映画『犯罪都市』感想  犯罪者に徹底抗戦!!拳で!!

 

 

 

ソウル特別市、九老区、加里峰洞(かりぼんどん)。衿川(くむちょん)警察・強力班の副班長、マ・ソクトは、町の平和を守る為に、今日も暴力組織を牽制し、均衡を保っていた。そんな折り、町に中国から借金取りがやって来て、好き勝手に暴れ始める、、、

 

 

 

 

監督はカン・ユンソン
本作が長篇映画デビュー作である。

 

主演のマ・ソクトにマ・ドンソク
昨年、日本でもヒットした『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2017)のインパクトが大きい。

他、出演に、
ユン・ゲサン、チェ・グィファ、チョ・ジュユン、チン・ソンギュ等。

 

 

本作『犯罪都市』を、分かり易く一言で説明するなら、

アクション系ヤクザ映画。

 

他の映画で例えると、
『踊る大捜査線』とか、
『ポリス・ストーリー』とか、
そういう系統、

凶悪犯罪に警察が対抗する、
シリアスさとコミカルさを併せ持った、
映画の面白さが存分に味わえる、警察アクションです。

とは言え、これは韓国映画。

過剰とも言えるヴァイオレンス描写も健在です。

 

見た目がゴツゴツした強面ばかり、

全く垢抜けない感じの野郎共が繰り広げるイキリ合い、

それが『犯罪都市』なのです。

 

町の朝鮮族系列の暴力組織「毒蛇組」と「イス組」が暴走しないように、
日々、眼を光らせている、マ・ソクト。

そんな中、
毒蛇組の構成員がこさえた借金の取り立てに、
中国からチャン・チェンら3人組がやって来る。

残虐さを武器に、忽ち毒蛇組を制圧するチャン・チェン、

更に、イス組が持つショバ代の上がりにも眼を付け暴虐の限りを尽くす、、、

 

町に部外者が入り込み、
パワーバランスが崩れ、
大騒動が始まります。

 

韓国警察 VS.
朝鮮族暴力団「毒蛇組」 VS.
朝鮮族暴力団「イス組」 VS.
中国借金取り「黒竜組」 VS.
韓国人暴力団 !!

 

この5つどもえとも言うべき、どんちゃか抗争が繰り広げられるのです。

 

しかし、本作では拳銃が全く出て来ません。

あくまでも、接近戦重視、
ナイフや鉄パイプが閃く、まるで『ビーバップ・ハイスクール』みたいなノリです。

 

そんな中、
強面のアンパンマンみたいな見た目のマ・ドンソク、

新感染 ファイナル・エクスプレス』では、そのごんぶとの腕を振るい、
素手でゾンビをしばいていましたが、
今回もやはり、

あくまでも素手で悪漢を退治します。

 

アンパンマンが悪者をワンパンで倒す爽快感、

これぞ、リアルワンパンマンです。

 

実在の事件を題材として、
アクション系ヤクザ映画として昇華した作品『犯罪都市』。

又一つ、韓国系の注目作がお目見えしました。

 

 

  • 『犯罪都市』のポイント

過剰なヴァイオレンス

顔面力の高い、アクの強い男達

抗争はあくまでも肉弾戦!!

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 


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  • マ・ドンソク!!

本作『犯罪都市』を観る切っ掛けとなったのは、
主演のマ・ドンソクの存在です。

新感染 ファイナル・エクスプレス』にて、
素手でゾンビをしばいていたマ・ドンソク。

そんな彼が韓国産ヤクザ映画に出演となったら、
もう観ない訳にはいきません。

 

見た目は強面のアンパンマン、
その実、肉体は漫画の「刃牙」シリーズのビスケット・オリバの様な太い腕の持ち主。

相手の腕をひねり上げるのに、
関節や「柔術」を使うというより、
握力を駆使するという身も蓋も無さ!!

体が太過ぎて、自分で触れない所があったり、
腕が太過ぎて、怪我している所が見えなかったり、
上半身がデカ過ぎて、膝が痛かったり、

敵をワンパンする肉体の説得力を、
そのままコメディとして利用しているこの一石二鳥感が素晴らしいです。

 

観る前に抱いていた期待を裏切らない、
マ・ドンソクの魅力に溢れた作品です。

 

  • 朝鮮族とは?

本作『暴力都市』は、

2004年に実際にあった、
韓国系中国人の暴力組織の一斉摘発を元ネタとして作った作品なのだそうです。

映画の冒頭では、

「1990年代初頭、中国同胞はソウルに定着し加里峰洞にチャイナタウンを築く。この映画は2004年衿川警察による朝鮮族組織の一掃作戦を基に描かれる」(パンフレットp.5~6より抜粋)

という文字が躍っていました。

 

では、朝鮮族とは一体何なのでしょう?

Wikipediaの「朝鮮族」のページを参考にまとめると、

中国の国籍を所有し、
中国戸籍上の民族欄に”朝鮮”と記載(登記)されている事、

だそうです。

中国以外の国や地域では、
朝鮮民族でありながら中国国籍所有者である事を明確にする為に、
朝鮮族を中国朝鮮族、韓国系中国人とも言うそうです。

中国の自治区から韓国に出稼ぎに行く人も多く、

韓国では中国の朝鮮族は在中同胞とも呼ばれ、
在韓の中国朝鮮族は中国同胞と呼ばれるそうです。

 

つまり、『犯罪都市』の舞台設定で説明すると、

ソウル内にチャイナタウンを築いた中国同胞(在韓中国朝鮮族)の町「加里峰洞」、

その町の朝鮮族暴力組織に眼を光らせる警察のマ・ソクト(韓国人)、

その町に借金取りに来た、韓国系中国人のチャン・チェン、

といった構成なのです。

マ・ソクトを兄貴と呼び接待していたクラブのオーナーのファン社長は、
地元の暴力団(韓国人)ですね。

 

この5つどもえとも言える抗争は、
グローバルな雰囲気がありながら、
その実、全員韓国系の民族、

ただ、肩書き、立場の違いのみで争いあっているのです。

 

ヴァイオレンス系のアクションと、

爽快なストーリーに加えて、

このなんとも言えない複雑な事情が、
争い合う人間の無常観みたいなものも、演出しているんですね。

 

  • 出演者補足

本作で強力班の班長チョン・イルマンを演じたのはチェ・グィファ

近作に
『哭声/コクソン』(2017)
新感染 ファイナル・エクスプレス』(2017)
『タクシー運転手~約束は海を越えて~』(2018)
と、日本でもヒットした話題作に続けて出演しています。

飄々とした感じの印象に残る俳優、
今後も要チェックです。

 

因みに、
韓国警察の強力班とは、
殺人、強盗などの凶悪犯罪や恐喝、傷害などの
事件捜査を担当している部署だそうです。

 

 

 

警察がメインのアクション系ヤクザ映画、『犯罪都市』。

過剰なヴァイオレンスで観る人を選ぶきらいもありますが、
その実、
ストーリー的には真っ当なエンタテインメント。

張り手でワンパン!!
正義が悪者をぶっ倒すこの爽快感

(まぁ、暴力警察ではありますが、、、)

パート2も同監督、マ・ドンソク主演で再び企画されているとの事、

続篇も、期待大です。

 

 

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