち着け」(02:03:24)
こころを鎮め、着席する五郎さん。
「煮えたんで、具を入れていきますね」と大女将。
為すがままに見つめる五郎さん。
つみれ、野菜、豆腐、油揚げ、エノキ、どんどん入って行く。
「おうおう、ぎゅうぎゅう詰めになって来たゾ」
白菜がメジャーだが、この店はキャベツ、甘さがウリとの事。
そして、春菊も投入。
「お、横綱の土俵入り」
そして、蓋がされる。
シメはおじや、うどん、餅から選べるとの事。
「おもち、その手もあるのか」
そして、沸騰するまでしばらく待つ。
「仕切りかぁ、徐々に闘争心を高めてゆく儀式」(02:05:02)
しばらく後、「そろそろいいですよ」と大女将が火を止めてくれる。
「さぁ、結びの一番」と、五郎さん、手刀を切って蓋を開ける。
ちゃんこ鍋「鳥そっぷ」といざ対面。(02:05:33)
「おお~、ちゃんこだちゃんこだ」
「どうれ、どれどれ」先ずは汁を啜る。
「ようし、がっぷり四つで行こうじゃないか」
「しみぃるなぁ」ズズッ、ハァ
「この奇を衒っていない醤油味」
「やっぱりここに帰って来るんだ、日本人は、落ち着くよ」
お次は野菜、
「野菜の甘味が優しい、これはいい」
あ、あ、ハフ、ハフ、うん、
「キャベツ美味い、キャベツ効いてる」
そして鳥、
「さぁて、鳥。美味しいじゃないか、ちゃあんと沁みてる、味、沁みてる」
豆腐、フホ、ジュルポ。
エノキ、しゃく、しゃく。
「堪えられない」
「つみれも良いじゃ無いか、盤石だ、横綱相撲の美味さ」
2つの肉を同時に頬張り、
「つみれとモモ肉のぶりかり稽古もまた、良し」
「なんだか嬉しくなって来るなぁ、ようし、どんどん行こう」
「いろんな味を出してくるなぁ、技のデパートだ」
「大一番だった、参りました」
「国技館に座布団が飛び交っている所だ」
五郎さん、シメはうどんを選択、お願いする。
うどんセット(ネギ、天かす付き)が登場、
1、2分して召し上がれ、との事。
厨房の若い子を眺めている間に食べ頃に。
しめのうどん。(02:11:33)
「ヨシヨシ、たっぷりいっちゃおう」
小皿にねぎと天かすを入れて、
「うん、美味そうだ、さしずめ弓取式か」
「うほほほ、何なんだ、この薬味、イイ」
「あれだけちゃんこ食ったのに、いくらでも入っちゃうぞ、コイツは」
「汁に全てのエキスが溶けているから、とんでもないご馳だ」
「この鳥そっぷ汁、素晴らしい」
「アレレ、無くなっちゃった、まだまだ行けそうなのに。何だかちょっと、寂しいなぁ」(02:13:26)
「伝統、伝承、稽古、心技体、全てが充実した鍋だった」
「ごっつぁんです」
若い子が厨房で何かを教わっている。
「この味しっかり受け継いで下さい」
退店。(02:15:10)
「いやぁ、気合い入れてもらったな、ちゃんこ正解、三好清海入道」
パンと手を打ち、土俵入りの型を真似る。
「よし、残りの仕事、正面からあたって、マワシを取ったら、豪快に上手出し投げだぁ」
と、相撲気分で去って行く五郎さんでした。
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ふらっとQUSUMI(02:16:02)
古そうなたたずまいに満足げの久住さん。
今回、ゲストにバンド「上々颱風(シャンシャンタイフーン)」のボーカル、白崎映美さん登場。
二人で「割烹ちゃんこ 大内」に入る。
*2013年当時のデータなので、現在も営業中なのかは要確認
1940~50年代に活躍した、
元大関、大内山平吉のご家族が経営しているお店との事。
久住さんと白崎さん、先ずはビールを注ぎ合って乾杯。
白崎「五郎さんって人も、良いじゃ無いですか」
「この額のしわと眉間が、こう、美味いって事を語っている、何も言わなくても、ここが美味しそうだなって」
と、額にシワを寄せる白崎さん。
ちゃんこを待つ間に、カツオのたたきが登場。
「うんまい」
白崎「五郎さんのここのしわがこうなりますね」
まだ鍋がはじまってもいないのに飛ばす白崎さん、ビールのペースが速い。
ちゃんこ鍋は鳥そっぷ。
女将曰わく、
「ちゃんこ鍋は、あの、鳥を使いますんですけども、それがですね、あの、豚と牛は四つん這いで、負けで。それで鳥を使いますんです」
と、蘊蓄を語りながら準備してくれる。
「眺めてれば、いいていうね」
白崎「飲んでりゃいいのか」
そして、食べる、
「美味しーい」
「段々全部の味が出てくるからね。そっぷ美味し」
白崎「ちょっとこれならさぁ、お酒、じゃないですか?」
と、二人は日本酒で乾杯。
「まいったなぁ、まいった」
「もうダメですね」と嬉しそう。
このノンべぇの白崎さん、記憶に残るBGMがあると言う。
それは第二話目の天丼を食べているシーン(01:01:21~)。
白崎「天丼かな、食べてる時に、もう美味しくなっちゃってねぇ、気持ちが盛り上がっちゃってね」
「オッサン、オッサン、オッサン、オッサンって」
久住「五郎さん、五郎さん」
白崎「五郎さん、五郎さん、五郎さん」
「あ、ゴロサンって言ってんの?みたいな」
「あれ、俺なんですよ、俺の声」と久住さん。
(「五郎さん祭り」は久住さんもメンバーの、「スクリーントーンズ」の曲)
白崎「そうなの!?」「下らない、最高!」
「一人でオジサンがご飯食べてるのに、宇宙的なスケール」(02:20:04)
久住「宇宙キタ!」
白崎「のデカさをね、感じました」
嬉しいですねぇと、ご満悦の久住さんでした。
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声に出して言いたい!五郎さんの名台詞
今回の「声に出して言いたい」五郎さんの名セリフは、
「笑っていれば、道は拓ける」(01:57:02)
憂鬱気分の五郎さんの気を晴らしたのは、
元気いっぱいで仲良し夫婦の掛け合い。
この二人にも、辛い過去があったハズ。
それを笑って乗り越えた二人のバイタリティ。
笑っていれば、道は拓けるのだ。
「体が欲してた味。こういう物が必要だったんだ」(02:03:14)
口にすると、まさに、とろける様に体にマッチ。
五臓六腑に染み渡る一口を食べた時には、是非、この一言を言ってみたい。
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感想と解説
なーんだか、気分が塞ぐ事ってありますよね。
あの五郎さんも、そんなアンニュイな気分に囚われているのが今回の冒頭です。
しかし、そんな気分も、横山夫婦の明るい様子に吹っ飛んでしまいます。
旦那の方は、元力士。
怪我が原因で廃業、荒れていたが、子供が出来て一念発起したと言います。
ドラマでは笑って話していましだが、それも「今振り返れば」という典型的エピソード。
紆余曲折あったんだろうな、と思わせますが、
それも夫婦の現在の丁々発止のやり取りを見るに、
二人で笑って乗り越えていったのだと分かります。
辛い事も、過ぎてしまえば笑って語れるよ、
そんな風にも夫婦のやり取りからは感じられます。
小口の客だ、、、と元気なかった五郎さん、
ところがどっこい、元気になり、
今回のエピソードでは相撲用語が飛び交います。
五郎さんにとっては、
食事は正に、力士に取っての取り組みと同意なのです!
ちょっと曖昧な単語を調べてみました。
仕切りは、
相撲における立ち会いの構え。
土俵中央にある2本の仕切り線に対戦者の両手が付いたら取り組み開始。
仕切りには回数制限は無く、制限時間がある。
よく聞く「時間一杯」とは、この時間切れの事。
ドラマではちゃんこ鍋が煮えるまでの待ち時間に例えられていました。
鳥そっぷとは
先ず、「そっぷ」とは、相撲で言う所の筋肉質でやせ型の体型の事。(Wikipedia参照)
反対の太った力士は「あんこ」。
また、元々はオランダ語の「soep:スープ」から来ており、ダシを取った鶏ガラに例えてこう言ったとの事。
つまり、「鶏ガラで既にダシを取っているスープ」の事であると思われます。
ドラマでは、さらに醤油で味付けしてありました。
弓取式(ゆみとりしき)は
相撲で結びの一番が終わった後に、代表者が土俵で勝者の舞を踊る儀式。
ドラマでは、メインのちゃんこの後のシメを、この弓取式に例えていました。
三好清海入道は、
いわゆる、真田十勇士の一人。
「立川文庫」という書き講談の本の登場以来、真田十勇士が一般に固定されている。
創作だが、実在の人物由来のキャラクターもおり、
三好清海入道もその一人である(らしい)。
つまり、相撲とは関係ないキャラクターでしょう。
五郎さんのいつもの言葉遊びだと思われます。
この、一々相撲に例えて語られる食事が、
いつもとちょっと違う、
されどやっぱり五郎さん的なスタイルの台詞回しが特徴的なエピソードと言えるでしょう。
そして、店内の背景に
「YUTAKA生ビール(650円)」なる物のポスターが張ってあります。(01:59:41)
これは恐らく、特定メーカーのポスターを貼ったままだと宣伝になってしまうので、
その代わりとして作って張っているのでしょうね。
面白い小ネタです。
(TUTAKA というのは、井之頭五郎を演じる松重豊さんからとってるんでしょうね)
また、「ふらっとQUSUMI」のゲストキャラの白崎映美さん。
的確かつ独特な『孤独のグルメ』への視線に共感せざるを得ません。
また、見るからにノンべぇな所も可愛いですね。
久住さんが圧倒されているのが面白いです。
そんな久住さん、
『孤独のグルメ』のBGMは、彼の所属する「スクリーントーンズ」の物ですが、
それを褒められて顔真っ赤で喜んでいるのが、また良いですよね。
ちゃんことお酒、
どっちも頂きたくなるエピソードですね。
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