ピーターラビット ブルーレイ&DVDセット (初回生産限定) [Blu-ray]
イギリス、湖水地方に住むピーターラビットとその一家。今日も今日とてマグレガーさん家の畑に忍び込み野菜を失敬する日々。でも、お隣のビアはウサギに優しい女性。いつもピーター達を庇ってくれます。しかしある日、とうとうピーターはマグレガーさんに捕まってしまいます、、、
監督はウィル・グラック。
他の監督作に
『小悪魔はなぜモテる?!』(2010)
『ANNIE/アニー』(2014)等がある。
出演は、(役名:役者名:日本語吹き替え)
ピーターラビット:ジェームズ・コーデン:千葉雄大
ビア:ローズ・バーン:渋谷はるか
トーマス・マグレガー:ドーナル・グリーソン:浅沼晋太郎
フロプシー:マーゴット・ロビー:清水理沙
モプシー:エリザベス・デビッキ:木下紗華
カトンテール:デイジー・リドリー:下田レイ
ビアトリクス・ポターが創造した青いジャケットのウサギ、
ピーターラビット。
現在も、15秒に一冊の割合でこの世界の誰かが買っていると言われている作品です。
しかし、実はワタクシ、原作未読。
なので、小皿の可愛い柄になっているなぁ、位の印象しか持っていません。
原作を知らない人間が観た映画の感想
と予め御了承下さい。
さて、今回の映画のピーターラビット、
かなりやんちゃです。
ノリノリでぴょんぴょん騒いだり、
人の家の畑に侵入したり、
イタズラしたり、
かなり知能も高いです。
相手は意地悪じいさん、ピーターは野生の動物とは言え、
やっぱり人の家に盗みに入るのを観るのは、ちょっと抵抗があります。
なんと言うか、
ファンタジーでありながら、リアル。
3DCGの凄さというか、
ピーターを初めとして、
ウサギの家族や他の動物達も人間並に元気いっぱい。
それ故に、その個性が人間を想起させ、
動物の可愛いイタズラという行為にも、何となくリアルさを感じます。
とは言え、そんな違和感も最初だけ。
美しい自然、
テンポの良いストーリー、
そして、仲良く喧嘩するピーターラビットとトーマス・マグレガーの
アクションの躍動振り。
子供向けと侮るなかれ、
いつの間にか夢中になってしまいます。
そして、ピーターだけじゃない、
登場人物(動物)達の個性豊かな魅力
が、とても楽しいんです。
人間のビア、トーマス、
ハリネズミやカエルやスズメ、豚にアナグマに鶏、
みんな生き生きとして、可愛い奴らばかりです。
大人も子供も、
いつの間にか夢中になってしまう、
誰でも安心して楽しめる、
映画『ピーターラビット』は、そんな魅力に溢れた作品なのだと思います。
あ、それから、予告篇ではミュージカル風な感じを受けるかもしれませんが、
そういうシーンはごく僅かで、いたって普通の映画です。
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『ピーターラビット』のポイント
ピーターや妹達のやんちゃぶり
よく見ると悪い人が居ない世界
湖水地方のきれいな自然
以下、内容に触れた感想となっております
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湖水地方
本作『ピーターラビット』の舞台は湖水地方。
湖水地方とは、
イングランドの北西部、
ウェストモーランド・カンバーランド郡・ランカシャー地方にまたがる地域の事です。
2017年には、世界文化遺産の文化的景観として認定、登録されました。
映画にも出て来たウィンダミア、
そして、「ピーターラビット」の生みの親、
ビアトリクス・ポターの家があり、絵本の風景が今も残る、ニア・ソーリーなどが有名です。
ビアトリクス・ポターは、「ピーターラビット」で稼いだ印税を使って湖水地方の土地を次々と購入し、
英国の歴史的名所や自然的景勝地の保護を目的としたボランティア団体のナショナル・トラストに寄付したそうです。
映画の登場人物のビアのモデルは、
今風にアレンジされた(?)ビアトリクス・ポターなのでしょうね。
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それぞれの立場の登場人物(動物)
本作『ピーターラビット』の登場人物(動物)は、
よく見るとみんな悪い人、とは言えない魅力があります。
元々自然動物の土地だったからと、自然と野生動物を愛するビアと、
畑に侵入を繰り返すピーター一味。
物語の中心としては、彼達の主張が通り易いですが、
私が観る限りでは、頑固なトーマス・マグレガーやマグレガーおじさんの主張にも一理あります。
マグレガーおじさんとしては、
自分が育てた畑の農産物を、何もしない野生生物が勝手に食べてしまうのは言語道断でしょう。
また、ビアと良い感じになるトーマスも、
恋の鞘当てとしてピーターに対抗するのは已むを得ない所。
ただ、立場の違いがあり、
マグレガーとピーター達は対立しているだけで、
どちらも悪い奴、という訳ではないんですよね。
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異質な人との付き合い方とは?
その上で、本作『ピーターラビット』が素晴らしいのは、
自分とは異質なものも、「そういうもの」として受け入れて皆が生活している点なんです。
ウサギのピーターなんか、
キツネと仲良く追いかけっこしたり、
更には父親をパイにして食べた仇の家に執拗に侵入したりしています。
これは、ガッツがあるというレベルを通り越して、
弱肉強食の世の中はそういうものだ、という達観した世界観を持っている様にも思えます。
また、トーマスが町にウサギ対策のアイテムを購入しに行ったシーン。
そこのお店の人はビアの事を、
良い人だけど、ウサギで寂しさ紛らわせているちょっと変な人、
位の認識を持っています。
そしてトーマスに、
ウサギを彼女の前で苛めて反感を買うなよ、
とアドバイスしてくれます。
こういう距離感が良いんです。
ビアに対しては、ウサギを大事にしているからといって馬鹿にする訳でも無く、
そして、トーマスに対しては、ウサギの食害に悩まされているという事に理解を示しています。
相手を、そういうものとして、受け入れているんですね。
ロンドンの「ハロッズ」で働いていたトーマスは、
「キレて暴れる危ないヤツ」みたいなレッテルを貼られて排除されてしまいます。
端からみたら危ないヤツでも、
映画を客観的に観ている私達なら、彼なりの理由があって爆発しているという事は理解出来ます。
そりゃぁ、ウサギが喋ったら驚きますよ。
しかし、ロンドンではそういう人は排除の対象なんですね。
しかし、湖水地方では違います。
異質なものでも、その様なモノとして受け入れています。
現に、ビアは何の抵抗も無くピーター達を受け入れているんです。
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お約束の破壊
さて、ここで、面白い視点が導入されています。
私達観客は、
これが映画であり、
ウサギが服を着て喋ったり、スズメがミュージカル風に歌ったりする事に何の抵抗もありません。
何せ、これはフィクションなのですから。
予めそういう世界なんだと受け入れて観ているんですね。
そしてビアも、
野生生物(のハズの)ピーター一家が家を持ち、
服を着ている事に何の違和感も持っていません。
勿論、私達も、
ピーターを可愛がるビアをそのまま受け入れます。
しかし、トーマスは違うんですね。
彼は映画の終盤、
「ウサギが喋ったり、服を着ているのはそもそもおかしいだろう」
とビアに常識的に突っ込みます。
つまり、です。
私達観客が、
映画の世界なんだから、それで当たり前でしょ、
と思い込んでいた事、
ウサギや野生生物が服を着ていたり、
喋ったり、
高い知能を持っているという、
謂わばフィクションのお約束みたいな事は、
実は、『ピーターラビット』の世界観でもおかしな事だった。
『ピーターラビット』の世界観も、
我々の世界観と何ら変わる事の無いものだったのですね。
この視点の転倒ぶり、
お約束が実はお約束では無かったというアクロバティックな転換ぶりが、
目眩をもたらす程に面白い構成なのです。
ウサギが喋る。
実際にあったら、それは不気味ですね。
しかし、トーマスはラスト、それを受け入れて、湖水地方へと帰って行きます。
彼は最早、常識で生きているロンドンの住民、
異質なモノを排除するタイプでは無く、
奇妙なモノでも、そういうモノとして受け入れる湖水地方の住民としての視点を獲得し、
そこの住民になっているのですね。
ピーターを排除しようとしていたトーマス。
そんな常識人だった彼が、
『ピーターラビット』の湖水地方の住民として生まれ変わるまでを描く、
それが本作のテーマの一つであったのだと思います。
因みに、この「お約束という視点の転倒」を起こす作品には他に、『崖の上のポニョ』が上げられます。
「ポニョ」も、一見子供向けの作品ですが、
様々な構成や毒が盛ってある、むしろ大人向けの作品。
『ピーターラビット』と共通する所が多いですね。
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声の出演、補足
本作に出てくるピーターの妹達、
みんな可愛いですね。
原作ではおしとやかと言われますが、
映画版では中々どうして、お転婆ぶりを発揮しています。
それぞれ声優が、
フロプシー(赤い服、おしとやか):
マーゴット・ロビー
『スーサイド・スクワッド』(2016)
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)
モプシー(黄色い服、長女アピールでマウント):
エリザベス・デビッキ
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)
カトンテール(緑の服、両足折ってやる!):
デイジー・リドリー
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)
『オリエント急行殺人事件』(2017)
となっています。
全員、無駄に映画のヒロインレベルの美人揃い!
でも顔は出ませんが。
特に、「ハーレークイン」や「トーニャ・ハーディング」を演じたマーゴット・ロビーがそのイメージと全然違う役をやっているのが良いですね。
とは言え、私は吹き替えで観たので、実際にどんな感じだったのかは、分かりませんが。
しかし、吹き替えを観た人にも楽しみがあります。
それは、謎の存在感を示した「オンドリ」です。
勿論それは、声優の千葉繁の声の張り故の存在感です。
湖水地方の美しい朝が一瞬で世紀末の荒廃した風景に見えてくるのが笑えます。
映画は始まった時は、マグレガーさんの家に侵入するピーターに、
「ちょっとそれはどうかな?」と思ってしまう『ピーターラビット』。
しかし、相手は父親をパイにして食べた相手、
即ち、弱肉強食の自然の摂理から考えれば、
お互いが鎬を削るのは何らおかしい所は無いのです。
しかし、そうやって反目するより、
自分と異質なモノでも、そういうものとして受け入れる度量が生活を豊かにする、
愛は分け合っても、減るものじゃない、
そういう事を教えてくれる、
パッと見の印象よりも、中々どうして、面白いものを観せてくれる映画、それが『ピーターラビット』なのです。
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ビアトリクス・ポターの原作本です
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