惑星コレリアのチンピラ、ハン。彼は現状の打破を目指し、町の有力者のレディ・プロキシマを出し抜いて、精製ハイパー燃料「コアクシウム」をくすね取った。ハンは、思い人のキーラと共にコレリアからの脱出を図るのだが、プロキシマの追手が迫って来た、、、
監督はロン・ハワード。
最早料理人の姿しか思い浮かびませんが、
あの有名なテーマ曲が流れる『バックドラフト』(1991)の監督。
主な監督作に、
『コクーン』(1985)
『アポロ13』(1995)
『身代金』(1996)
『ビューティフル・マインド』(2001)
『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)
『フロスト×ニクソン』(2008)
『ラッシュ/プライドと友情』(2013)他。
出演は
ハン・ソロ:オールデン・エアエンライク
チューバッカ:ヨーナス・スモタナ
キーラ:エミリア・クラーク
トバイアス・ベケット:ウディ・ハレルソン
ランド・カルリジアン:ドナルド・グローヴァー
ドライデン・ヴォス:ポール・ベタニー 他
「スター・ウォーズ」のスピンオフ作品、
「アンソロジー・シリーズ」の第二作目は、
スター・ウォーズのオリジナルシリーズでも絶大な人気を誇る、
密輸業者であり、
アウトローである、
ハン・ソロの若かりし頃の物語。
本作では、
ハン・ソロが、如何にしてアウトローとなったのか、
そして、
相棒のチューバッカとの出会い、
愛機のミレニアム・ファルコン号を獲得する顛末が描かれます。
さて、
映画の内容としては、
本作は正に、
古き良きSFアドベンチャー
と言える作品。
野心を持った青年が、
宇宙を又にかけて大冒険をする。
このワクワク感のみで突っ走ったという印象です。
変に暗かったり、
深刻なテーマが無いと、映画じゃないのか?
こういう感じでポップコーンを食べつつ、
面白おかしく、一時、
胸がすく大冒険を楽しむ、
良いじゃないか、
これぞ、元祖の香りのする、「スター・ウォーズ」的な映画、
それが『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』です。
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『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』のポイント
王道SFアドベンチャー!!
ハン・ソロというキャラクターの生い立ちが丁寧に描かれる
スター・ウォーズお得意(?)の、奇妙なクリーチャー達も健在
以下、内容に触れた感想となっております
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ロン・ハワードという監督
本作『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の監督はロン・ハワード。
最早30年以上のキャリアを持つ大ベテランの映画監督ですが、
若かりし頃は俳優としても活躍していました。
そんな俳優・ロン・ハワードの代表作と言えば、
『アメリカン・グラフィティ』(1973)。
この青春映画を撮った監督はジョージ・ルーカス。
ご存知、
「スター・ウォーズ」の
4~5、1~3の監督ですね。
そして、『アメリカン・グラフィティ』には、
実は後にハン・ソロを演じる、ハリソン・フォードも出演しています。
これも、何かの縁、
ロン・ハワードが「ハン・ソロ」の過去を描くのは、
ある意味必然だったのかもしれません。
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王道であり、伏線回収でもある
さて、その「スター・ウォーズ」の世界観の中でも屈指の人気者、
かつてハリソン・フォードが演じた「ハン・ソロ」の若かりし頃が描かれた本作。
基本は王道のSFアドベンチャーとして展開して行きます。
しかも、古き良きタイプ。
最近はアクション映画でも
暗い世界観、重いテーマで、
「僕はエヴァに乗りたくない!!」的な、お悩みに塗れた作品が増えて来ました。
しかし、本作は違います。
アウトローの冒険を楽しむべし!!
そういう映画なのです。
何故なら、本作は「ハン・ソロの誕生」を描くのがテーマ。
余計なお悩み相談は、無用の長物なのです。
なので本作は、ストーリー的には単純明快。
しかし、
ハン・ソロの成り立ちを描くが故に、
過去のエピソードや小ネタの数々を、
ストーリーに無理なく、破綻せず、
そして、ファンの怒りを買わずに如何に取り込むか、
この事に全神経を集中している感があります。
特にコアな「スター・ウォーズ」ファンでは無いなら、
王道のSFアドベンチャーとして、
そして、「スター・ウォーズ」のマニアならば、
「あ、ここに盛り込んだか」
「こういう解釈にしたか」
「こういう意味、設定にしたのね」
等々、
色々な「気付き」があり、そこにツッコむ楽しみがあります。
単純明快な王道に見せて、
実はファンに向けた「答え合わせ」の映画、
それが本作『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』と言えるでしょう。
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恋しているのよ
さて、本作で、私の印象に残ったエピソード。
それは、ランド・カルリジアンとドロイドの「L3-37」の関係です。
ランドは、L3の行状や性格が厄介だと言いつつも、
しかし、全宇宙の航路に精通している為に、
そのメモリを初期化出来ない、とボヤキます。
しかし、当のL3の方は、
キーラ相手にガールズトークを展開、
「ランドは私に惚れてるの、それが困った所ね」
なんて言っちゃいます。
ここでのキーラの「あらあら」という表情が良いです。
まぁ、ぶっちゃけ、
「ロボが何言ってんだ?」
というのが正直なツッコミです。
しかし、
実際にL3が狙撃され、半壊したのを目の当たりにしたランドは、
火線が飛び交う中を飛びだして、彼女を救いに行きます。
その慌てふためき、慟哭ぶり、
とても、機械相手の哀しみ様ではありません。
「惚れている」という言葉が何を意味するか。
私は観ていた時、
いわゆる「肉体関係を含めた恋愛感情」の事だと思いました。
しかし、
ランドとL3の関係はそれとはちょっと違ったもの。
思い返せば、
「ミレニアム・ファルコン」を発進させる時、
レバーを前に倒す行為を、二人は同時に息を合わせてやっていました。
ハン・ソロとチューバッカの場合は、
チューイが一人で、片手でやっています。
単にチューイの手がデカイから、一人で出来たのかもしれません。
しかし、
この「二人で一つの事を息を合わせて行う」という行為は、
まるで、ウェディング・ケーキの入刀の様に、
神聖で心通わせている様にも見えます。
二人の関係は「恋愛関係」では無かったのでしょう。
しかし、
ランドはL3に惚れていた。
ゴキゲンにカスタムした船を、
何度も二人で飛ばした事と思います。
そこに、心の交流があった、
だから、そのキャラクターをランドは尊重しており、
その想いを、L3は「惚れている」と形容した。
人の想いみたいなものは、
表面の行動のみで規定出来るものではありません。
まるで、
ハン・ソロと、レイアの様に、
口では言い合いしていても、互いに惹かれ合っている。
そんな関係を、
今回はランドとL3によって、
ちょっと彷彿とさせたのだと思います。
以下、内容に触れたネタバレ解説となります
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え?どういう事!?
ハン・ソロの名字の「ソロ」は、
ハンが天涯孤独だから、帝国軍の受付が適当に決めた名前だった!!
『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の
「ケッセル・ランを12パーセクで飛んだ」という台詞の意味。
(→「ケッセル・ラン」とは、危険な航路の事だった)
『スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』の、サイコロ。
(→ハン・ソロが長年持っていたラッキー・アイテム)
等々の小ネタの回収が行われた本作。
しかし、私が本作を観て気になったのは、やはり、
「ダース・モール」の登場です。
ダース・モールは『エピソード1/ファントム・メナス』にて、
オビ・ワンに敗北して死にました。
そして、『エピソード2/クローンの攻撃』で共和国のパルパティーンに全権委任が為され、クローン戦争が勃発、
『エピソード3/シスの復讐』にて帝国が勃興します。
つまり、帝国軍が誕生するのは『エピソード3』以降の時代です。
本作では帝国軍を象徴する、
「ストーム・トルーパー」や「タイ・ファイター」
等が登場します。
それなのに、遥か昔に死んだダース・モールが登場しています。
これは設定ミスじゃないの?
何故?
と私は思いました。
調べた所、
どうやらダース・モールは死んでいなかった!!
との事。
いやいや、
あんた、ライト・セーバーで体真っ二つになって高所から落下したじゃないか!?
なんで生きてるの?あり得ぬ!
それがあり得たのです。
映画の「スター・ウォーズ」シリーズしか観ていなかったので知りませんでしたが、
どうやら「エピソード2」と「エピソード3」を繋ぐオリジナルアニメの「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」というシリーズで、
生きていたダース・モールが登場していたとの事。
オビ・ワンに対する復讐心を持ち、
かつての師、ダース・シディアスとの対立しているそうです。
さらには「エピソード3」と「エピソード4」を繋ぐオリジナルアニメの「スター・ウォーズ/反乱者たち」にも登場するとの事。
既にシスの暗黒卿では無いので、「モール」と名乗っているそうです。
…なんだか、結構長生きですね。
私は映画しか追っていなかったので、イキナリの登場で頭が混乱しましたが、
アニメもちゃんと観ていた人なら、盛り上がった事と思います。
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出演者補足
本作でミステリアスなヒロイン、キーラを演じたのはエミリア・クラーク。
TVシリーズの『ゲーム・オブ・スローンズ』にて、主人公の一人、デナーリス・ターガリエンを演じています。
ぱっと見は特別な美人に見えなくても、
動いていると魅力的。
映画での、今後の活躍に期待大です。
減らず口を叩きつつ、見た目はワルぶっていても、
その実、義に篤く、頼れる兄貴、
チャーミングなユーモア感覚に溢れ、
それでいてコメディチックな隙もある、
誰もが惚れる、
典型的なアメリカン・ヒーロー、
それがハン・ソロです。
本作の若いハン・ソロは、まだまだ未熟、
しかし、未熟であるからこその
若さによる自信と野心に溢れています。
若い頃は誰だってイキっていた。
しかし、世の中の酸いも甘いも噛み分けて、
徐々に自分の分を知る事になります。
野心が醸成され、皮肉なユーモアを持つニヒルなアウトローとなった。
ファンの期待に応えるという、
難しい事にチャレンジした作品。
本作が好評なら、もしかしてスピンオフの続篇が作られる!?
そんな期待もある作品、
それが本作『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』なのです。
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