映画『ALIVEHOON アライブフーン』感想  リアル異世界転生!?ゲーマーがリアルレーサーへ!?

仕事場ではボッチで浮いている大羽紘一。しかし彼は、オンラインゲーム「グランツーリスモ」の日本チャンピオンであった。
ある日、そんな彼にプロチームの誘いがかかる。スカウトに来た武藤夏美はテストをすると言うので、ついて行くとビックリ仰天。eスポーツかと思いきや、夏美の所属する「チームアライブ」は、リアルでのドリフトレースチームだったのだ、、、

監督は、下山天
監督作に、
『CUTE』(1997)
『弟切草』(2000)
『SHINOBI』(2005)
『パーフェクト・ブルー』(2010)
『キカイダー REBOOT』(2014)等がある。

出演は、
大羽紘一:野村周平
武藤夏美:吉川愛
武藤亮介:陣内孝則
葛西隆司:本田博太郎
田村孝:きづき

小林総一郎:青柳翔
柴崎快:福山翔大

土屋圭一:土屋圭一
D1解説者:織戸学 他

監修、脚本協力が、土屋圭一。

レースカーの実走として、
大羽紘一:中村直樹
武藤夏美:久保川澄花
小林総一郎:横井昌志
柴崎快:北岡裕輔

本人役として、
齋藤太悟
川畑真人

本作『ALIVEHOON アライブフーン』は、

CGゼロ、
実際のレーサーが、
実車を走らせて撮影するという迫力がウリです。

兎に角、リアルに拘った作り、

レースシーンも本物、
クラッシュも本物、
実際に峠も走ってる、

思っている以上に、
走行シーンが多く、
先ずはそこに、注目して欲しいです。

本作で描かれるドリフトレースは、
実際に、
「D1グランプリ」として開催されています。

ドリフト走行とは、
横滑りしながらコーナーを曲がるテクニックで、

日本では、
「ドリキン」として知られた土屋圭一の活躍や、
漫画『頭文字D』のヒットによって、

ストリートでの走行が流行りました。

しかし、「ドリフト族」と言われたその走りは、
危険運転として、追放の機運が高ます。

2001年からは、
「全日本プロドリフト選手権(現、D1グランプリ)」が発足してからは、
クローズドサーキットでの走りが注目され、
海外でも、ドリフト選手権が行われる様になり、

現在では、
プロスポーツ競技として親しまれています。

そんなガチのリアルレースに、
ゲーマーが参戦!?

そんな事ある?

という意外性が、本作のストーリーの面白い所。

現在、
eスポーツと知られる競技は、
「electric sports」の略で、

簡単に言うと、
TVゲームを使ったプロ競技です。

eスポーツのジャンルは、
レースゲームの他、

MOBAゲーと言われるチーム戦、
「テトリス」等のパズルゲーム、
シューティングゲーム、
RTSと言われるシュミレーションゲーム、
実際のスポーツを題材にしたゲーム、
そして、日本で一番盛んな対戦型格闘ゲームなどがあります。

そんな、
どちらかと言えばインドア派のジャンルのトップが、

アウトドアなレース競技で、
プロになれるのか?

しかし、なんと、
実際に、
eスポーツで優勝(2016)して、
実車のレースに参加した(2018~)、

冨林勇佑という選手もいるというのだから、驚きです。

ぶっちゃけあり得ないだろ!?
と思いつつも、

実は、前例があって、
全くのファンタジーでは無いというのが、
驚きの事実です。

それ程、
リアルに拘った作品作り、

それが本作『ALIVEHOON アライブフーン』なのです。

  • 『ALIVEHOON アライブフーン』のポイント

実車のドラフトに拘った作り

王道展開のストーリー

ゲーマー出身のレーサーという意外性

以下、内容に触れた感想となっております

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  • ストーリーの作りの面白さ

本作『ALIVEHOON アライブフーン』は、

兎に角、
実車に拘ったレースシーンが魅力の作品。

本物の車を、
現役のプロレーサーが走らせ、

エンジンの回転音や、
排気の煙にも拘ったと言います。

しかし、
私はドリフトレースは全く門外漢なので、
その拘りポイントが殆ど理解出来ないのが残念な所。

なので、
自分が気付いた、ストーリー的な面白さについて語りたいと思います。

本作、
紘一が初めて「武藤商会」に連れてこられた時、

夏美の父親、
クラッシュして引退を余儀なくされた武藤亮介にこう怒鳴られます。

ゲーマー野郎に実際のレースが出来る訳ないだろう!」と。

このシーンは、良いですね。

本作を観るにあたって、
誰もが思った事を代弁しているのと同時に、

そこまで怒らなくても、と、
傍から見る方が引く程、キレ散らかしている為に、

逆に観客は、
心理的に、大羽紘一を擁護したくなるという、
計算し尽くされた場面です。

ほら、
自分が怒っても、
先に、別の誰かがキレてしまったら、
その剣幕を外から眺め、
逆に、己は冷静になってしまうという、アレです。

で、
ラスボス的な立ち位置の小林総一郎が居たり、
ライバル的ポジションの柴崎快が居たり、

その辺、王道的な作りで、
観ている方は嬉しくなりますね。

更に、
ゲーマー出身という事で、
先ずは、本物のレースに出られる様に、
「G」に耐える体作りをしなければなりません。

ランニングや懸垂での体作り、

又、
ドライビングテクニックの練習、
ペットボトル、何本落とせるかチャレンジとか、
峠での実走とか、

数々の修行シーンをちゃんと盛り込んでいるが故に、

本作は、
奇を衒ったキワモノでは無いという事が理解出来ます。

本作は、
この一見、
「ゲーマーがレーサーになるなんて、無理じゃね!?」
みたいな設定を、

一個ずつ、
丁寧な描写でクリアしているのが、
面白い所なのです。

  • 他ジャンルでも活躍出来るか!?

本作『ALIVEHOON アライブフーン』は、
ゲーマー出身で、
実車のレースに進出、結果を出しました。

この様に、
とあるジャンルで結果を残した人物が、
男ジャンルでトップレベルになるという事が、
実際にあるのでしょうか?

冨林勇佑という実例もありますが、

それ以外にも、
そういう、他ジャンルに進出して結果を残している人も、
一部にはいます。

例えば、
アメフト出身で、
日本の格闘技界に旋風を巻き起こしたボブ・サップ

また、
スピードスケートのトップ選手でありながら、
自転車競技にも進出し、
どちらでもオリンピックに出場した橋本聖子という存在もいます。

橋本聖子は更に、
政界にも進出し、

近年は、政治的な思惑を呑んで、
大臣を辞職し、
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長に就任、
着実に、キャリアップを重ねています。

私は、好きでYouTubeでの、
プロゲーマーの配信などを観るのですが、

彼達に共通するのは、
度を超えた負けず嫌いという事です。

また、長時間、精度を落とさずプレーする集中力はかなりのもの。

こういう、
勝負にあたって、
勝ちに徹する心構え、性質などが突出しており、

そのメンタリティが、
他ジャンルにおいても発揮されれば、

トップレベルになる事も可能なのだと思います。

CGゼロ、
実車をとことん使って、
ドリフト走行の本物に拘った『ALIVEHOON アライブフーン』。

ストーリー設定の奇抜さ、
しかし、展開の王道さに、
最後まで、面白く鑑賞出来る作品と言えます。

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