映画『名探偵ピカチュウ』感想  ピカチュウの中身がデッドプール!?衝撃的な愛らしさ!!


 

ピィカ、ピカピカ。ピッピカ、ピカピィカ。ピカ、ピカ、ピッピカ、ピッカッチュウ!!

(訳)
保険調査員として働いているティムの元に、警察から電話が入る。ポケモンのパートナーと探偵業を営む父のハリーが、交通事故で死亡したと言うのだ。母の死から疎遠になっている父に様々な思いを抱きつつ、彼の住まいを訪ねるティム。そこで、一匹の喋るピカチュウに出会う、、、

 

 

 

 

監督はロブ・レターマン
アニメ映画の共同監督から、
実写映画も手掛ける。
監督作に
『シャーク・テイル』(2004)
『モンスターVSエイリアン』(2009)
『ガリバー旅行記』(2010)
『グースバンプスモンスターと秘密の書』(2015)

 

出演は
名探偵ピカチュウ:ライアン・レイノルズ
ティム・グッドマン:ジャスティス・スミス
ルーシー:キャスリン・ニュートン
ヨシダ警部補:渡辺謙
ハワード・クリフォード:ビル・ナイ 他

 

日本語版、声のキャストは、
名探偵ピカチュウ:西島秀俊
ティム・グッドマン:竹内涼真
ルーシー:飯豊まりえ 他

 

 

 

皆さん、
名探偵と言えば、誰を思い浮かべますか?

シャーロック・ホームズ?
ポワロ?
明智小五郎?

やっぱり、
現代の日本での名探偵と言えば、
コナン君でしょうか?

「名探偵」と枕詞がつけば、
それだけでキャラが立ちます。

 

そんな「名探偵」に、
世界でも屈指のキャラクターである「ピカチュウ」が成ってしまったとしたら、、、

それって、最強じゃね!?

 

そう、
最強キャラ爆誕!?

それが本作『名探偵ピカチュウ』なのです。

 

本作、
先ず目を引くのが、

ピカチュウを始めとした、
ポケモン達の質感。

 

去年の「くまのプーさん」の映画、
プーと大人になった僕』のプーさんも衝撃的でしたが、

同等か、それ以上の愛らしさ。

ふわふわのモコモコ。

まるで、ぬいぐるみが生きているかの様な不思議感。

 

毛並みの凄さに驚きます。

しかし、驚くのは
ピカチュウやコダックといった、
毛皮のあるポケモンだけではありません。

フシギダネやリザードン、ゲッコウガといった、
爬虫類、両生類系のポケモンのツルツル感もまた良し。

ぶっちゃけ、
画面にポケモンが映るだけで幸せな気分になります。

 

そういう意味では、
本作はポケモンファン向けの作品。

私の場合、
メインストーリーそっちのけで、
ちょこちょこと画面の隅を動き回るポケモンにばかり目を奪われていました

ポケモンのみでは無く、
ネオンや看板、風船など、
ポケモンモチーフの世界観を堪能する事が出来ますので、

画面の背景を観るだけでも、
ポケモンファンは満足する事が出来ます。

 

 

さて、肝心のピカチュウですが、
声とモーションキャプチャーを担当したのが、
ライアン・レイノルズ。

ご存知、
デッドプール』(2016)のデッドプール役として知られた俳優です。

声の出演と言っても、
そこはデッドプールで慣れたもの、

イキイキと演じており、
オッサンピカチュウに何ら違和感はありません。

 

そのオッサン名探偵が事件の謎に挑む、
というのが、本作のストーリー。

とは言え、
ミステリ的な謎解きにチャレンジするというより、

死んだ父の足跡を辿るティムとピカチュウのバディ・ムービーといった感じ。

 

ハリウッド映画でよくある、
アドベンチャー的な事件解決探偵モノと言えるでしょう。

 

安定したハリウッドクオリティで、
ポケモン映画を観られる、この幸福。

「株式会社ポケモン」は、
ブランドイメージを守る為に、
関連グッズ商品のクオリティには口うるさい事で有名ですが、

そのハードルを越えた本作は、
ポケモンファンの期待に応えた作品と言えるでしょう。

 

とにかく、
画面を動き回るピカチュウやポケモンを観るだけで幸せになれる映画、
それが、『名探偵ピカチュウ』なのです。

 

 

  • 『名探偵ピカチュウ』のポイント

ピカチュウの中身がオッサン!?

3Dで再現された、ポケモンのクオリティ

父と子の物語

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 


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  • 実は原作がある作品!!

『名探偵ピカチュウ』は、
ゲーム「ポケットモンスター」シリーズを基調とした、
「ポケモン」の世界観に属する作品です。

なので、
原作は、ゲームの「ポケモン」と思われがちですが、
少し違います。

実は、
あまりヒットはしませんでしたが、
『名探偵ピカチュウ』というゲームがあるのです。

そのゲーム版『名探偵ピカチュウ』も、
オッサンピカチュウが、
少年ティムと共に、
事件解決のアドベンチャーをするという、
正に、本作と同じコンセプトの作品となっております。

因みに、ゲーム版の名探偵ピカチュウの声は、大川透です。

ピカチュウの声優は、アニメのみならず、
現在、ゲーム内においても大谷育江に統一されており、
その意味で異彩を放つピカチュウが、
名探偵ピカチュウという存在なのです。

 

ライムシティで、
記憶喪失でコーヒー好き、技を使えないピカチュウと、
失踪した父の足跡を追うという展開、

何故か、
ティムのみ、ピカチュウと会話出来るという不思議、

ミューツーや「R」を巡るストーリー、

ヒロインがTV局関係者、

「ハイハットカフェ」にメスのルンパッパのウェイトレスが居るという設定、 etc…

 

ゲームの設定が、
映画にふんだんに生きています。

とは言え、
相違点もみられます。

それは、
ゲームの『名探偵ピカチュウ』は、
幅広い世代のポケモンを網羅し、
登場するのに対し、

映画の『名探偵ピカチュウ』は、
主に、第1世代のポケモンがフューチャーされているという点です。

 

  • ウォーリーを探すが如くに、ポケモンを探せ!

「ポケモン」シリーズは、多数続いており、
登場ポケモンも、それにつれて増加しておりますが、

やはり、
初代の「赤」「緑」に登場したポケモンが、
知名度、人気、共に大きいです。

ピカチュウ、コダック、ミューツーを始め、
フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ、
リザードン、カメックス、コイキング、ギャラドス、ピジョット、カラカラ、コラッタ、ドードー、ベロリンガ、プリン、カビゴン、カイリキー、バリアード、ガーディ、ウィンディ、ゲンガー、イーブイ、ブースター、メタモン、ミュウ など、

「ポケモンGO」や、ニンテンドースイッチ版の『ポケットモンスター ピカチュウ/イーブイ』で、
特に馴染みのなるポケモンが多数、本作でも出演しています。

何となく、知ってる、見た事ある、
そういうポケモンが沢山出て来るから、
本作は面白く、親近感が持てるのですね。

 

そういう意味で、
ワニノコやキモリやゲッコウガ、ドダイトスというポケモンが、出て来たのは、
最初に選ぶポケモンであり、その進化形で、馴染みのあるポケモンから選ばれたのだと思います。

とは言え、
ヨシダ警部補のパートナーのブルーや、
トゲピー、エイパム、オクタン、ニューラ、などの第2世代、

ドゴーム、ルンパッパ、ワシボン、ウォーグル、エモンガ、バチュル、ヤンチャム、ゴロンダ、タブンネ、チョロネコ、ゴルーグ、バッフロン、ネマシュ、キュワワーなどの他の世代のポケモンも登場しますし、

ポスターやレリーフや風船にて
レシラム、ゼクロム、
ティアルガ、パルキア、ギラティナ、
レックウザ、ルギアなどの禁止伝説級のポケモンも多数登場し、

それら、
画面にチラリと映るだけのポケモンを探すだけでも、
本作は楽しい作品と言えるのです。

…まぁ、
完全に、ポケモンマニアの楽しみ方ですが。

 

  • 父と子の物語

キャラクターやポケモンという側面に目を奪われがちですが、
本作は、ストーリーもちゃんと作ってあります。

その中で、
テーマとして語られるのは、
父と子の物語。

 

親子と言えど、
ただ、そこに居るだけで、お互いがわかり合える訳では無いのです。

それは、
本作で語られる二つの親子、
ティムとハリー、
そして、ハワードとロジャーという二組ともに、共通しています。

 

ライムシティの権力者であるハワードは、病気の影響で車椅子生活。

しかし、
息子のロジャーとはソリが合わず、
ロジャーが自分の栄光を妬み、そのレガシーを貶めると言って憚りません。

しかし、
そのハワードは、
自分の精神を移す対象を「最強ポケモン」であるミューツーにしながら、
他人はランダムに、テロ的に精神置換を強制し、

息子のロジャーは、
メタモンを使って、理想の傀儡の似姿として側に置くという歪んだ思想を持っています。

 

一方のティムも、
母の死亡時、
仕事にかまけて、ティムを蔑ろにしたという父・ハリーに対し、
どうしても打ち解ける事が出来ません。

一番近いハズの親と交われないという性分は、
それが習い性となり、
実生活でも、他人と打ち解ける事が出来ない性格を形成してしまっています

友人も少なく、
パートナーのポケモンも居らず、
女性と話すのが苦手。

典型的な、
内気でシャイな男性と言った所です。

 

そんなティムは、

失踪した父を捜す過程で、
父のパートナーであったピカチュウと、
「腹の底から」理解し合う事で、
徐々に変わってきます。

自分が、如何に父を求めていたか。

そして、
パートナーなどいらないと言っていながら、
いざ、パートナーとなったピカチュウに、
どれ程、愛情を注ぐことが出来るか、
それを自身で知るのです。

 

始めの一歩を踏み出す事は難しい、
しかし、
いざ、飛び込んでみたら、
心配していた程、困難では無い事も、
世の中には、多数あります。

「案ずるよりも産むが易し」

ティムとピカチュウは共に理解し合いますが、

実は、
それこそが、
自分を解放したハリーに対する、
ミューツーの恩返しだったというのが、

本作のニクいオチと言えます。

 

 

以下、オチの触れた記述となります

 

 

記憶喪失なのはピカチュウでは無くハリーであり、
ピカチュウこそ、
二人が捜していた父(ハリー)そのものだったのです。

お互い接すれば、
理解し合う事が出来る。

今回の事件を通じて、
ティムは、父を知る事が出来たのです。

記憶喪失、
という、ミステリでありがちなネタを、
SF的な飛躍にて、オチに繋げる

ストーリーが、ちゃんと、無理なくオチに繋がる展開が、
気持ち良く納得出来る面白さになっているのですね。

 

 

 

ポケモンファンとしては、
画面に映るポケモンを探すだけでも、面白い作品『名探偵ピカチュウ』。

しかし、
ミステリとSFを融合した様な、見事なオチからなるストーリーも、
ちゃんと面白いものがあります。

人によって、
色々な楽しみ方がある、

単純に、
ピカチュウの可愛さに萌えるだけでも充分に楽しい、
『名探偵ピカチュウ』は、そんな映画だと言えるのだと言えます。

 

 

さて、
今年のポケモン映画は、
初代『劇場版ポケットモンスター ミューツーの逆襲』のリメイク作品。

そちらもミューツーがメインの話で、
3DCGの映画となりますが、
どうなる事やら、期待して待ちたいです。

 

 

 

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原作とも言える、ゲーム版の『名探偵ピカチュウ』もあります


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