アトランティスの王となり、メラと結婚、息子も生まれて充実の人生を送るアクアマンこと、アーサー・カリー。
しかし、そんなアクアマンを父の仇と付け狙うデイヴィッド・ケインは、パワードスーツの「ブラックマンタ」を修復出来る技術を求めて、海中のロストテクノロジーを探していた。
そしてケインの一行は、南極の氷河の下にて古代のトライデントを見つけて、、、
監督は、ジェームズ・ワン。
今や、現代を代表するエンタメ監督、プロデューサー。
監督作に、
『ソウ』(2004)
『インシディアス』(2010)
『死霊館』(2013)
『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015)
『アクアマン』(2018)
『マリグナント 凶暴な悪夢』(2021) 等がある。
出演は、
アクアマン/アーサー・カリー:ジェイソン・モモア
オーム:パトリック・ウィルソン
メラ:アンバー・ハード
アトランナ:ニコール・キッドマン
トム・カリー:テムエラ・モリソン
ネレウス王:ドルフ・ラングレン
ブラックマンタ/デイヴィッド・ケイン:ヤーヤ・アブドゥル=マーティン二世
スティーブン・シン博士:ランドール・パーク 他
皆様、如何お過ごしでしょうか?
今期の冬は、例年に比べて過ごしやすい気温だと思われます。
それもそのはず。
世界気象機関の発表(1月12日)に拠りますと、
2023年の平均気温は、
観測史上最高温になっているそうです。
更に、
2024年は、
更に、ホットになるとのこと。
地球温暖化が叫ばれて久しいですが、
確かに、
年々、冬が緩くなっていると体感されます。
よく言われていたことに、
地球温暖化で、
北極、南極の氷が溶け、
海面が上昇、
陸棲生物の生活圏の縮小、
気候変動の忠告などがあります。
しかし、
もし、
地球温暖化で海面上昇となったのなら、
海中生物はウハウハなのでは!?
アトランティス人にとっては、
願ったり叶ったりか!?
と、いう訳で、
本作『アクアマン/失われた王国』です。
2018年に公開された『アクアマン』は、
DCコミックス原作映画の中で、
最も、興行収入が高かった作品。
故に、
公開前から、
その続篇となる本作に対する期待も、
必然的に高くなっていました。
しかし、
2013年の『マン・オブ・スティール』から始まった
「DCエクステンデッド・ユニバース」は、
13作目である本作をもって、終了。
新たに「DCユニバース」として
新展開が始まる事になり、
殆どの設定、キャストが、一旦リセットされます。
そんなすったもんだが重なって、
全米における興行収入という面では、
前作に遠く及ばない結果となってしまったそうです。
で、結局、作品として面白かったのか?と言いますとですね、
いや、面白かったですよ!!
脳筋アクション野郎の
王道ヒーロー映画!!
流石のヒットメーカー、ジェームズ・ワン。
解ってらっしゃる。
何が面白いのかという事を!!
アクションあり、
冒険あり、
家族愛あり、
友情あり、
ピンチでもジョークを忘れず、
これぞまさに
少年漫画の典型的なヒーロー像。
そして舞台は、海中。
海中と言ったら、
深海のイメージがあり
暗く、未開の地という印象があります。
しかし本作は、
何故か、煌(きら)びやか
そして、
海中を「泳ぐ」事は、3次元の移動方法になる為、
まるで、空を飛んでいるかの様な爽快感、スピード感があります。
また、
登場する海棲生物は、
魚類や甲殻類ベースの個性的な見た目をしており、
これらの要素により、
海中でありながら、宇宙的、
ぶっちゃけSFアクション映画のノリで楽しめます。
ストーリーも単純明快。
敵が悪い事をして天変地異が起きたから、
我々がそれを阻止して世界を救う!!
良いじゃない、
コレでイイ。コレがイイ。
アクション映画に余計な頭を使いたく無いンですよ。
そういった意味で、
本作のストレートなストーリー展開は、
ベタであるが故に、
ベストな物語となっていると言えます。
確かに、
もう、ジェイソン・モモアの「アクアマン」は観る事が出来ないのかもしれません。
しかし、
後に続かないと確定していても、
本作は捨て置くべきでは無い、
レベルの高いアクション映画である事に変わりありません。
すったもんだがあったけれど、
『アクアマン/失われた王国』は、
ちゃんと、面白い作品なのです。
-
『アクアマン/失われた王国』のポイント
筋肉は全てを解決する!!
家族の愛が、世界を救う!?
すったもんだに思いを馳せる…
以下、内容に触れた感想となっております
スポンサーリンク
-
兄弟と、仇敵と
本作『アクアマン/失われた王国』は、
王道ヒーローアクション映画として、レベルの高い作品です。
アクションとしてしっかり作られており、
それを阻害しない範囲で描かれるストーリー、テーマとして本作で扱われているのは、
家族愛です。
最近の映画でよく観られる設定で、
気の置けない仲間同士であつまり、
疑似家族を形成し、
我々は「ファミリーだ」と言って結束する作品があります。
しかし本作では、
疑似家族を選ぶのも一つの道ですが、
ちゃんと「自分の家族を見つめて、大切にしな」
というメッセージが込められているとも思えます。
妻や息子、親、
そして、兄弟。
本作では、
主人公のアクアマンことアーサー・カリーは、
前作にて骨肉の争いを繰り広げた弟のオームとバディを組んで戦います。
この、
「昔の敵は、今の友」という展開は、
いかにも少年漫画的で、ベタですが燃えます。
少年漫画と言えば、
『北斗の拳』の登場人物に、
コウリュウという拳法家がいます。
コウリュウはラオウに殺されますが、
そのコウリュウの二人の息子も拳法家であり、
父の仇を討つべくラオウに立ち向かいます。
作中、
雑魚や自分の部下ですら、
容赦無くブチ殺すラオウですが、
しかし、
コウリュウの息子の兄弟は、
殺さずに見逃します。
「お前達、実の兄弟か」
「兄弟ならば、別の道を目指せ」
と告げ、立ち去るのです。
兄弟が同じ道を目指した時、
王族でも、庶民でも、
骨肉の争いという悲劇が起こります。
私の記憶に残っている苦い例として、
相撲の若貴兄弟の優勝決定戦があります。
1995年(平成七年)
11月の九州場所にて、
大関の兄:若乃花と、
横綱の弟:貴乃花の兄弟による優勝決定戦が行われました。
この対決は、
周囲の激烈な盛り上がりをよそに、
ガチンコの力比べでは無く、
実際は、
弟の貴乃花が、
兄の若乃花に、勝利を譲った様に見えました。
しかし、
相撲道に邁進していた貴乃花にとって、
この一戦には思う事があったのか、
兄との不仲の原因となったと、
未だに言われています。
兄弟で同じ道を進み、
共に頂点を目指したが為に、起こった悲劇。
しかし、
本作では、
兄のアーサーが脳筋で陽気。
裏表の無い性格であり、
まぁ、
弟の方も、
覇道、王道を目指した、
ある種の傑物であるが故に、
兄の凄さに気付きます。
同じ道を目指し、
骨肉の争いを繰り広げ、
勝敗が決した間柄であっても、
家族の愛は消えずに残っている、
(ラオウとトキもそうでしたよね)
そこを、勝利の鍵として描いたのは、
まぁ、
ベタですが、
現実の世界でも難しい事であるが故に、
中々の、
感動があるのではないでしょうか。
アクアマンは、
こういうキャラクターなので、
ラストシーンにて、
デイヴィッド・ケインに手を差し伸べたのは、
「よくやった」と言えます。
それに対し、
ブラックマンタは「舐めるな」と、
慈悲を拒否し、落下します。
誇り高いと言えばそうですが、
慈悲の有無、それを許容出来る度量があるかどうか、
この差が、
オームとブラックマンタとの、
勝利者と敗者、
生と死を分けていると、
私は思うのですが、どうでしょうか。
-
『アクアマン/失われた王国』のすったもんだを考える
本作『アクアマン/失われた王国』は素晴らしいアクション映画ですが、
内容とは別の所で、
色々とケチが付き、
全米における興行収入が揮いませんでした。
先ずは、
「DCエクステンデッド・ユニバース」終了のお知らせ。
アメコミ映画を観に行く層って、どんな人達でしょうか。
「兎に角、全部観る!!」という熱心な人も居るでしょうが、
何か、面白そうだから、
話題だから、とか、口コミで観に行く人がいたり、
一方
「後々シリーズのストーリーが解らなくなるのが嫌だから」
という
消極的な理由で、惰性で観続けている人も居るのではないでしょうか。
「マーベル・シネマティック・ユニバース」でも、
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で一旦のストーリーの決着が着いた所で、
鑑賞を卒業した層も多数居るのでは?
その影響が、
現在の「アメコミ映画離れ」「スーパーヒーロー映画疲れ」に繋がっていると推測されます。
そんな惰性で鑑賞していた層にとっては、
「後に続かないのなら、別に急いで映画館で観なくても、いいな」と思ってしまうのではないでしょうか。
只でさえ、
コロナの影響で映画館離れが起き、
配信サービスに映画鑑賞体験のシフトが起きている昨今、
イベントとして映画の鑑賞をするという動機が、
「シリーズ終了のお知らせ」によって、
冷や水をかけられたと言えるのです。
また、「シリーズ終了のお知らせ」により、
元々撮影していた
ベン・アフレックのバットマンなどの出演シーンとかも
カットしたと言われます。
その他諸々、
スタジオ側の事情で再撮影が嵩み、
その分、製作費の高騰が起き、
余計、損益分岐点という観点において、
マイナスになったと言われています。
それに加えて、
「アンバー・ハードの裁判」も挙げられます。
本作の主要キャスト、
メア役を演じたアンバー・ハードが、
元夫のジョニー・デップとの離婚に伴い、
DV被害を受けたという訴え、
そして、
結婚生活の公開に対する守秘義務など、
まぁ、色々な複雑な事情が絡んで裁判を行いました。
裁判の結果は、
ジョニー・デップ側の勝ちとなった為、
アンバー・ハードの立場が危うくなり、
「~失われた王国」での出番が大幅カットになるのでは?
と、公開前は言われていました。
実際は、
主要キャストとしてちゃんと活躍していたので、
杞憂に終わりましたが、
このジョニー・デップとの裁判が、
映画自体のネガティブキャンペーンとなってしまった面は否めません。
同じ「DCエクステンデッド・ユニバース」の作品である
『ザ・フラッシュ』(2023)も
そうでしたが、
コロナの影響、
スタジオ側の事情、
キャストの私生活の問題 などで、
公開時期がズレこみ製作費が嵩み、
その他の色々なすったもんだにて、
作品の内容以外の部分で、
作品の評価が貶められているのは、
残念な所です。
しかし、
窮地にて倒れても、
そこから立ち上がるのがスーパーヒーローであると、
家族の愛は不滅であると、
本作『アクアマン/失われた王国』では描かれています。
「結局、失われた王国ってDCエクステンデッド・ユニバースってコト!?」
というツッコみは置いといて、
新しく展開される「DCユニバース」映画にも、
期待したい所です。
スポンサーリンク